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ハラハラするほど大雑把に見えるらしい

僕は細かな性格なんだろうか。
大雑把な性格なんだろうか。

実は自分ではわりと細かな性格だろうと思っている。
どうでもいいことに引っかかってしまう場合もあるし。
こうしてあぁしてと事前に考えを巡らせるのは、結構綿密だったりもする。

最近、よく引き受けている就職ガイダンスの仕事でこんなことがあった。

ガイダンスは随所に個人ワーク、ペアワーク、グループワークを織り交ぜてある。
「では隣の人とペアになってお互いに自己PRしてみましょう!」みたいな。
僕が話すばかりでは生徒も飽きてしまうから。
もちろん時間無制限というわけにはいかないので、こうつけ加える。
「時間は1人2分、交代して2人で合計4分な!」と。

このとき、僕はタイマーを使わない。
2分といってそれが2分10秒になったとて、あるいは1分30秒になったとて、そこに大きな問題はないと考えているからだ。
むしろ、ワークに取り組んでいる生徒の表情をつぶさに見ながら、あとちょっと伸ばそうとか、ここで打ち切ろうなどといった自由度の高い講座運営が可能になると考えている。

ところが、これが気にくわない人がいた。

僕が生徒たちにワークをやらせているときに、ツーッと忍び寄ってくる影。
同じ講座の後半を担当するもう1人の講師だ。

「タイマー使いますか?」
その人が自分のタイマーをチラッと見せながら、そう言ってきた。
僕がタイマーを持ってくるのを忘れたと思っての厚意だなと思った。
「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」
タイマーなどいらない僕は、もちろんそう答えた。

「え、本当にいいんですか? 2分と言ったのが先ほどのグループでは3分になってますよ。タイマーないとまちまちになりますよね」
その時点で、こいつ面倒くさいなと思った。
2分が3分になるって、むしろそういう意図でやってんねん、ごちゃごちゃ言うなや…とは言わず、
「あ、いえ、生徒の様子を見て決めていますので」
「そうですか? わかりました…」
ようやく諦めてくれた。

しかし、その講師は納得したわけではなかった。
僕の担当時間だったので、その場は引き下がっただけだったのだ。
事後報告書にはこう書かれていた。
「前半の講義はタイマーが使えず時間管理が疎かになった。後半の講義では改善した」

は? なに言うてんねん。
「前半の講義はタイマーを使わず時間管理が柔軟だった。後半の講義ではタイマーで正確公正を期すことを重視したために、生徒との双方向的なやり取りもせず画一的な時間管理となってしまった」
やろ。

また別の日には、僕が講義を進めていると、別の講師が教壇にやってきて、板書しましょうか?という。
いや、必要あるなら自分で書いてるし、自分で書けないならあらかじめ手伝ってほしいとお願いしてるって。
僕は基本的に書かないし、投影もしない。
統計数値を誤りなく伝える場面以外で板書の必要はある?
いやいや、伝えたい事柄が自分の胸のうちにはっきりあって、それを知りたいと思っている相手が前にいるなら、言葉で全部伝わるはずだ。
板書で背を向けるから、伝わるものも伝わらないし、寝る人は寝るのだ。

細かな性格のはずの僕は、どうやら傍からはハラハラするほど大雑把に見えるらしい。

(2024/7/21記)

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