異文化の中で働く

現職の仕事相手は基本的に外国人ばかりで、日々異文化コミュニケーションの難しさを感じている。
会社は海外企業で、フルタイムで働いている日本人は私だけだ。会社から見ると外国人の私への言語的、文化的対応は煩わしいことだろう。

例えば、クライアントからの依頼は会社に依頼された時点で業務連絡をしてほしいものだが、文化の違いか、依頼をこなさなくてはならない1日前に連絡があったり、なんとか急な依頼に対応し、案を提出してそれが承認されても、予定の1時間前に急にキャンセルされたりする。日本企業でもあるにはあるだろうが、ある程度時間に余裕を持って業務に取り掛かれなければ質が悪いものになってしまうことは明白だろう。

だが、海外企業ならではの良い点もある。例えば有給の取りやすさ、サービス残業の少なさなどである。本来、有給申請をする際、その理由などを知らせる必要はないはずだが、これまでアルバイトを含め、働いた日本の企業では上司に理由も合わせて休暇希望を伝えなければならないことが多々あった。今働いている企業では上司に「来週金曜日に休みを取りたいのですが、よろしいでしょうか」と聞くだけで「了解。特にその日やらなきゃいけないことある?あと休みは1日だけで大丈夫?」とあっさり了承されることが多い。これは私の上司の考え方によるのだが、有給や特別休暇を取る際、「申し訳ございません」や「ご迷惑をおかけします」などの謝罪はしないルールとなっている。勤務時間に病院などに行きたい時も、「15時から歯医者に行きたいんですが・・・」「OK、気をつけて行ってきてね」というような短いやり取りで許可が降りる(もちろん、業務から離れた時間分の仕事は別でやる必要はあるが)。上司は「ちゃんと仕事をしているのだから休むのは悪いことではない、体調不良や気掛かりなことがあるのに無理をして働いて仕事の質が落ちることの方が非効率的で会社の損失になる。まずは心身の健康や家族との生活が大事なのだから、事前に言って休むことに謝罪は必要ない」といつも言っており、上司も勤務時間に「ちょっとスーパー行ってくる、晩御飯の材料がない」なんて言って外出するなどしていて、働く時間についてはかなり融通が効く。また、リモートワークなこともあり、子育てをしながらの勤務にも理解があって、従業員の子どもが会議中泣き出しても誰も気にしていなかったり、子どものお昼寝や食事のために一時的に仕事を抜けることが許されていたり、子どものいる従業員からとても働きやすいという話をよく聞く。時々、チームメンバーが離席している時にその子どもが席について他のチームメンバーと話していることもある。業務をしながら恋人や家族、子育てに関する相談や雑談なども許されていて、人間関係は良好だと言えるだろう。私自身、まだ子どもはいないが産休・育休制度もしっかりしている今の職場では、子育てと仕事の両立への不安はあまり感じていない。

先に述べたように異文化コミュニケーションによる問題もあるが、私にとっては働きやすい職場であり、問題があった場合はお互いに文化や考えを説明して折衷案を出すことで互いの考えを尊重し合うことができている。多くの日本企業にはない考え方を学ぶことができるので、現職を始めて自分の視野が少し広がったと感じている。


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