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食べて生きる人たち(連載)

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人は『食』で創られる。スペインの歴史を手繰り、人と共に動いてきた食文化を通し、人々の食べて生きる姿に触れる。命を繋ぐ鍵を探すスペインの旅の千夜一夜物語。
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#エッセイ

記憶あそび

【ブルーチーズは本当に苦手だったのか】  それにしても肉と豆の煮込み《ファバダ》のパワー…

harco
2年前
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ファバダの向こうに家族がいた

【リンゴ酒サービスは鮮やかに】  サンタンデールを出た車の車窓から見えていたカンタブリア…

harco
2年前
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何もないのに全部ある

 カンタブリア地方の小さな海辺の町サンタンデール。ここからスペイン・イギリス間を結ぶフェ…

harco
2年前
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珍味って本当に美味しいのかという謎

【鰻の稚魚のアヒージョに教わったこと】  海沿いのサン・セバスティアンから西へ約100キロ…

harco
2年前
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頭で食べますか?身体で食べますか?

 サンティアゴ巡礼路のフランス側からピレネー山脈を越えてスペインに入るルートで、スペイン…

harco
2年前
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スペインにも、あの白い恋人たちが?

スペイン版「ロミオとジュリエット」として知られる「テルエルの恋人達」の伝説の舞台である小…

harco
2年前
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ガチャスとピストと海馬の贈り物

スペインの土地は、本当に表情豊かで分かりやすい。同じ内陸部カスティージャの乾いた大地であっても、よく見ると東西南北で少しずつ表情が異なる。トレドからさらに南下する。痩せ馬ロシナンテに跨った永遠の騎士ドン・キホーテの舞台となったシウダー・レアル周辺の景色も例外ではない。 車の窓から、茶色と緑色のトーンのパッチワーク作品のような畑が、なだらかな傾斜の沿いながら広がっているのが見える。壁が剥がれ落ち、ところどころ赤茶けたレンガ肌を見せる古家屋が、その場所だけが時間を無視しているか

山うずらのワイン煮 千鳥のワイン漬

(トレドの続き) グレコ美術館を出る。相変わらずクネクネと曲がりくねった細道を上下左右に…

harco
2年前
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【命を繋ぐ「マタンサ」】

「もし、たった一日しかスペインにいられないならば、迷わずトレドへ行くべき」 そんな言い伝…

harco
2年前
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【カラヒージョに酔いしれる】

【眠らない街から】  睡眠不足の町があるとしたら、きっとマドリードの町をさす。薄闇の中で…

harco
2年前
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【哀愁のマッシュルームとアコーディオン】

スペインに来て驚いたのがバールの数。電柱の数より多かった。どんな小さな村に行っても、スー…

harco
2年前
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『生コメ』をお願いします

先週から、スペインを舞台に、自分を生きる食エッセイ連載『食べて生きる人たち』をスタートし…

harco
2年前
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【食の坩堝に落っこちて】

マドリードの町の空気は重量感がある。圧し潰される感じではなく、肩の上に何かを乗せられた…

harco
2年前
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【旅のはじまり】

「あなたは今、食べて生きていますか?」 これからお話する「食」のよもやま話。それは、今からずっと以前の話であり、けれど、紛れもなく現在であり、これから先、変わる事のないスペインの千夜一夜物語。 *** そう聞くと、おとぎ話なのかと思うかもしれない。そうではない。今から何百年、何千年、何億年も前から人々が受け継いできた「食」。今のように美食という言葉が存在しなかった頃、「食」は、人だけでなく生物が純粋に生命を維持するための最も重要な源だった。 食べ物に関する栄養をネット