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合言葉は「気持ち悪い」:毒親エピソード①

「嫌だねえ、気持ち悪い」

これが私の子供時代を形容する言葉のハイライト。気持ち悪いことをした私は謝らなければならない。

「素直にごめんなさいと言え」

うん、一見正しい。セリフとしてはね。

三つ編み糾弾事件

その日の私の髪型は三つ編みだった。

小学校2年生、自分で編んだ三つ編みをほどき、お風呂に入ろうとしたところで父が帰宅した。

父は私を見るなり顔をしかめる。

「ねえ〇〇(妻)、pikoの髪型どうにかならない?なんで疲れて帰ってきてこんな気持ち悪いもの見ないといけないの?」

ほどいた髪には三つ編みのあとがウェーブ状に残っていた

「誰が見たい?そんな気持ち悪い髪の毛は切れ。誰も見たくないんだよ、お前の髪の毛なんてものは。気持ち悪いんだからせめて短くして人の目に触れないようにするのが配慮だろ!ああ、気持ち悪い、ほら、自分が可哀想って思ってる顔してる。そういう気持ち悪さが顔に出るんだ」

父は私に吐き捨てると、私の前で母のことも責める。こんな気持ち悪い娘を許容していることについて母を糾弾する。

物凄い剣幕で母を責める父を見て、幼い私は口を挟んだ。

「昼間はちゃんとしてたんだよ、たったいまほどいたから…」

「なぜ素直にごめんなさいって言えない!?自分が人に与える不快感はどうなる?そんな気持ち悪いもの見せられたパパはどうなる?」

「素直にごめんなさいと言え」

「気持ち悪くてごめんなさい…」

家庭の問題児と髪の毛事情

夫婦喧嘩の火種は大抵私のことだった。

だから私は家庭の問題児。

私の髪の毛について、父は異様なこだわりを見せた。最も古い記憶は2歳。その頃から父は私の髪の毛の短く刈り上げることにこだわった。

伸びてくると母への糾弾が始まる。

私への強制刈り上げの刑が施行される。

刈り上げ強制執行の思い出

目に涙を溜めて美容院へ行った。私を連れて行くのは母。母は不機嫌だった。

私は髪を切ることを喜ばなければならなかった。嫌がると母にまで呆れられてしまうから。

「髪の毛切れて嬉しいな」そう言って母に笑いかけるも、無言で目を逸らす母。

本当は髪の毛を綺麗に伸ばしたかった。綺麗にアレンジされた幼稚園のお友達が羨ましかった。でも、そういうものに憧れる私の「性根が気持ち悪い」

美容院で母がオーダーを伝える。

「耳より上まで切ってください。髪が耳にかからないようにしてください」

鏡が涙で歪んで見えて下を向くしかなかった。泣いていることがバレるわけにはいかない。

「短くするよー」美容師さんの声にも答えられず、床をじっと見つめて涙がこぼれないように必死に耐えている姿は異様に映っただろう。

髪を切ってみると私の耳の後ろには垢がびっしり溜まっていた。

それを見て父は得意げだった。

「うわやっぱり、耳の後ろ真っ黒じゃない。気持ち悪い、〇〇(妻)見てよこれ。嫌だねー」

私は4歳、場所はどこかのレストラン。

あ、私って本当に気持ち悪い。父は正しかったんだ。髪の毛切ってよかったな。


今にして思えば…

と、思って納得していたけれど。

子供を産んだいま、思う。

子供の衛生管理するのって親の責任じゃね?

私は毎日娘の耳の後ろ洗ってるぞ。鼻くそも耳垢も取ってあげてるし肌の保湿だって欠かさないぞ。父親がひどいと思ってその後20年ちょっと生きてきたけど、母親も大概だわ。ましてや専業主婦、子供のお手入れちゃんとしてあげようよ。

娘には可愛いヘアバンド、たくさん作ってあげるんだ!コロナで生地探しに行けないのが残念…

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