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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (15)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第5楽章「FINALE」

最終楽章はいわゆるラスボスラッシュ。
前作もだいぶ長かったですが、今作も伸びに伸びて28分です。この楽章だけで、古典派の小さめな交響曲ほどの長さがあるわけですね。
小節数も1000を超えたので、なかなか壮観です(笑)


#85 輝く針の小人族 ~ Little Princess

4楽章の最後があれだったので、当然スタートは針妙丸からです。長旅の最初なので、まだまだ抑制的な感じですね。
最初はH音しか鳴っていないのですが、「ただごとではない感じ」を出したかったので、ミュート付きバストロンボーンに低音を頑張ってもらいました。鐘の音も怪しい雰囲気ですよね。

前半部(52:49~)は硬い響きが欲しかったので、低音は並行5度を連続させています。

後半はこのリズムオスティナートから開放されるので、少しやわらかくなりますが、対旋律もないので、全体に直線的なつくりになっています。


#86 亡失のエモーション

ここも抑えた感じで作ってありますね。次が盛り上がるので、谷間的な部分です。
前半部の初期版は、現在のものよりもさらに抑制的でした。

さすがにこれだとのっぺりしすぎているので、完成版(54:01~)ではポイントポイントにオフビートの楔を打ち込んで、リズムを立てています。

途中から入ってくるホルンの対旋律は、10小節遅れでの追っかけになっていますね。リズムが主旋律と被るのを避けています。

後半部(55:11~)の対旋律は、1小節遅れて入るおなじみのやつですね。途中からはリズムパターンの繰り返しになって、背景に埋もれていきます。


#87 聖徳伝説 ~ True Administrator / #88 夢殿大祀廟 / #89 大神神話伝

ようやくしっかり盛り上がる部分がやってきます。
ここでは最初は「聖徳伝説」のみで、途中から「豪族乱舞」になるわけですが、これは白鷺ゆっきー氏の「聖徳王伝説~道士の為政者、聡らるる道」を参考にしています。実際の文献としては、「飛鳥ノ遷都 ~ アスカノセント」より「道士の為政者 ~ 復活と復讐」を使用しました。

また、組み上げの基礎には過去作の木管八重奏を持ってきています。参考にするものが多いと、いいとこ取りをすればいいので楽ですね(笑)

というわけで、冒頭(55:37~)からしばらくのホルンやトランペットを中心とした息の長い対旋律は、上記の木管八重奏から取りました。

「豪族乱舞」はAメロの2コーラス目(56:19~)から始まりますが、あくまで中心は「聖徳伝説」で、あとの二人は対旋律の立ち位置になります。

Bメロ(56:32~)は一瞬だけ「聖徳伝説」のみになりますが、その部分では木管八重奏からの対旋律が入ります。
その後は動機操作的にゼクエンツを形成して、クライマックスへ。

F音ロングトーンになるところ(56:52~)も、一旦「聖徳伝説」のみになって、途中からあとの2曲が入ります。


続きはまた次回!


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