あなたと一緒に呑みたいの
昔から「呑み助」だと言われています。「呑兵衛」ではなく「呑み助」。実は、この呼ばれ方が好き。
つまり、私が酒呑みだということなのだけど、決して酒豪ではないし、浴びるように飲むのは好きじゃないんですよ。完全に記憶を失うほど自主的に飲んで泥酔したのは、後にも先にも1度だけ。
居酒屋のトイレの扉をインディジョーンズのごとく飛び超え救出してくれた当時の同僚には本当に感謝をしている。泥酔の理由は悔しいから書かないれど。
この「呑」なのだけど、どうして呑み助は「飲」の漢字を使わないんだろう。
簡単に言うと、「飲む」は液体を口から摂取することを意味し、「呑む」は普通は食べないような固体を丸のみするという意味があります。ただ、酒においては「呑む」を使うことが多くて、豪快に「がぶ呑み」する、「ぐい呑み」もこちらの「呑」を使うみたい。
実際には、「飲む」と「呑む」は同じ意味合いで使われることも多く、深く気にすることも多いようだれど、個人的に「呑」のほうが断然好きな理由があるんです。
「飲」が単なる摂取行為であるのに対して、「呑」はその中にさらに一味あるから。
「呑」それらの意味を、使用例と一緒に説明してみます。
「雰囲気に呑まれる」「敵を呑む」:圧倒する、身くびるの意味
「要望を呑む」「呑みこみが悪い」:承諾する、受け入れの意味
「涙を呑む」「息を呑む」表に出さない意味
「波に呑まれる」:包み込んで見えなくする意味
ということは、「飲」と「呑」には心理的なニュアンスの違いが隠されているように思えてくるでしょ。
だから、ここでは、あえて「呑む」を使います。
誰かと酒を呑むというのは、酔っ払うのが目的ではないと思っています。酒を潤滑油にして、お互いの心の隙間をチラリと見せるんです。
普段、真面目でジョークの一つも言えない男性が笑い上戸だったり、誰もが認める絶世の美女が手に前代未聞の甘党だったり、実は一卵性双生児の兄弟がいて、学生時代は時々、入れ替わって授業を受けていたのを暴露したり。
そういうのを一杯飲むごとに、少しずつ共有していくのが楽しいのです。
もちろん、自分の隙間だって見られてしまうわけだから、誰それ構わず一緒に呑むというのは好きではありません。ただ、人間として魅力的で、好奇心を掻き立てられる人に出会うと、性別、年齢に関係なく、一緒に呑んでみたいなと思ってしまう。
そうすると、酒を呑まない人、呑めない人はどうなるのか。一緒に呑む対象にならないのか。
そんなことは全くありません。みんながビールで自分だけコカコーラでもいいし、一人だけホットチョコレートでもいい。自分が一番リラックスできるものをのめばいい。極端に言えば、何も呑まなくてもいい。大切なのは「一緒に呑む時間」を楽しむことなんですよ。
「え、君、飲まないの?」なんて言う人は、一緒に呑む資格ありません。直ぐに帰ってもらってください。
ここには、スペイン語で「腹を立てている1分間に、60秒もの幸せを失っている」と書かれています。友人たちと呑みに行った店の壁に実際に貼ってあったものです。
つまりこれは、楽しい時間を1分共有する間に、60秒もの幸せを得ているとも考えられるんです。嬉しいなぁ。
このnoteの世界には、弱くて強くて、優しくて、キラキラしていて「一緒に呑みたいです」とついつい言ってしまう人たちが沢山います。すでにもう、そう告白しまっている人たちもいます。みんな大好きです。
もし、ここでnoteを辞めたら、繋がりもゼロになっちゃうんだろうなと思うと不安で、寂しくて……。note中毒症。アルコールよりもタチが悪い。
これからも、素敵な人に出会ったら、「一緒に呑みたいです」と言ってしまうので、どうか引かないでね。
物理的に呑めるかどうかは関係ないんです。すでに、この週末、たくさんの人たちと一緒に呑んでいるんだからね。
また一緒にここで、ええ塩梅に呑みましょう。
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