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第743回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」デジタル化に苦戦するベトナム農業の状況
本日の記事:
「進むベトナム農業のデジタル化」
現代:
" Agriculture goes digital "
記事リンク:https://english.thesaigontimes.vn/agriculture-goes-digital/
![](https://assets.st-note.com/img/1671435525919-AP10elUY6S.jpg?width=800)
【本日のポイント】
(1)GDPにおける農林水産業の比率が日本の10倍以上もあるベトナムでは「農業の生産性向上のためのデジタル活用」は「国家的な問題」と言える
(2)「Happy Vegi」ブランドで成功しているHuong Dat社では5年前から「農業のデジタル化」に取り組み、売り上げを8倍に伸ばすほどの成果を上げている。
(3)ただ、ベトナムのほとんどの農家では「デジタル担当」の専任者を採用したり、デジタル技術を導入する資金に乏しく「やれば良いとはわかっているが、手が出せない」という悩ましい状況もあり、今後の展望は楽観視できない。
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【解説】
アジアゲートベトナム代表の豊田です。
さて、今日の記事について。
農林水産業がGDPに占める比率は日本の1.2%に比べベトナムは14.0%(*)と文字通り「桁違い」に多く、農業の生産性を上げることは国民生活にも経済活動にも大きな影響があります。(*)2021年 農林水産省「ベトナムの農林水産業概況」より
と、いうことで、今日の記事はベトナムで実際に農業のデジタル化に挑んでいる企業の実例を通して展望と課題を考察しています。
Huong Dat社という会社が提供している「Happy Vegi」という野菜ブランドがあります。
Happy Vegiは約30種類の有機野菜をEmart、Aeon、CoopXtra、Go、TopsMarket、Big Cなどで販売しています。
私も見た事ありますね。
「有機栽培」や「新鮮さ」を1つの売りにしている会社さんですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1671435525902-pbMIqKIki1.jpg)
元々は今から12年ほど前にホーチミン市のタンソンニャット国際空港の近くにある5000平方メートルの菜園からスタートし、現在は周辺の省で6つの有機菜園を経営するほど拡大しているそうです。
Huong Dat社が自社の農場でのデジタル変革の必要性を考え始めたのは5年ほど前に
今までの伝統的な農法では、従来と同じ価値をもたらすことはできない、と気付いたそうです。
で、農業のデジタル化には3つのステップがあるそうで、なんか本文はちょっとわかりにくく書いてるんですが私流に解釈すると、
STEP1: データのデジタル化(とにかく出来事を数字に置き換え記録する)
STEP2:プロセスのデジタル化(データ分析し作業を標準化する)
STEP3:デジタルマネジメント(各種の作業自体をIT利用で効率化・自動化していく)
こういうステップを踏んで、効率化を図っていく、ということのようです。
まぁ、じゃあ、やりましょう、という話のようですが、STEP1からいきなり問題があるそうで、それは
「ベトナムのほとんどの農家では、この”出来事を数値化し記録する”という作業のための”記録→入力人員”を専任でおく資金余裕のあるところがほとんどない」
という話です。
記事のHuong Dat社でも一人の農作業員の方がみんなの手書きのメモをアプリに入力する作業を一人でやっていたそうです。
まぁ、なんか、この辺は私の会社でも、最初はとりあえず、何でも私が全部自分でやって、成果がある程度見えて、継続する、と決めないと、作業のために人を貼り付ける、ということはしないので、
「あぁ、わかる、、、」
って感じだったんですが笑
で、このSTEP1をクリアしたHuong Dat社は次に「STEP2:プロセスのデジタル化」に移行し、最大で50のプロセスをデジタル化し多そうですが、これは3カ月でクリアしたそうで、STEP2が完了することには売上は当初の8倍になっていたそうです。
効果テキメン!なのですが、まだ「物流問題」が残っていたそうです。
「Happy Vegi」ブランドは注文を受けてから販売先に提供するまでの時間に対して
「24時間以内」
という目標設定をして、新鮮なまま届けるポリシーを持っていましたが主な販売先であるホーチミン市から農園までが600キロ以上離れており、製品の輸送だけで14時間以上かかるので、なかなか24時間以内の「受注→お届け」目標が達成できなかったそうです。
しかし、「STEP3:デジタルマネジメント」により管理、収穫、品質チェック、包装、輸送の期間を短縮し、「「受注→お届け」」の標準時間を20時間に短縮し、目標を4時間上回るようになったそうです。
その後も、アプリによる社員教育の推進や、財務管理プロセスへのIT適用などを行い、経営陣は
"すでに会社の生産工程を100%デジタル化した "とも言える」
と語っています。
まぁ、Huong Dat社では途中からIT技術の専門家を雇ったことでこのように推進できましたが多くの小規模企業や農家では、なかなか、こういった先行投資的な費用を捻出するのは簡単ではないだろうと同社も述べています。
実際、同社でも最初の頃は経営陣の友人でIT詳しい人にかなり助けてもらったりしていたそうですので。
この辺りの
「やるべきことはわかっているのだが、”ヒト”と”カネ”の工面がつかない」
というのは日本の農業でも言えますし、ひいては中小企業全体にも言えることでもあり、このHuong Dat社画素の壁を突破して、現在成功している姿は勇気と示唆を与えてくれるように思います。
以上 豊田英司
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