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(ショート翻訳) VOGUE BUSINESS「ナイキCEO ジョン・ドナホー は『ジェネレーション・アルファ』を追っている」

本日6月27日(月曜日 アメリカ時間)、今年50周年を迎えたナイキは第4四半期の earnings conference call を開催しましたが、今回ご紹介するのは5月におなじみ Vogue Business に掲載された 同社CEO へのインタビューです。オリジナルは以下のリンクを参照していただければと思います。自分が選んだ部分のみ抜粋して翻訳しましたので、ご了承ください。(お宅犬タズ)

https://www.voguebusiness.com/companies/web3-to-gen-alpha-nike-ceo-on-the-future-of-sportswear

今年で50周年を迎えるスポーツウェアの巨人、すべてのジェネレーションZをめぐる話について、ナイキの未来を占う上では「ジェネレーション・アルファ」を優先事項にしなければならない。ヴォーグ・ビジネスは、ナイキのグローバル・ヘッドクオーターを訪問し、チーフ取締役のジョン・ドナホーに、この浮き沈みの激しい時期での戦略について尋ねた。
執筆: LUCY MAGUIRE (23 May 2022)

ジェネレーションZ(以下ジェンZ)は、現在はナイキの売上の中核を占めるかもしれないが、スポーツウェアの巨人はそのターゲットを既に「ジェネレーション・アルファ」に絞っている。彼らは現在12歳未満の子どもたちである。
「企業にとって消費者を見る目はほとんど『さて誰が可処分所得(disposable income)を持っているんだろうか?』ということになるだろうね。」プレジデントでありチーフ・エグゼクティブであるジョン・ドナホーは言う。彼はオレゴン州ポートランドに近い小さな町ビーバートンにある、ナイキのグローバル・ヘッドクオーターの広大なミーティング・ルームに座っている。「私達の見方は違いますね。私達が見ているのは、誰がアジェンダを作るのか、誰が未来を握っているのかってことなんです。」

「スポーツの未来を想像する」と書かれた看板から3メートル先に見えるSeb Coe ビルディングの中。ナイキの黒と白のワッフル・スニーカーを履いて、シンプルなネイビーのクルーネックとジーンズを身に着けリラックスした様子のCEO。現在の速いペースで激しく変化する世界の中では、彼にとって未来に備えること自体が一つの大きなチャレンジなのである。
ドナホーの熾烈な競争相手は「破壊者(disruptor)」から「挑戦者」となるブランド、さらには過去の中国のXingiangに対する批判から現在ではCovidによるロックダウンに至る(訳注・下記のリンク参照)。(ナイキはXinjiangからの製品を仕入れず彼らのサプライヤーがその地域からの生地や織り糸を生産に利用しないことを明確にしている。)

https://www.voguebusiness.com/sustainability/uk-xinjiang-forced-labur-new-measures

会社が時代遅れにならないように、彼はジェネレーション・アルファとジェンZをターゲットとして、革新的で創造的なデザイン、循環性(circularity)、多様性(diversity)、そして包括性(inclusion)への投資を織り交ぜる。一方で注目を浴びるコラボレーションとして、デザイナー Virgil Abloh によるルイ・ヴィトン Air Force 1もある。
しかし、次世代の高い期待に応えるためにナイキは、長い間コミットしてきたフィジカルのスポーツ活動と共に、議論を呼ぶ社会問題に対して向き合いメタバースにおける商機へのバランスを取るというリスクを取る必要がある。

ドナホーは2020年1月からナイキのプレジデント件CEOを勤めているが、そのバックグラウンドには、Ebay(イーベイ)とソフトウェア会社のServicenow(サービス・ナウ)といったテクノロジーがある。業界がよりデジタルに依存している以上、キャリアの上でそれは必要不可欠だと考えられている。

ナイキはもちろん、スポーツウェアの市場におけるグローバル・リーダーである。2021年、売上は445億ドル(訳注: 1ドル130円換算で約5兆7850億円)に達した。ライバルと比較するとアディダスは226億ドル(同)であり、より小規模のメーカーであればプーマ77億ドル(同)ならびにルルレモン44億ドル(同)となる。今年の第3四半期には、ナイキの売上は、消費者が直接購入できる Nike Direct (ブランドの店舗以外に Nike, Nike Running Club, Nike Training Club といったアプリ および ブランドが培養してきたスニーカー・アプリSNKRS)の二桁成長によって5%上昇し109億ドルとなった。
ナイキの子供向けのビジネスは既に成長している。履きやすいFlyEaseランニング・シューズを子供向けにアレンジしたDynamoGo(機械的に靴が開閉し、靴紐を結んだり引っ張ったりする必要のない)製品をローンチしたこともあって、2020-2021の間で卸売りの売上は17%上昇している。

左: DynamoGo シューズはとにかく簡単に着脱できるので、全ての年齢の子どもたちが、彼ら自身のスニーカーを着用するのを助けることが出来る。 右: 立ち上げから6700万人のプレーヤーが224カ国から訪れたロブロックス内のNike Land。


メタバースにとってはまだごく初期の段階にあるとドナホーは考えている。「私はテクノロジーについてはいろいろな形が長い間携わってきたが、メタバースに関してはフェーズ1以前のフェーズ0の段階にあると言えるかもしれない。」

メタバースにはNFTを使ってより多くを期待している、とドナホーは言う。「ただそこに私達が参加している以上のものを皆さんは見ることになります。現実世界におけるアクティビティと製品への繋がりがそのギャップの架け橋となるでしょう。バーチャルなスニーカーとバーチャルな運動用のアパレルは、NFTの世界において最も熱望されていて、最も広い範囲に届けられるものであることを私達は知っています。だからどのように提供していくか熟考していきますが、コミュニティと繋がることでテストして学習していきます。」

ナイキにとってNFTの高度な世界において必然的に格闘しなければならないことがある。まずNFTはナイキのコンシューマーからアクセス可能でなければならい。「現在、あまりに高額なアイテムに注目が集まりすぎている。NFTが幾らで売れるか、ということに0.01%の人々が参加している。それは構わないし、ヘッドラインとしては十分だが、それをそのまま広く提供することは出来ないし我々のコミュニティには伝わらないだろう。」とドナホーは言う。「問題は、我々のコミュニティがどうやって包括的で健康的な方法でメタバースに参加出来るか、だろう。」

テストと学習のフィロソフィーは必須である。ナイキはバーチャルのスニーカー・ブランドRTFKTを12月に買収して直近の四半期は、ナイキのブランドとしては最初のNFTを発売した。そして現在Web3に特化したナイキ・バーチャル・スタジオ部門を設立した。全貌の詳細は未だ不明だが、ナイキの(ロゴである)スウーシュのアニメーションがフィーチャーされて、Nike x RTFKTのモノリスNFTと解釈出来るSwooshマイクロサイトが、これから起こるであろうプロジェクトを先出ししている。週末を通してRTFKTは、ブランドのフィジカル・スニーカーへと償還できる、ナイキと共同の新しいブランド製品: Holders of Rtfkt x Nike's Space Drip NFT をチラ見せしているのである。
(翻訳ここまで)


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