「家族看護」とはなにか考えてみる
病院で最期を迎える方々が大半になって久しいですが、住み慣れた場所で最期を迎えたいという希望を叶えるために、在宅でのお看取りもここ最近では珍しくなくなってきています。その中で「家族看護」という言葉を耳にします。訪問看護を実施するにあたり、「家族看護」についてこれから自分なりに向き合っていこうと考えています。
「家族看護」の歴史
遠い昔では「家族」は患者の背景として対応してきたようですが、1970年代頃より、北米を中心に、家族そのものを看護の対象とする新領域、特に地域医療の中で「家族看護」が発達したようです。患者だけではなく、その家族のもつ健康問題にまで目を向けて取り組む必要性から生まれたようです。日本では2008年に「家族支援専門看護」という専門看護師制度が特定されています。
「家族」といっても、家族によって取り巻く環境や文化は違います。歴史を遡ると1960年代頃の高度経済成長時代では核家族や少子化傾向が強まり、育児を支える家族看護に注目が集まったり、1980年代頃からは高度医療の発達により重症疾患を支える家族看護の援助が必要となったと言われています。昨今では、高齢社会における在宅ケアと家族による介護のサポートなど、歴史的背景はもちろん、家族をとりまく環境や文化的背景を敏感にキャッチすることが必要になってくる領域だなと感じています。
「家族看護」のニーズは大きく分けて3つ?
1. 家族、または家族関係が健康上の問題である場合
2. 家族が他の家族(患者)の健康問題により、精神的・身体的・社会的な影響を受けている場合
3. 家族が、他の家族(患者)の健康問題の予防・回復、健康の維持・増進に重要な役割を果たしている場合
1. 親子関係に当てはまることが多いとされています。例えば、思春期の子供の問題行動や、発達障害の子供を抱える家族に対して、健全な家族のあり方を育成・促進の援助をする役割です。
2. 患者の健康問題を支える家族に対して、介護を対応している家族の健康や精神面を支える役割です。
3. 在宅での家族ケアなどで、主介護者の負担を少しでも軽減できるように外部サポートの提案や他家族の協力を仰ぐなど、家族全体として健康維持機能を高める役割です。
大きく3つと言いましたが、どれも関連して起こりうる状況であり、多面的な視点で家族を支えることが必要なんだと感じます。そして、その時々に必要な援助をすることも重要ですが、大事なことはそれぞれの家族全体を把握し、家族機能を維持、または促進することなのかなと思っています。
結局「家族看護」って、、、なんだろう、、
私は病院勤務時代は救命センターという特殊な部署だったので、正直な所あまり家族と関わることがありませんでした。心肺停止状態や交通事故で瀕死状態で搬送される患者さんに対して、命を救うために最善の治療をする医師のサポートという立ち位置だと自分なりに考えていたので、家族看護という概念は恥ずかしながら持ち合わせていませんでした。
これから在宅看護を実施するにあたり、私なりに「家族看護」とは何かじっくり向き合いたいと思います。それぞれの家族の形を受け入れて、患者さんだけではなく、家族の言動や思いを汲み取りながら看護師としてできる最大限のサポートをしていきたいと思います。
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