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「余白をつくることで、イラストレーターの創造性を最大化する仕事」 〜井手美沙音

こんにちは。ヴィジョントラックメディア編集部です。今回から、ヴィジョントラックで働くイラストレーターエージェントのインタビューを公開していきます。そもそも、「イラストレーターのエージェントって何?」そんな疑問を持つ方もきっと多いはず。それぞれのバックグラウンドや仕事に対する想いを知ることで、イラストレーターエージェントについて興味をもってもらいたい。そんな願いでスタートするシリーズです。

今回は、2017年にヴィジョントラックに入社し、エージェントとして6年目となる井手さんにインタビュー。趣味で書いている小説の話から、エージェントという仕事の面白さ、醍醐味までを語ってもらいました。

相手の奥にあるものを見ようとしている

ーープライベートでは小説を書いているそうですが、どんなことを書いてるのですか?

恋愛話なのですが、やっぱり恋愛してるときが人って面白いなって思うんです。いちばん生身の部分が出る気がするし、書く上でも自分をいかにさらけけ出せるかっていうところが大事だと思っています。自分が経験して感じたことを恥ずかしがらずに、いかに文章に叩き込めるかみたいな感じですね。

未解決事件も好きなんですが、興味の対象が共通してると思います。その人が本音でどう思ってるかっていうのは興味があるんですけど、その本音を言わないところにも興味があります。そういうふうになった経緯とか、心を閉ざしている経緯に興味がありますね。

ーー 小説を書くことがエージェントの仕事に何か作用することがありますか?

いつも、その人の奥にあるものを見ようとしていることはエージェントとして役に立っている気はします。相手の方が今、多分こう思ってるだろうなってことが的中したり、イラストレーターの方がモチベーション下がってるなとかすぐに察知できます。

察知することによって、ちょうどいい「距離感」を取ることは大事にしています。相手が今、私を必要としてくれてるのか、それとも相手に委ねたほうが良いのか常に考えています。それはイラストレーターの方にもそうですし、発注いただく方にもそうかもしれないです。でも、これはヴィジョントラックに入って磨かれた気はします。みんな距離の取り方がうまくていつも学ばせていただいています。


「余白」からイラストレーターの創造性を引き出す

ーー6年経った今、エージェントという仕事に対する気持ちは何か変わりましたか?

エージェントはイラストレーターと企業という違う背景をもつ方たちの間で、うまく立ち回らないといけないので難しい場面も多くて、最初は仕事をこなすことに精一杯でした。この仕事の面白さというか、奥深さに気づいたのは、ここ2〜3年くらいのことかもしれません。最近はもっと知りたいと思うようになってきましたね。

ーー どんなところに奥深さを感じるのですか?

余白をつくることで、結果が大きく変わることがあります。例えば、イラストを発注いただいた方に良くする質問があって「今回このイラストレーターさんのどんなところが良いと思って頼まれましたか?」と聞くようにしています。もちろん、具体的なリクエストもお聞きするのですが、この質問をすることでお互いの視座がグッと上がり抽象化されて、本当に目指すべきゴールが見えてきます。

それに抽象化することでイラストレーターが描く上での余白が生まれ創造性を引き出すことが出来るんです。それに、どんなところが良いと思ったかを聞くことで、イラストレーターのモチベーションも上がりますね。そうすると、仕事の単価も上がっていって売上も上がり自分も楽しくなっていきます。

ーー 売上が上がるとなぜ楽しいのですか?

イラストの単価がいい仕事は、案件全体の中でのイラストの比重が高くて、イラストレーターの方や自分が関われる領域が広いことが多く、その中でパフォーマンスが発揮できると結果にもつながり、いいチームができて一緒に喜ぶことができます。それにエージェントの仕事ってなかなか目に見えないことが多いので、売上が上がり数字で可視化されることはやっぱり嬉しいです。

エージェントを担当したEVERYONE(世戸ヒロアキ)の「みんなの銀行」ブランドイラストが、国際的権威あるデザイン賞「Red Dot Design Award 2021」を受賞


エージェントの役割は人やチームの持つ創造性を最大化すること

ーー 自分の力が発揮できたと思うのはどんな時ですか?

一つはイラストレーターのコーディネートを任せていただいて最適解を導けた時ですね。お互いの意見が闊達で、どんどん良いものが出来ていってめちゃくちゃいいチームになってという状態を作れた時、そのことを予想したうえでコーディネートできた時は快感です(笑)。タッチがフィットすることを前提に、その仕事にいちばんノッてくれる人を探し当てることがポイントですね。

もう一つは、さっきの余白の話に通じますが、自分がエージェントを担当するイラストレーターの方の仕事で「お任せで」と言われると「あ!きた、お任せ!」とテンションが上がります。そのイラストレーターに魅了され、信頼してこそのお任せだと思うので、それが自分の担当イラストレーターだとやはり嬉しいですね。そのイラストレーターの創造性が発揮されて、その価値を大きく出来たと感じます。

エージェントって「ザ・プロフェッショナル」という感覚があります。イラストレーターに伴奏しながら気づきを与えることが出来て、その人の持つ力を最大化できることが醍醐味だと感じています。

ーーエージェントをする時に心がけていることは何ですか?

縦であるものを横にするのがエージェントだと思っています。主従関係や上下関係が強くなり抑圧されすぎると良いものはできないと実感しています。エージェントが、できるだけ各自主体性を持った横=対等な関係に導いていく。そうすることでチーム力が増して良いクリエイティブが生まれると信じています。

エージェントを担当したyasuo- rangeのPOPYE 表紙イラスト
エージェントを担当したHonda DesignのWebサイトビジュアル


強いイラストレーターと仕事がしたい

ーーどんなイラストレーターをエージェントしたいと思いますか?

変化を恐れないというか、変化していくことに意欲的な人だと面白いなと思いますし、やっぱりそういう人は売れると思っています。何事にもフラットな気持ちで向き合い、まずやってみようという方には、やはり相談もしやすいですし、何か一緒にやってみたくなります。

強いイラストレーターであって欲しいとも思っていて、その人のカラーとか、トーンが明確にあって「この人に頼みたい!」と見る人を魅了することを一緒に目指したいです。


ーーこれからやってみたい仕事やプロジェクトは?

一般の方から喜ばれるイラストが、やはり良いイラストだと思うので、一般の方が手に取るような、お菓子や飲料のパッケージの仕事をもっとやりたいですね。
イラストレーターの方にインタビューもしてみたいです。今日の逆みたいに(笑)。小説の話に繋がるかもしれないですけど、もっと何かイラストレーターの人となりや深いところを伝えていきたいと思います。

写真:きるけ。 

イラストに関するお問い合わせは
info@visiontrack.jp
http://www.visiontrack.jp/


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