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【エッセイ】リアルとアンリアルが溶け合う数列の海に生まれて

はじめに

この記事は 全国学生VRサークル活動報告会 Advent Calendar 2022の23日目の記事となっております。
ぜひ他団体様の記事も合わせてお読みください。

リアルとアンリアルが溶け合う数列の海に生まれて

著者:文学アーティスト 桜木シン

命とは何か、考える。
命には心がある。考える心、信じる心、思いあう心
心は焚火である。そこにあれば温かく、命をじんわりほぐしてくれる。
命には喜びがある。何かを得る喜び、何かを共有する喜び、何かを愛する喜び。
喜びは人の心に火をくべる薪である。心を維持するために、喜びという薪をくべるのだ。
命には哀しみがある。失う哀しみ、別れる哀しみ、嫌う哀しみ
哀しみは心を吹き消さんとする風である。だが、風があるからこそ、心はあり続けることができる。
では、その大切な命は、何をもって大切なのだろう。
大切とは、失われてはならないものと捉えられる。なのに命には、必ず終わりがある。
終わりのあるものを、どうして大切にしなければいけないのだろう。
花を見てみよう。あれはとても小さな命だ。咲いているのは、長くて2ヵ月から3ヵ月。 僕らに比べて、遥かに短い。
だがそこに僕たちは、美を感じる。綺麗、美しいと言い、そこに思いをはせる。人はそれを「尊い」と呼んだ。
道理はほとんど変わらない。変化があるからこそ美しいのだ。期間が決まっているからこそ、
そこに思いをはせることができる。
 
心とは何か、考える。
実際に人の心を数列で表現することは可能なのだろうか?
例えば、脳波。あれは脳が身体中の細胞に送る電気信号である。これを回路として再現することは可能か。おそらく出来るだろう。一定の数列に意味を持たせ、それが発信されたなら、同じく意味を理解している受信機に読み取らせればいいのだ。だが、我々はそこに違和感を感じる。
心が欠落しているからだ。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』なんてのはよく言ったものである。
無機物から生まれたものに心や感情が宿ることは無い。少なくとも現代においては。
そこで必要になってくるのが、人間の心である。
喜怒哀楽、心から生まれる感情が、バーチャルという仮想現実を存在たらしめる重要なパーツである。
このバーチャルという現実と非現実が溶け混じりあう数列の海の底で、我々は生きることを選ぶ。

心を求めて。命を求めて。


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