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【祝!殿堂入り】リピーター続出!緻密なデータ分析から作られた薄羽養鶏場のぷりぷり卵

2024年1月17日(水)に株式会社ビビッドガーデンは「2023食べチョクアワード」を開催いたします。

薄羽養鶏場さんは、食べチョクアワード2023において部門1位を受賞、今回で4年連続の受賞となり殿堂入りしました。

本日は薄羽養鶏場の薄羽さんに「商品に対する圧倒的なこだわり」や「食べチョクならではのお客様とのコミュニケーション」についてお話を伺いました。
(インタビュアー:デザイナーチーム/デザイナー 千田)


40年の経験値を埋める実験とデータ分析

看板前の一枚。養鶏場のTシャツも作られています。

薄羽養鶏場 薄羽さん:
美味しい卵にするために重要なのは飼料と飼育環境です。
栃木県・益子町で養鶏を営んでいるんですが、里山の大地から地中約30mより汲み上げた井戸水を与えています。夏は冷たく、冬は穏やかな温度の新鮮な水を毎日飲ませています。

鶏に飼料として与えているのは、脂質の吸収抑制の効能がある桑の葉や、血行改善・新陳代謝促進する木酢精製水など20種類以上をブレンドしています。
これらが鶏のコレステロールを下げ、鶏を体内から健康にしてくれています。だから他の卵と比べると脂質やコレステロール値が他の卵よりも10〜15%ほど低いんです。

また、平飼いの飼育(酵母・平飼いたまご)と、ケージ飼育(枯草菌・赤たまご)の2種類を実施しております。
※小屋の中で放し飼いにする飼育を平飼いと呼びます。

平飼いされている鶏たち

平飼いには酵母や海藻粉末などを与え、少し赤みのあるオレンジ色の黄身が特長の卵です。当然、飼育の難易度は高く生産量が少ないので発送まで1週間程度時間がかかりますが、贈り物におすすめです。

一方、ケージ飼育の鶏にはヨーグルトと似たような効果のあるお腹の調子を整える枯草菌を与えて育てています。鮮やかなオレンジ色が特長で、少し甘みも感じる濃いめの味です。


ーー商品紹介ページにも記載されていますが、データ分析を活用されているのが非常に印象的です。

薄羽養鶏場 薄羽さん:
私は父から養鶏場を引き継いだのですが、そこには40年の経験から培った技術の差があったんです。その技術を同じ40年をかけて習得するのではなく、記録やデータに起こしながら最短で身につけられないかと考えました。
例えば餌の配合を父親に聞くと、長年の経験と勘からくる「だいたいこれくらい」という返答が来るんですが、なかなか思った通りにはならず品質が不安定だったんです。

そこで、記録を残しデータを蓄積しはじめました。
例えば鶏は産まれてから何日後から卵を産むのか、どのタイミングにMサイズの重量の卵を産むようになるのか、Lサイズはどうか、などです。
それらのデータを用いて、卵の需要が高まるシーズンに合わせて産卵率のピークを迎えられるように逆算していったんです。

他にも、10羽ごとに4つの鶏のグループを作って餌の配合に少しづつ差をつけ、2週間後に卵の成分をチェックする実験を繰り返しました。「この成分をもう少し足さないと黄身の色が濃くならないなぁ」って。
若干変態ですよね(笑)

養鶏場を引き継いだ直後の薄羽さん

今の時代に合わせ、鶏にとって良い環境へアップデート

ーー今年、特に力を入れて取り組んだことはどんなことですか?

薄羽養鶏場 薄羽さん:
従来のやり方を継続するのではなく、時代に合わせた環境のアップデートですね。具体的には、酷暑対策・飼養衛生管理・人手不足対策の3点です。

夏の暑さで鶏が餌を食べなくなると、バテて卵を産まなかったり、卵自体が小さくなってしまうんです。
鶏舎に設備投資をして、夏の暑さに強い断熱材を設置する、クーラーシステムを導入する、屋根に新たにスプリンクラーを設置するなど、鶏にとって快適な環境作りをすれば鶏が応えてくれるんです。

飼養衛生管理の観点では、外部から野鳥や害獣が鶏舎に入らないように設備の強化と消毒も徹底しています。

1羽でも鳥インフルエンザに感染すると、感染していない鶏も含めて殺処分しなくてはなりません。再始動には半年〜1年必要になるため、事業存続には非常に重要なことです。
X(旧Twitter)でも飼養衛生管理の情報発信を行っているので、他の養鶏場の方にも参考にしていただきたいですし、私も情報交換をしたいと思っています。

人手不足は自動化や工数削減で対策をしています。今年はおかげ様で食べチョクの売り上げが好調だったので、鶏舎の自動化を進めることができました。

元マーケターのスキルを活かしてリピーターも産む

ーー2019年から食べチョクに出品するに至った経緯を教えてください。

薄羽養鶏場 薄羽さん:
私は都内で10年ほどマーケティングのリサーチ会社に勤め、データ分析等の業務を行っていました。その後、父の養鶏場をつぐことになり地元に帰ってきましたが、娘が大学を卒業するまでに養鶏を続けられるのか、とても心配でした。

マーケティングのリサーチ会社に勤めていた頃の薄羽さん

地方の人口は、20〜30年後に20〜30%減少すると言われています。販売エリアを地方に限定すれば、当然売り上げも20〜30%減少するだろうと予測し、オンライン販売へ参入することを決めました。

当初は利用者数の多い大手某ECサイトに掲載をしていたのですが、競合となる卵の商品は1,000件ほどありました。
ご利用者様の目にとめてもらうためには、高い広告費やSEOコンサルタントの協力が必要ですし、大量の注文に対応できる生産量もないため、私のように小規模な生産者にはとても高いハードルでした。結果、出品料だけが発生し赤字となってしまったんです。

そんな時「農家に適正な利益をもたらすサービスを立ち上げる」と発信する食べチョクの秋元さんのインタビュー記事を見つけたんです。それが食べチョクに掲載することになったきっかけです。

ーーリピーターがとても多いと聞きます。その理由はなんだと思いますか?

薄羽養鶏場 薄羽さん:
「美味しい卵を作ります、割れずに届けます」の「割らずに届ける」ということを工夫して取り組んで参りました。
心理学でいうところの動機付け要因(=満足につながる)衛生要因(=不満につながる)の2つを意識しているんです。

卵で言えば「味が良いから卵を買う」は動機付け要因です。一方で「卵が割れて届いた」となれば、いくら味が美味しくても買うことをストップしてしまいますよね。これを回避することがとても大事なんです。

ーー割らずに卵をお届けするために、どういった点を工夫されたんでしょうか?

薄羽養鶏場 薄羽さん:
コロナ需要で注文件数が急激に伸びた時、卵の破損報告が約5%発生していました。
お客様から「割れた卵送るとは何事か!」と電話で怒られたり、食べチョクのコメントに割れた卵の写真だけが投稿されたこともありました。

これでは「薄羽養鶏場から卵を買ってみたいな」と思ってくださっている潜在的なお客様に安心してご購入いただけないですよね。そこでいつもお世話になっている配送業者と、品質の専門家の方と一緒に問題の解決に取り組みました。段ボールの厚みの調整やクッション材の設置場所や枚数など、様々な試行錯誤を掛け合わせた結果、2年以上をかけて破損率を1%以下まで下げることに成功しています。
今では食べチョクの口コミも「卵が割れずに無事に届きました!」といった報告が全体の8〜9割です。

食べチョクで出会ったサポーターのようなお客様

ーー食べチョクのお客様とのやりとりで印象的だった出来事を教えてください。

薄羽養鶏場 薄羽さん:
食べチョクのご利用者様は、ECサイトでよくある「ポイント還元率」「送料無料」は重視せず、食にこだわりがある方が多い印象です。だから多少の不便さも許容してくれますし、「自然相手だし仕方ないよね」と理解を示してくれる方も多くいらっしゃいます。

実際に、お客様から「クレームではないんですが、卵がいつもより少し小さいように感じました。一応報告をした方がいいかなと思って。」であったり「破損があったのですが、2〜3個なので大丈夫です!お役に立てればと思いご連絡させていただきました。」などのご連絡をいただくことがありました。
サポーターのように応援してくださるお客様が多いと感じていますし、そういった状況で自分たちも商品を改良していきながら今に至ったと思います。

ーーその結果、食べチョク史上初の殿堂入りをされたということですね。おめでとうございます!お気持ちをぜひお聞かせください。

薄羽養鶏場 薄羽さん:
ありがとうございます!身に余るような賞をいただき、大変恐縮です。
食べチョクの皆さんが裏方でサポートしてくださるおかげです。お客様の対応、イベントの開催、システムの更新など、どんどん私たちにとっても使いやすいサービスになっています。
お客様からのご支持があってのことなので、期待に応えられるように引き続き頑張っていきます。

ーー今回の食べチョクアワードは「ともに創る」をテーマにしています。
今の時代に合わせた養鶏を研究されており、次世代に活きる考え方だと感じました。第一次産業に携わる若い世代、一次産業への従事を検討されている方々に向けて、メッセージをお願いします。

卵ポーズで記念撮影

薄羽養鶏場 薄羽さん:
自分の強みをぜひ一次産業へ持ち込んでください。農業以外の分野をご経験をされた方、マーケティングに限らず、工場での品質管理の考え方、デザインなどを一次産業に活用すると、これまで手を出さなかったお客様が興味を持ってくれたりもします。
自分のバックグランドや強みを活かして、農業を少しづつ変えることができるんじゃないかと思います。

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食べチョクに入社してまだ数ヶ月の一次産業初心者の私にとって、生産者さん=職人のイメージが大きく覆るお話ばかりでした。
緻密なデータ分析・こだわり・薄羽さんのお人柄を知ることで、より一層薄羽養鶏場さんの卵の価値を感じられ、まんまとリピートすることになりそうです!笑

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