道具たるものこうでなくっちゃ

とある金物市で、爪切りを試用してみた。
新潟の有名な金物の町で作られたという爪切りだ。

いかにも切れそうだったし、もちろんよく切れた。
まだ何の力も加えていないうちに、といっていいくらい。
そして切り口がまた美しく、何のささくれもない。

こんな爪切りは初めてだし、これで切ったら爪もさぞ嬉しかろう。
さすがだ、道具たるものこうでなくっちゃ。

値段は1500円、安くはないが、100回使えば1回15円。
道具は使いこめば最初の投資は気にならなくなる。

しかし買わなかった、というより買えなかった。
家にいくつもあるもらい物の爪切りや、出張に持ち歩いている百均の爪切りが頭に浮かんだのだ。

たしかに切れ味は月とすっぽん、されどそれらも道具のはしくれ。
いくらダメな道具でも、使えるうちは大切に使いたい。

ときれいなことを言っているが、実際のところ、百均なら100回使えば1回1円、と計算してしまっただけだが。

（2016/5/12記）