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子供の英語力の向上を考えた時、字幕と吹き替えどちらが良いのか

映画館や自宅のテレビ・PC・タブレットなどで、海外の番組やタイトルを視聴することは、日本国内でも多くなりました。でもちょっと待ってください。子供達と視聴するときに字幕の漢字が難しいからと、吹き替えのタイトルを観せていませんか? またはご自分が観る時はどうでしょう? 吹き替えのほうが楽だから吹き替えで観ているという人も多いはずです。

日本が島国で他の国との接点が少ない、という国際化に不利な条件がありますが、この海外の映画やドラマを観るときに字幕なのか吹き替えなのかという点においても国際化を更に不利にする環境があることを皆さんはご存知でしょうか。日本人が英語を習得することが難しいことは、世界の英語レベル評価機関の結果を観ても日本と韓国がアジアの中でもダントツに最下位を争っています。文法上、不利な母国語を持っているからという議論も成り立ちますが、ヨーロッパ各国などが神経を使っているのが、この「字幕 対 吹き替え」なのです。

ではヨーロッパでは実際にどういう状況なのか。各国に差はあるもののそれに関しての法律が制定されている国が多くあります。それは、子供の英語力と国民の国際化という観点から、安易な吹き替えを横行させてはいけないという精神からきていること、そしてもう一つは出演者の「人格」を守るという観点からこうした法律が制定されています。(よく日本のテレビ番組で、大げさな吹き替えを見かけますが話している本人がそれを知った時、自分という人間とはかけ離れていると思うこともあるでしょう。出演者の人格を否定することになっているのです)実はヨーロッパでも吹き替えが主流になった時代があったのですが、それが国の国際化を阻み始めた為に法律で規制するようになったのです。その法律の内容は、吹き替えを禁止するものから、選択肢を与えなければいけないというものや、テレビ番組で外国人のインタビューなどを放映する場合はその人の生の声、言い方を尊重して放送しなければならない、など様々です。

こうした決め事によって、子供もそして大人も母国語以外に触れる時、普段から外国語を耳にする機会を増やしているのです。これはヨーロッパ各国に共通した一種の国策でもあります。例えば、理数系や医療系の文献は決まって英語の文献が他の言語よりも先んじて出版されるので、英語を理解できる国民が多いほど世界の先端のものを理解してくれる国民が多いという結果になります。また、論文などの出版側としては、世界の中で一番話されている言語から出版するのは、情報共有の輪を多くするという観点からも当たり前なので、英語の文献が他の言語より一歩先をいくのは当然でしょう。そして、英語から各国語へ翻訳された時、翻訳時のミスというのも起こり得ますし、更に失われやすいのは筆者の「ニュアンス」かもしれません。ニュアンスを言語を跨いで翻訳して伝えるというのは、プロの翻訳者の方はご存知かと思いますがとても難しい作業です。

しかし、英語のニュアンスに触れる、英語の構造が耳でわかっている子供や若者が増えることで、その国へ伝達される情報はスピードを増し、結果的に国力を最先端のものに持っていくことができるという原理が働いています。

もちろん老人や英語に興味のない方は、吹き替えものを視聴しても良いでしょう。しかし、海外に興味のある大人やこれから世の中へ飛び立っていく子供、若者は、吹き替えはできるだけ避け、生の声を聞くことで耳が外国語に慣れていきます。将来、財産になるでしょう。幼稚園生や小学校低学年の子供で漢字が読めないからという理由で吹き替えの外国プログラムを見せることもあるかもしれませんが、可能な限り字幕のものを選択して、我が子には是非外国語の耳を育て、将来外国語へアレルギー反応がないようにしてあげたいものです。

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