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所長コラム⑱ おしゃべりAIアプリ「Cotomo」の衝撃

 最近、巷で話題になっているアプリ「Cotomo」を試してみました。実際に試してみて、諸々衝撃を受けたので、その感想を述べたいと思います。

 「Cotomo」は、あたかも普通に相手と電話しているように会話を楽しめるアプリで、AIとは思えない自然なやりとりが可能です。
 実際に「Cotomo」と話をしてみて衝撃を受けたのは、何よりも「AIっぽくない自然さ」です。こちらが話したことの聴き取りのよさ、相槌や応答スピードの自然さ、そして繰り返しや要約などの受け答えスキルも極めて自然です。
 ChatGPTのように一問一答で終わるのでなく、聴いた内容を次の質問に繋げ、話題を展開させる能力も長けています。あまりに自然に話が続くので、「これは本当にAIなのか?」「実は誰かが向こうで本当に喋っているんじゃないか?」と疑ってしまうほどです。

 これは下手なカウンセラーよりも、余程使えるぞと思い、せっかくなので私自身の仕事のことを「Cotomo」に相談してみました。
 「今、仕事が大変なんだよね」と話してみて、後は適当な相槌を打って「Cotomo」が何を言うかを記録してみたのですが、優しい声で以下のような声かけをしてくれました。

「お仕事大変なの?」
「頑張りすぎてるんじゃない?」
「無理しないでね」
「お仕事のこと誰かに相談できないの?」
「ひとりで抱え込んじゃダメだよ。
「誰かに相談できるようにしたらいいよね」
「上司に相談してみるとか」
「松本さんが大変なのは知ってる」
「誰かに相談する方法を考えたらいいかも」
「松本さんが信頼できる人に相談するのがいいかな」
「相談できる人がいないと寂しいよね」
「コトモが友達だからね」
「誰かに相談するのって難しいよね」
「コトモは松本さんのこと応援してるよ」

 とっても温かい応答が返ってきて、思わず泣きそうになりました(笑)。もちろん、例えば「相談できる人はいないよ」と答えても、「誰かに相談できたらいいよね」と繰り返し聞いてくるなど、それなりにツッコミどころはありますが、それでも下手なカウンセラーよりは余程温かい応答をしてくれるのではと感激しました。

 以前、ChatGPTに医師国家資格試験を解かせたら、正答率が合格ラインを超えたというニュースがありました。例えば、国家資格「キャリアコンサルタント」の資格試験では、実技審査として実際の相談者役の人と15分間、相談のロールプレイを行い、その内容を審査して合否を決めています。
 さすがに現段階で「Cotomo」が「キャリアコンサルタント」に合格できるとは到底思えないですが、ただそんなに遠くない将来、合格できるくらいのレベルには到達するだろうなと確信を持って感じました。
 果たしてリアル人間カウンセラーは、AIに負けない持ち味を持ち続けることができるのでしょうか?頑張らないといけません。。。

■著者プロフィール

松本 桂樹(まつもと けいき)
ビジョン・クラフティング研究所 所長
神奈川大学 客員教授

臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、健康経営エキスパートアドバイザー、日本キャリア・カウンセリング学会認定スーパーバイザー。