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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (10)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第3楽章「VALSE」(続)

#52 妖怪寺

中間部は前作と同様に、オープニング曲、エンディング曲が多くなっています。原作の3拍子曲は、ここに集中しているのですよね。

さて、「妖怪寺」では、背景としてショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第15番を引用し、前景のメロディは、ラヴェルの「ボレロ」で使われている楽器の組み合わせを参照しました。

原曲も4連符を使ってふわふわした感じなのですが、それをさらに強調した完成形になっていますね。


#53 天狗の手帖 ~ Mysterious Note

静かな雰囲気が続きます。
こういうところの背景としてのチェレスタは、非常に優秀ですね。良い働きをします。

ここに入っているフルートの対旋律は2小節遅れで、メロディのクラリネットを完全にコピーします。

「ニュースハウンド」への接続部分の進行は、
 E9sus4/B → E9sus4/A → Em7(11)/G → E9sus4/F# → Bbm
という感じで、全音階的進行から、最後に半音階的になって色が変わります。


#54 ニュースハウンド

木管を主体とした厳粛な響き。前作の「麓の神社」のカウンターパートとしての位置づけです。
ただし、今回はポリフォニー的な声部の動きはなく、カタマリとしての響きを重視した感じですね。


#55 妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal

オープニングが続きます。
このあたりは、いわゆる「東方音形」がたくさん出てくるのですが、毎回楽器を変えて飽きさせないようにしています。
「天狗の手帖」はチェレスタ、「妖々夢」はフルートとバイオリンのピチカート、そして次の「花の映る塚」はクラリネットとハープですね。


#56 花の映る塚

前作で使わなかった方の会話シーン曲です。
とはいえ、後半部分は前作の「花映塚 ~ Higan Retour」の影響がだいぶ入ってしまいました。
今回はh-mollでしっかりと頂点形成をして、小休止を挟んで次に入っていきます。


#57 幻想のホワイトトラベラー

今回、この楽章を作るにあたって、3拍子の原曲が足りなくなってしまったので、ここからしばらくは、もともと4拍子の原曲のうち、3拍子化しやすいものを選んで並べたゾーンになっています。

この曲も良い曲ですよねえ。

さて、冒頭部分はピッコロと打楽器のみで始まりますが、ここはグリーグの「ペール・ギュント」第2組曲より「アラビアの踊り」を参考にしました。

主部に入ってくる対旋律は、めずらしく自由な発想によるものですね。
ホルンにこの音域でずっと吹かせるのはだいぶ負荷がかかるのですが、まあ良いメロディ書けましたからね、仕方ない。


続きます!


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