5分で分かる!人気銘柄トヨタ自動車を評価~企業財務分析


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。今回はトヨタ自動車について解説していきます!どこの企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

トヨタは1933年に豊田自動織機製作所内で自動車の研究を開始したところが始まりです。今ではトヨタのグループ会社である豊田自動織機の方がトヨタ自動車よりも先に存在していたのが驚きでした。そして1937年にトヨタ自動車として豊田自動織機から独立しました。その後も合併を繰り返し、現在に至ります。トヨタは国内だけでなくニューヨークにもロンドン証券にも上場しています。

事業内容

トヨタの事業は下記の3個の事業に分けられています。

  1. 自動車

  2. 金融

  3. その他

超大企業の割にはシンプルに分けられていますね。まずはみんなが知っている自動車ですね。ダイハツや日野自動車もトヨタの子会社です。
金融はトヨタファイナンスやリース業です。車は高価な製品なので分割支払い、そしてリースの需要もあります。
その他では情報通信事業等行っているようです。ネットに繋がるコネクテッドカー関連の事業でしょうか。

人員について

トヨタの従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約37万人の大企業です。今まで分析してきた企業の中でも一番多いのではないでしょうか?その中でもやはり自動車事業に多くの人材リソースが割かれています。トヨタのメイン事業はやはり自動車のようです。

トヨタ従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、女性の管理職は3.4%です。日本を代表する超大企業ではありますが女性の管理職を増やすことはできていません。古いメーカーらしい数値です。また、男性の育休取得率は38%と低い値を出しています。女性の管理職の割合や男性の育休取得率については今後さらに増やしていって欲しいですね。

トヨタ多様性指標

トヨタの収益構成

トヨタ自動車は収益約37兆円の大企業です。今まで分析してきた大企業でも10兆円行くか、行かないかでしたが、約3倍の数値を叩き出しているトヨタは日本を代表する企業といって遜色ないでしょう。そしてトヨタは収益の約90%の33兆円を自動車事業で稼いでいます。やはりトヨタは会社名の通り自動車メーカーとして収益を上げています。
2021年度と比較すると売上は約8%増えています。過去5年を振り返るとコロナ禍に売上が減少しましたが、徐々に回復してきています。2022年度は直近5年の間では最高の売上額です。
その大きな要因は日本、アジア、中南米、オセアニア、アフリカ、中東等の地域での販売台数増加です。

トヨタセグメント別売上構成

営業利益と当期純利益

収益が増加しているのも重要ですが、営業利益と当期純利益についても無視することはできません。
トヨタの営業利益率は約7.3%となっています。メーカーとしては頑張っている利益率です。ですが、売上に対して原価が高いように感じます。特に近年は資材高騰で利益を圧迫しているようです。自動車事業は売上が増加しましたがセグメント利益は減少という結果になりました。
金融事業の営業利益率は15%台と高い利益率になっています。ですが、セグメントで見てみるとこちらも売上は増加しているが、利益は減少してしまいました。こちらは金利スワップ取引などの時価評価の評価損が原因です。
当期純利益は約2.4兆円で2021年度と比較すると減少しています。売上は増加しましたが営業利益が減少してしまったので、その影響が大きいです。その他にも2021年度は為替益が約2,100億円ありましたが、2022年度は半分になってしまいました。金融費用も増加していますが、これは有価証券評価の減損の影響によるものです。
1株あたりの配当金は直近5年は一定です。配当性向は30%台で株主への還元と会社への再投資のバランスは良いですね。2021年度にトヨタは株式を分割しました。1株を5株に分けました。なので2021年度から1株あたりの配当金が減少しています。なので2021年度からの減少はあまり気にしなくても良いです。分割してくれたお陰で現在では約40万円あればトヨタ株を100株買うことができます。会社への再投資も十分行っているので、今後も売上が増え続ければ、今後の配当金の増加も期待できそうですね。

トヨタの倒産リスクは?

会社が潰れてしまう可能性があるか?を判断するには流動比率の分析はかかせません。流動比率とは流動資産÷流動負債で求めることができ、短期的な資金繰りに問題がないかが分かります。
流動資産は1年以内に現金になりえる資産、流動負債は1年以内に払う負債のことです。流動資産が流動負債より多ければとりあえずOKです。
ですが気をつけるのは棚卸資産の項目です。棚卸資産は1年以内に販売できるかできないか分からないからです。その前段階である原材料も考慮が必要でしょう。
トヨタの流動資産を確認すると約26兆円あります。その内棚卸資産、原材料等は約4兆円ですので流動資産の約15%です。一方で、流動負債は約24兆円と流動資産より約2兆円少なくなっています。棚卸資産を除いたら資産は約22兆円あり流動負債が流動資産を上回っています。長期借入金を見てみると2022年度は約2兆円増えています。流動資産だけでは支払いきれない流動負債やその他の支払いを借入金で賄っています。ですが、わずかに上回っているだけですし、借入金を増やして賄っているのですぐに支払いに問題があることは考えにくいでしょう。この状況がずっと続くようであれば注意する必要があります。

トヨタの固定資産

トヨタの固定資産は増加しています。2021年度には約27.9兆円の固定資産でしたが、2022年度は約29.3兆円と約1.4兆円程度増加しています。その理由は金融事業の債権の増加です。もちろん設備投資も行っていますが、何千億円の単位です。

積極的な自社株買い

トヨタは積極的な自社株買いを行っています。自社株買いを行い、世間に出ている株数を減らすことで株価を上げて投資家達に還元することが目的です。ですが、それだけのお金を使うのなら設備等に投資をしてさらに利益を増やして配当金や株価の向上に繋げてほしいという投資家の意見もあります。ここは投資家としての好みが分かれる点ですね。

まとめ

  • 2022年度と比較すると売上が8%増加。コロナの影響で売上が落ち込むも2023年度は直近で最高売上

  • 営業利益率はまずまずだが、2022年度より減少

  • コロナ以降回復しているが、今後増益し続けられるかは注視が必要

  • 配当額は純利益に対して良いバランス。今後も売上が増加すれば配当金の増加が期待できる。自社株買いにも積極的

  • 短期的な資金繰りについてすぐには問題にはならなさそうだが、注視が必要

評価

成長性:4
収益性:4
安全性:4
生産性:4
配当:5
合計:21/25

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100QZHY.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-05-28T12%3A35%3A33Z&se=2033-06-30T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=W1GTFn2l4A4gx%2FSWJNSbGHVrjFcI7HvaP32wVWPw%2Buo%3D


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?