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"リズムが面白い曲"特集【Music-Con-Text】vol.26

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"リズムが面白い曲"特集

今回は「リズムが面白い曲」特集です!最近やった「転調が印象的な曲」「音楽理論についてどう思う?」特集のようなテクニカルな内容の記事が面白いな、と思って、今回はリズムに焦点を当てて、特集してみました!それではどうぞ!(sumeshiii)


✏︎Hibiki Bison の"リズム曲"

In Time / Sly & The Family Stone

 リズムが面白い曲ということで、まず真っ先に思いついたのがスライのIn Timeです。「最高のジャケット特集」でもスライのFreshを挙げさせていただいており、被ってしまいました…。が!!リズムといえば本当にこの曲が凄いのです。イントロからグルーヴィで最高にカッコよくて、さらにAメロに入った時のリズムに圧倒されます。様々な楽器が同時ではなく、違ったタイミングで音を鳴らしているためリズムが複雑になるのですがそのタイミングが完璧すぎて、言葉では言い表せないグルーヴです。本当に一度聴いてほしいです、そして聴くたびに新しいリズムやノリを発見します。前作の『暴動』とこちらのIn Timeが収録されている『Fresh』は、グルーヴを語る上では外せないアルバムではないかと個人的には感じています。

Playa Playa / D'Angelo

「ビートのズレってこんなに気持ちいいのか…!」と初めて聴いた時に衝撃的だったのを覚えています。ドラマーはクエストラヴとして知られるAhmir Thompsonです。自分でもこんなビートを作ってみたいと思って、YouTubeでDrunk Beatsの解説動画を見てみたり、ドラムマシンの打ち込みを少しずらしてレコーディングしてみたりしましたが、こんなにカッコよくならないのです。謎に満ちた心地よさのあるリズムをぜひ一度聴いてみてください。こういったズレたリズムはLo-Fi hip-hopで聴くこともできますが、そのズレ方(サンプリング音源含む)によってかなり印象が変わってくるのも面白いです、私の中ではPlaya Playaが本当最高だなぁと思っています。

以前に星野源さんのANNに細野晴臣さんがゲスト出演した回で、スライとD'angeloのことを話されていましたが、そのお話から自分も凄く影響受けているなぁと感じました。

▼Hibiki Bison の楽曲紹介

ring ring time...! / りんりん

グルーヴを強調したいなと思って、リズムにこだわって作ったRemix曲です。


✏︎橙ミャオ の"リズム曲"

Music-Con-Textをお読みのみなさま、こんにちは!
「作曲ねこ」なる肩書で活動している、橙ミャオと申します!

みなさまは「ポリリズム」という言葉、聞いたことがあるでしょうか?
ゼロ年代J-POPが世代だよという方は、Perfumeのシングル楽曲のタイトルとして記憶している方もいらっしゃるかもしれませんね!
この言葉はpoly(多くの)+rhythm(リズム)という英語で、つまり「複数のリズムが同時に演奏されてるよ!」ということを指す音楽用語なのです。

ポリリズムが使用されている楽曲は探せば多くありますが、
今回は「リズムが面白い曲」の特集ということなので……
ポリリズムのなかでも、特に変わり種のものをご紹介しましょう!

カナダ・モントリオールの鬼才キーボーディストAnomalieによる「Velours」というこちらの楽曲は、
タッカタッカ……という、いわゆる「ハネリズム(音楽用語でシャッフルと呼ばれます)」を基調とした楽曲。しかし、この曲はただのハネリズムではない、とても特異な点があるんです。それは、
「2種類のハネリズムによるポリリズム」が「ほぼ常時流れ続けている」というところ!

「タッカッカタッカッカ」というゆっくりなハネリズムと、
「タッカタッカッカタッカタッカタッカッカタッカ」という忙しいハネリズム。
これ、実際に聴いてみるとこんな感じです。左がゆっくり、右が忙しい。

なかなか難解なリズムですよね……!
このVeloursという楽曲では、この2種のハネリズムが「ほとんど常に」混在しています。
最もそれが分かりやすい部分として、0:53~を聴いてみてください。チッチチッチ……という音(ハイハット)がゆっくりのハネリズム、
キーボードのフレーズが「タッタタッタタッタタッタ」と忙しいハネリズムを刻んでいるのがわかりますでしょうか?

こういうポリリズムのアプローチ、アクセントとして一瞬楽曲に登場する……というのはたまにあることなのですが、
ほとんど全編でこのタイプのポリリズムが用いられ続けている楽曲というのは、少なくともわたしはほぼ存じ上げないのです。そのくらい珍しいアプローチである理由はおそらくシンプルで、「複雑すぎて、楽曲を聴き心地よく聴かせるのが難しいから」。

そしてそれこそが、Anomalieというアーティストが「鬼才」と呼ばれているおおきなひとつの理由でしょう。
ともすれば気持ち悪くなってしまうであろう複雑なリズム構成を、「跳ね方」の絶妙なコントロールによって気持ち良く聴かせてしまうその手腕は、さながら『リズムの魔術師』。
ジャズ仕込みの華麗なキーボードプレイングと併せて、みなさまもぜひ彼の掌の上で踊らされてみてください。その常識を超えたリズムワーク、目いっぱい堪能しましょう……!

▼橙ミャオ の楽曲紹介

そんなAnomalieから強烈に影響を受けた作品を、わたし橙ミャオはちょうど先日(2024/3/28)リリースしたところでした! ボーカリストに高峰伊織・潮成実の両名(敬称略)を招き制作した楽曲は、
そこかしこに色とりどりのポリリズムを散りばめた、とても異質な音空間に仕上がっています。
この記事を読んでくださったみなさまはぜひ「あぁ、Anomalieの影響を受けてるのはここね」と、ニヤリとしながら聴いていただけると楽しいんじゃないかな?と思うなどします!


✏︎タカハシルイ の"リズム曲"

どうも!激しい音楽を作るの大好きな音楽家、タカハシルイです!

今回の特集テーマは「リズムが面白い曲」ということで、僕の好きなリズムのお話をしようと思います。
皆様はアーメンブレイクという言葉を聞いたことがあるでしょうか?音楽家が集うこの記事にたどり着いている皆々様は耳の端っこに少し引っかかったこともあるのではないでしょうか?
アーメンブレイクとは、The Winstonsさんの『Amen Brother』という楽曲の1:26くらいから1:33くらいのドラムソロの部分の音を指します。
[ The Winstons/Amen Brother この曲の1:26-1:33]

思わず身体が動き出す素敵なビートをサンプリングして、色んなジャンルの楽曲に頻繁に使われるという由緒と歴史のあるビートなのですが、僕はこれを(めちゃめちゃざっくり言うと)無茶苦茶やってガガガガガガってやっている音楽、ブレイクコアが大好きなのです。
では、その大好きな楽曲の一つ、

廻転楕円体/非在に祈ぐ

を紹介します。

柔らかな曲の始まり、どこか夢の中から聴こえてきたかのような美しいピアノではじまるこの楽曲、瞬間訪れる暴力、暴力、音の暴力。いいんですわぁ~~~~~~!こういうのホント!!なんだろうもうこういう楽曲は言葉では伝えれないというかもう、
『感じてくれ、パッション』『言葉にできない良さ』的な表現くらいしかできないくらいに良いです。全体的に聴き終わったときの感想は「美しかった・・・」だからホントなんかキツネにつままれた気分です。
美しさ、是非体感してください。

▼タカハシルイ の楽曲紹介

廻転楕円体さんに誘っていただき廻転楕円体さんの楽曲をRemixした作品になります。 タナトス -LOUIEMIX- (Speedcore Remix / タカハシルイ)


✏︎冷水ぬるめ の"リズム曲"

歌と楽曲制作で活動している高校生VTuber『冷水ぬるめ』です。

リズムが面白い曲ということで敢えて有名すぎる楽曲を紹介したい。

Dream Theater / Act II: Scene Seven: I. The Dance of Eternity

通称The Dance of Eternity。
アメリカのプログレッシブメタルバンド『Dream Theater』の楽曲。

正直に白状します。 このDream Theaterというバンド、最初に聴いた時の印象は全然良くありませんでした。
「サビも無いし、リズムと取れないし、全然良さがわからない!」って感じでした。

だってあまりにも複雑、難解、意味不明。
「4拍子、ABサビ構成」しか知らなかった私に「このバンド最高だよ!」っていきなりURLを渡してきた友人はきっと 自覚も無しに離乳食でデスソース飲ませるようなヤツに違いない。

でも、そういう衝撃って大体あとに引くじゃないですか。
今では私の大好きなバンドのひとつです。
ありがとう友人。

さて、この楽曲は当バンドの名盤「Metropolis Pt.2: Scenes from a Memory」の9曲目を飾る有名な曲。
鬼テクの演奏陣による鬼テクな楽曲構成による鬼テクなインストゥルメンタル。
決して「なんだテクいだけなのか」と食わず嫌いする事なかれ。

まずは3回ほど聴き流してみましょう。
聴かなくていいんです、聴き流していいんです。

確かに複雑難解なんですが、その中の「キャッチーさ」に気づいたらもう虜。
後は聴けば聴くほど「新しい発見」がゴールドラッシュのように見つかる見つかる。
あんなに難色を示した第一印象から一転。 気が付けば耳で、指で、頭で、楽曲の拍子を数える闘いが始まる。

特に感動したポイントが「拍子」を上手く使っての「いつの間にか、さりげなくシャッフルのリズムが介入してくる」ところ。
音楽なのに数学の要素がバンバン。 音源を聴いて楽しい、譜面を見ても楽しい。
耳からも目からも沢山の学びがある。
これはもはや音学であり数楽なのかもしれない。

▼冷水ぬるめ の楽曲紹介

VTB48 / 恋するタンバリン
焔魔るり、かしこまり、ころねぽち、Sifar、たっちん1号、冷水ぬるめによるコラボ楽曲!!
冷水ぬるめが「うちもアイドルになりたい!!」というワガママから結成した、ワンチャンお叱りを受けそうな名前のアイドルユニット!!

歌唱、作詞、作曲、編曲、エンジニアリングなど諸々を担当しました!!
とってもアイドルでポップでロックなKawaii楽曲です!!


✏︎sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司 の"リズム曲"

僕自身はもちろんのこと、日本のJPOPの歴史において"リズムの教育”をしてくれたのは、この人なのではないか、と言ってみたいと思います。

はっぴいえんど、YMOのベーシストで、作曲家の細野晴臣さんです。

60年代後半〜アメリカ西海岸のリズムと、当時のロック文化に触発されて、そのリズムをのちにJPOPにつながる日本の音楽に持ち込みました。(もちろん歌謡曲のラインでは戦前からつながる洋楽の影響の話もありますが、ここでは割愛します)

僕が心から愛するアルバム「はらいそ」から「ウォーリービーズ」という曲を聴いてみてください。

横揺れしたくなるようなブラックミュージックのグルーヴに、仏教世界の歌詞が乗って、細野さんのセンスでしかありえなかったオリジナリティがあります。細野さんが弾いているベースラインをよく聴いてみてください!一生聴けます。

このはらいそは1978年リリース。

もう一曲は2019年リリースのアルバム「HOCHONO HOUSE」から「住所不定無職低収入」

ベース、ドラムはもちろんのこと、ギター、ぽこぽこするシンセの音、ストリングス、そして細野さんの渋い歌声、その全てがリズムを謳っているようです。

紙面上、はっぴいえんどのことやYMOのことなど、全く書けなかったのですが、1970年から今に至るまで50年以上、第一線で活躍し続ける最高の音楽家です。ぜひリズムを浴びてください!

▼sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司 の楽曲紹介

sumeshiiiが作曲・編曲を担当したこの曲は、ブラックなリズムとsumeshiii流のポップスをぶつけた自分でもお気に入りの曲です!


編集長sumeshiiiのコラム

ディアンジェロにポリリズムにアーメンブレイクにドリームシアターに細野晴臣と、リズム特集に最高にふさわしいラインナップになっているのではないでしょうか?!??!?!

細野晴臣のことをもっと書きたかった・・・・!!はっぴいえんど期の話とか、トロピカル期のこととか、そこからYMOに至って機械のグルーヴを作っていき、そしてHOCHONO HOUSE、古い洋楽のカバーを伝える伝道師的な活動にいたるまで・・・また機会があれば書いていけたらなと思います!


MCTメンバープレイリスト!随時更新中!

MCTに記事を書いているメンバーのオリジナル曲プレイリストがあります!記事と合わせて楽しんでね!プレイリストはメンバーが増えると随時更新されていきます。時々チェックすると曲が増えてるかも・・・?!

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Artwork by 詩川天楽


参加したい音楽家の方、募集!

参加者募集

音楽家(楽曲制作をする人、作詞をする人、エンジニア、そして、歌う人)で、この企画に興味ある、参加してみたい、という方はぜひsumeshiiiのX(Twitter)や、Discord知ってる方はDiscordまで、ご連絡ください!運営Discordサーバーを制作しましたのでご招待します。

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まずは1曲、特集内容にそった自分のおすすめ曲をコメントしてみるというだけでも大丈夫ですので、ぜひ参加してみてください!やってみて合わなかったら読む専に徹底しても大丈夫ですし、抜けても大丈夫です!音楽の紹介コメントって結構楽しいし、それを各自ばらばらにあるよりかはコンセプトの元にまとまってたほうがより効果があると思うのですよね・・!そんな意図もMCTにはあります。

今後の展望

今回特集記事で書いたような、楽曲紹介コメントを書いてくれるメンバーを募集して、記事を定期的に出していけるようにできたらいいな、と思っています。

そして、現在はsumeshiiiのnoteに投稿していますが、MCTに参加してくれるメンバーが増えれば、その中からご自身が編集長として各自で特集を組んでご自身のnoteで公開するという方がどんどん出てきたらいいなと思っています。(なのでnoteのマガジン機能を使います!)そうすることで、ご自身の音楽と記事を紐付けることができ、記事の閲覧者が増えるほど自身を宣伝する機会が増えていくことになると思っています。それがMCTの最大の狙いです。

さらには、ライブ配信と連動してみたり、Spotifyのプレイリストやポッドキャストの連動もしてみたいし、さらにその先はコンピレーションを作ったりなど、より広がりがある展開ができると考えています。最初は音楽家限定にしていますが、そのうち、ライターの方のコーナーやリスナーが参加する企画などもできたらいいなとも思っています。


バックナンバー

Music-Con-Textの詳しいコンセプトや、sumeshiiiが立ち上げた理由、理念などはこちらの記事に書いてありますので、合わせて読んでみてください!

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