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睡眠の大切さを伝えるための情報まとめ

 私はインターネットやメディアとの上手なつきあい方について、授業や講演会でお話しをしています。その中で、長時間利用をしないように、夜遅くまで利用しないようにという話をしています。

 そのときに大切にしているのが、なぜ長時間利用をしてはいけないのか、なぜ夜遅くまで利用してはいけないのかをちゃんと説明することです。ルールだから守れというだけでは子供たちは守ってくれません。どうして守った方がいいのか、保護者さんがどうして守ってほしいと思っているのかの部分を伝えることで子供たちが納得した上で守ろうとしてくれると考えています。(というか信じています。)

 そのためには睡眠の大切さを根拠を元にしっかりと伝えることが重要です。その根拠となる情報をまとめておくためにこの記事を作成しました。定期的に読み直したり、情報追加をしていきます。

情報① 日本の子どもは「世界一寝不足」

日本の子どもの睡眠時間は世界一短い。
睡眠不足が子どもの発達と成長を妨げ、キレたり暴れたりする一因に。
社会の夜型化、夫婦の共働きにより、大人の睡眠時間も先進国では最も短い。
改善のために「産学連携」による斬新な取り組みをする自治体も出てきた。

・中学生で平均睡眠7時間 肥満や精神不安定の一因に

世界17ヵ国・地域で「0~3歳児の総睡眠時間」を調べたデータ(2010年発表)
日本は11時間37分で最も短い。
最長のニュージーランドの13時間19分より1時間42分も短い。

思春期の若者(中学生)の睡眠時間の国際比較
日本は平均7時間台(米国より約30分、欧州諸国より約1時間30分も短い)
全米睡眠財団は子どもの睡眠時間について、3~5歳は10~13時間、小学生は9~11時間、中高生は8~10時間を推奨している。

睡眠が短くなると、夜間の睡眠中に大量に分泌される「メラトニン」「セロトニン」「成長ホルモン」などの分泌が乱れる。
メラトニンは、日々の生活リズムを調節する機能をもつホルモン
 不足すると良質な睡眠がとれなくなり、規則正しい生活リズムができない。
セロトニンは、脳の機能を高め、感情をコントロールする神経伝達物質
 不足すれば、脳の発達の遅れや睡眠障害の原因になる。
 キレたり暴れたり、うつ状態になったりすることもある。
成長ホルモンは、骨や体をつくり、免疫力を高めて病気になりにくくする。
 脂肪を分解する作用もあるので、不足すると肥満になりがち。

子どもの睡眠不足をもたらす第二の事情
塾や習い事や部活動などで、幼いころから予定がびっしり詰まっていること。
最近は、スマホやSNS、ゲームなど、子どもを夜更かしに誘う要因が増えた。
保護者が睡眠の重要さを知らず、無関心であることも大きい。

子どもたちの現状を心配した文部科学省
2006年度から「早寝早起き朝ごはん運動」を推進している。
子どものすこやかな成長には、
適切な運動・調和のとれた食事・十分な休養と睡眠が大切だとの考えのもとに、
各地の自治体や学校が啓発活動をしている。

・大人の睡眠時間も 先進国で一番短い

経済協力開発機構(OECD)が調べた「15~64歳の睡眠時間」
日本は一日平均7時間22分と加盟国で最も短い。(平均より1時間も短い)
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2017年)
20歳以上の平均睡眠時間は6時間未満が約4割もいる。

・スマホや夜のコンビニ 利用多いほど睡眠短い

注目されているのが、大阪市淀川区の「子どもの睡眠習慣改善支援事業」。
科学的根拠を明らかにしてまず保護者の意識を変えようとした点が特徴。

区内の小学4年~中学2年生の合計約5300人を対象にした詳細なアンケート。2016年と17年の各6~7月の2回行われた。
その結果、次のようなことが明らかになった。
約4割が「疲れている」「とても疲れている」と回答
約1割は疲れが3ヵ月以上続く「慢性疲労」
疲れを感じている子どもほど睡眠時間が短い。
「とても疲れている」と答えた子どもは
「全く疲れていない」子どもに比べて平日の平均睡眠時間が1時間も短かった。
疲れが強いほど、「注意制御力」が低い。
注意制御力が高いほど授業の理解度が高い。

就寝時刻を遅くする要因
スマホ、テレビや動画、SNS、夜のコンビニの4つを選んで調べた
これらの利用時間が長く、利用頻度が多いほど、睡眠時間が短いことが分かった。
スマホを「5時間以上」利用する子どもは、
「全く使わない」子どもより睡眠時間が1時間半も短かった。
家族と一緒に夕食を食べたり、よくほめられたりする子どもほど、睡眠時間が長かった。

・「夜9時以降は“既読スルー”」「すいみんのオキテ」作り

年代別の「すいみんのオキテ」
「小学2年生は夜9時までに寝る」
「中学1・2年生はゲーム機・携帯電話・スマホに夜10時以降はさわらない」

家庭や学校で「すいみんルール」を定める際のひな型。
小学生「夜9時以降は保護者がスマホを預かる」というルールを家庭でつくる。
中学生「夜9以降はLINEも既読スルーで(返信しない)」と生徒会で決める。

情報②:日本の3から9歳の子供、推奨される睡眠時間に満たず

日本の子供の睡眠時間は世界で最も短く、その課題は年々深刻化しているという事実はあまり知られていないことがわかった。
すべての年齢で推奨される睡眠時間に足りていないことがわかった。
親に睡眠負債があると、子供にも睡眠負債がある割合が大きいことがわかった。

「日本の子供の睡眠時間は世界でもっとも短いことを知っているか」という質問に対し、「事実も詳細も知らない」と回答した人は全体の68.7%だった一方で、「事実含め、詳細を知っている」と答えた人は5%にとどまった。

推奨される睡眠時間は3~5歳で10~13時間、6~9歳は9~11時間なのに対し、実際の睡眠時間の平均は3歳が10時間25分、4歳が9時間54分、5歳が9時間38分、6歳が9時間18分、7歳が9時間、8歳が8時間53分、9歳が8時間37分等、すべての年齢で推奨される睡眠時間に足りていないことがわかった。

休日と平日の睡眠時間の差が2時間以上の場合を睡眠負債(毎日わずかずつ積み重なる睡眠不足)ありと認定した場合、親に睡眠負債がない子供の中で、睡眠負債がない子供は5,206人、睡眠負債があった子供は92人。一方、親に睡眠負債がある子供の中で睡眠負債がない子供は341人、ある子供は135人。

「子供は未来の宝。大人が子供の睡眠の重要性を理解し、子供の発達段階に応じて、睡眠の大切さを家庭内で共有し、子供の心と体の健康を守る睡眠教育に家族ぐるみで取組んで」

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