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帰れない時間の中で

あらかじめ書いておこう
自分は性格が悪い
されたら嫌なことをされたら同じ事やり返す、そんな人間だ。

そんな中、日々の些細な「ありがとう」が言えない恋人がいた、もちろん自分も非情になろう、ありがとうなんて言わない、と決めた事もあった。
ただ自分はその人とは対等じゃない、メンタルケアをかなりしてくれてるんだ、とジレンマに襲われてた。

ある日お互いの我慢が出来なくて別れた、きっと向こうの方が我慢していたことが多かっただろう
今はそう思えるほどには時が経った、少しは成長できた。
それまで許せない、また会いたい、やっぱ大嫌い
そんな繰り返しをしていた自分にひとつ心を動かすことがあった。

ここから少し脱線

自分はGoogleマップの行きたいとこリストがかなり詰まってる、近所なんて特に
昔は気になる所があったらマップを開いて現在地をスクショしてたので行きたいところがもっとあるだろう。
神社に喫茶店、ドライブしながら通った景色のいい道路
リストもスクショもそんなので溢れてる

本題に戻ろう
その人と付き合う前、まだ友達の頃に就職先がぼくのおうちの近所である、なんてことがあった、一緒に驚きそれから仕事終わりにほぼ毎日会っていた。
ぼくの家から職場まで5分かかる、それがその人の家からは40分もかかる
だからこそ会う口実はじゅうぶんで、付き合ってからはお互いの家を行き来する毎日だった。
車の中では毎日同じ曲を聴いて、くだらない話で盛り上がって、途中にある田舎道の写真をよく撮ったりなんかして、、、

そんな時間は長く続かなかった
さっきも言ったが別れたのだ。
毎日泣いた、寂しい悲しい
これから先1人で生きていけるか不安なんか思ったりして
何をやっても心の穴は塞がらなくて

目先の寂しいを埋めるためにいろんな友達と遊んだ
特に仲のいい友達は色んなところを誘ってくれておすすめの映画なんかも教えてくれた。
その友達の意図しないところでその映画のテーマが刺さってそれに助けられたりした。
それでもなにか足りない、自分はなぜ生きてるのか、今楽しいのか楽しくないのか分からない、ずっと足が地面に付いてないような感覚は今でもはっきり思い出せる。

あれから5ヶ月は過ぎようとしてた

そんな時に画像フォルダを整理してた
「何年も前のGoogleマップのスクショじゃないか」
「ファイルに追加してない場所じゃないかな……」
手が止まった
とっても知ってる場所だった
それもそのはず
"お互いの家を行き来する毎日だった。"
その時通ってたあの田舎道がそのスクショにはあった。

沢山ぼくのために喜ばせようとしてくれた人だった
自分もなにか返したい、すべて返したつもりでもいた

何年も前に見たかった景色を知らず知らずに毎日みせてくれてたんだ、こんなに身近にあった事がかけがえのないものだと気づかなかったのか……それが今更どうやったって伝えられない、何も返せない。とても残酷だと思った。
職場と家が近いのも、家と家を繋ぐ道路がその道なのも、ぼくがあの人とずっと居たいと思えたのもたまたまだったのかもしれない。

そんな偶然が美しいじゃないか、この話はきっとあの人と盛り上がったんだろう、想像は容易い。
この感情をいままで誰にも共有できず、ただひとりモヤモヤした感情は晴れなかった
その道を通ってあの家に向かって、あそこが帰りたい場所だった。

           ありがたかったな

ずっと繰り返してきたいろんな感情はひとつになった。
動かなかった時計の針が動いたような気がした、逆にまだいろんなことが話したかったと立ち止まることあった
それでも「楽しかった、ありがとう」そんな気持ちになれた。

有ることが難しいと書いて「有難い」
こんな偶然を目の当たりにしたんだ。
これからも大切にしていこうと思う

いままでもこれからも、自分という人間に関わってくれた人達、もちろんこの記事を読んでくれたあなた
みんなにありがとう

最後はだれも憎まず恨まず、ただ感謝を遺したい。

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