見出し画像

タンゴのヴァイオリン

こんにちは!バヨリニストの外薗美穂です。

今回は、アルゼンチンタンゴにおけるヴァイオリンの魅力について書いて参ります。

….と思ってみたものの、改めて考えると、何かの魅力について『語るだけ』というのは少々虚しさを伴うものです。

なぜならば、魅力というのは、語るよりも先に直接それに触れて感じて、誰かと共有する方が楽しいからです。

例えば、美味しい林檎があるとします。この林檎についてどのように素晴らしいかや、独特の赤さが云々….と語るよりは、まずは誰かと一緒にその林檎を食べて、美味しいね♫長野の林檎なの?青森産らしいよ、などと語る、こっちの方がずっと自然でなめらかです。

しかしながら、タンゴヴァイオリンの魅力を語るとなると、タンゴを知っている人、ヴァイオリンの事もよくわかっている人…一般的にはこの2つの条件をバッチリ満たしてるゼ!いぇ〜イ‼︎.….なんて方はそんなには居られないでしょう。

そのようなわけで、少々の虚しさはブルドーザーで踏み潰して行く勢いで語ることに致します(笑)。

タンゴ・ヴァイオリンの魅力。

私にとって、ヴァイオリン自体がもう魅力的すぎるものなので、あ〜ぁ、またバヨリンバカが可笑しな事を言ってるよ〜、という妄言の類になるかもしれませんが、こちらもブルドーザーに働いて頂くとして、まずは、ヴァイオリン演奏というものとアルゼンチンタンゴ(ダンス)の共通点についてお話ししようと思います。
アルゼンチンタンゴは、基本的にペアダンスであり、男女(時々同性)が一対になり踊ります。
お互いにアブラソ(抱擁)をし、『人』みたいな形になって抱き合うようにして踊りますが、この時に男性が女性をリードする、というのが基本ルールとなっています。ですがリードされる側の女性も、男性にもたれかかったり、されるがままというわけではなく、アブラソのバランスの中で自立し、リードの方向を感じられるような状態で居なくてはなりません。勿論男性も女性を鷲掴み、ではダンスというよりは柔道なのか?!みたいな事になってしまいます。ある程度の柔らかく反発しあうテンションがありながら、お互いに自立している。そんな感じで、その時ペアの間には軸のようなものを共有している感覚があるのが望ましい、とされています。

※お友だちの素敵なダンサーカップルのお写真を拝借☺️エルネスト&パオラ 美しいお2人です。色々な所で踊られていますので、宜しければショーを観にお出掛けくださいね✨

画像1

さて、ヴァイオリンです。
楽器と弾き手はペアです笑。
もちろん、ピアノやギターといった他の
楽器にもこれは当てはまりますが、備え付けられたものの前に座って弾く、といったものでなく、ヴァイオリンは、基本的に立奏スタイルですし、軽くホールドするようにして楽器を構えて演奏します。まさにアブラソ😆‼︎

そして楽器にしがみついてもいけないし、挟み込んでしまっても自由に動けません。また、タンゴダンスを踊る時のように両手を軽く上げるような体勢になり、内臓を持ち上げるようにインナーマッスルを使い、手は上げますが、肩甲骨は下がっている状態を作ります。ちゃんと自立出来ていないと踊れないダンスのように、ヴァイオリンもまたちゃんと自立していないと楽器を支える事が出来ないのです。
自立しつつ、自由なんだけど、楽器としっかりコネクトしている感じ。

一般的には、歩き回って弾くという事はないので、そこはダンスとは違う部分ですが、身体の使い方としては、ピアノ、ギター、フルート、バンドネオンなど、どの楽器よりもかなり近いものがあるかな、と思われます。

既にこれだけの共通点を持っている事だけでも驚きですが、タンゴという音楽の特性にヴァイオリンの特性が合わさった時に一体何が起こるのか?!というのが、これまた奇跡のマリアージュなんではないか、と思われるのです。

ティピカ(典型的な)スタイルで演奏されるタンゴでのヴァイオリンは、大体、バンドネオン、コントラバス、ピアノなどと一緒に活躍します。ヴァイオリンという楽器はメロディ楽器ですが、フロントとしても伴奏役としても活躍出来る優れた面を持っており、音程を自由に作れることから、情緒の部分の表現力が秀でています。ビブラートの幅を自在に変えたりする事で、さらに泣きの表現や、朗々と歌う歌手のような表現も出来るのです。

タンゴは一曲平均3分間。
その中に人生の悲哀がギュッと詰まった音楽ですから、悲哀!!まさにヴァイオリンの出番じゃないですかー❤️

啜り泣いたり、官能を想起するような、ため息や喘ぐような表現、または優しく愛撫するような柔らかな表現、かと思ったら心の傷をさらに鞭打つようなサディスティックな摩擦音の表現、口笛をピューっと吹いて景気づけるような表現、そういった、人生無限音色パレット🎨を駆使して3分間に全てを盛り込んで行くわけです。

きゃー💕なんて楽しいの‼️

クラシックの曲でも、時々これらの前段階となるような表現は無いわけではないのですが、タンゴでは、ここが前提、とも言えるくらいに、やってもやってもやり過ぎがない程に表現を盛るお皿は巨大なのです。

ただ、心が求める表現に追いつく技術があるかどうか、というのがいつも深刻な問題で(笑)、やはり日々是精進なのです。

タンゴ沼はヴァイオリンの泉

そして女は海(ジュディーオング)😆😂🤣

長々と読んで頂きありがとうございます✨✨

宜しければ、また覗きにいらしてください。スキ❤️&フォローも宜しくお願い致します🥰🥰🥰🥰



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?