番外編①:妄想で苦しい

親にされてもいないことを妄想して苦しくなってしまう。5年前に絶縁し住民票閲覧制限も欠かさず更新している。娘が生まれたことも、彼らが知る術はない。なのに。

友人が妊娠した。私の実家のすぐ近く(今もそこに実家があるかどうか知らないが)の人気病院で出産するそうだ。私が出産した都内の総合病院と同価格帯でセレブ並の待遇が受けられるという。

「いいなー！私も実家と関係が良好なら次そこで産みたい！笑」冗談のつもりで言ったはずなのに苦しくなる。実家と良好な関係でないことが悲しいからではない。友人が羨ましいからではない。「実家との良好な関係」を想像すると苦しいのだ。

里帰り出産を想像してみた。里帰りってみんなどうやって親に頼むんだろう。頼み方がまずわからない。私を泊めてください、のみならず1ヶ月近くも連泊して食事も出してください、って言うのかな？言えない。その上子供もいます、泣いたら迷惑がかかるけどどうしよう、いや、子供が産まれるから里帰り出産なのであって子供がいるのは当然だ。頼み方を考えるのはやめよう。いったん食事のことも置いておこう。泊まらせてもらって食事も出してもらえる前提で想像しよう。

関係が良好なら子供のオムツ替えとかやってもらえるのかしら…もし後ろから前にお尻を拭かれてしまったら？前から後ろに拭いてね、なんて言っていいんだろうか。

自分の気に入るように何もかもやってもらおうなんてそれはお前のエゴだ。うちにはうちのやり方がある。お前の考えを押し付けるな

くらいの説教は当然だろう。まあ一理ないこともない。人に世話を頼むなら口も出せまい。というか里帰り出産といえど子供の世話は基本自分でやるものだ。自分が世話するとしてさあどこで授乳したものか。TV消してなんて言えるわけないので別室に移動して授乳するんだろう。

コソコソするな！誰もお前の身体なんか興味ないんだよ！子供産んでもまだクタクタ女でいるつもりか！ちゃんとここでやれ！

これは間違いない。バレないように別室に移動しなければ。

俺はどこに行ったっていいんだよ！俺の家なんだから！好きな時に好きな部屋に入るんだ！

って乱入するんだろうな。ノックしてくれなんて口が裂けても言えない。授乳できないのでミルク育児になるんだろう。

良好な両親との関係。それは私が何が地雷原になるかわからない説教、横暴、各種制約を受け入れた上で彼らのご機嫌を損ねないよう細心の注意を払う関係だ。なんでストレスフルな産褥期を過ごさねばならないことか。自宅ワンオペの方がよほど心が休まる。

ここまで妄想を繰り広げて自分を納得させなくても、どれも現実には起き得ないことだ。なのにまるで実際にされたことかのように想像して傷ついてしまう。勝手に想像して勝手に傷つく、まさに被害妄想だ。

元気に産まれてくるであろう友人の待望の第一子の顔をあれこれ想像して、心を少し落ち着ける。せっかくのセレブ病院、友人が堪能できる余裕があるくらい、安産でありますように！

第二子、どうしようかな…