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「あちゃぁ、しまった…」を聞きたくて

世間一般には、夫が忘れることが多いみたい。
誕生日やホワイトデーはぎりぎり覚えていても、これは難しいらしい。

もちろん、結婚記念日の話だ。

その日は夫婦にとってのいわば誕生日。
何日も前から2人でその日を意識して、特別なご馳走を用意したり、ふだん使わないようなレストランを予約したり、プレゼントを用意し合ったり。

なのに夫がその日を忘れたことで喧嘩した、離婚した、とはよく聞く話。
ただ、正月やクリスマスのように世界同時開催のイベントではないし、誕生日のように目に見えて年を取るわけでもないから、正直覚えにくい。

そう、結婚記念日は忘れやすいのだ。

しかしもちろん、忘れるのは夫ばかりとは限らない。
確かに記念日を疎かにしがちな男性の方が忘れるケースが多いだろうけど。
忘れる妻だって、きっといっぱいいる。

うん、夫ばかりじゃない、妻だってきっと。

妻だけが忘れていると、覚えている夫としてはアクションしづらい。
今日、記念日…よな、と声をかけるのは、そやけどそれがどしたん、と言われたときに立ち直れなくなりそうでやりたくない。
かといってサプライズで何かプレゼントするのも、かみさんを追い込む結果になるのが目に見えているのでやりたくない。

そう、うちの話だ。

ご馳走をサプライズで用意するのがいいだろう。
わぁ!と相手を驚かせる一方で、後に残らないからプレッシャーもない。

前職ではシフト制だったので毎年その日を休みにしても、有休をわざわざ取得するのとは違って、かみさんが怪しむはずもない。
家に一人の昼間にご馳走をこしらえ、パーティーの準備をするのだ。
そして帰宅したかみさんが、あちゃぁ、しまった…と頭をかく。
毎年の恒例行事だ。

ただ現職は土日が休みなので、その日に合わせて有休を取ると目立つ。
今年はまったく準備のできない平日だったので、うまそうなスパークリングワインを仕事帰りに買うのが精一杯。
「ん? 何? どしたん?」
さて今日は何の日?

はい、今年も無事、恒例行事!
「あちゃぁ、しまった…」を聞きたくて。
雪舞う極寒の、京の下鴨神社で凍えながら式を挙げたあの日を忘れるわけないけどなぁと毎年思いながら。
この時期、節分あるし、娘の誕生日もあるし、バレンタインも近いから忘れるんよねぇ、というのは初めて聞いたけど。

昨日、25周年、銀婚式。

(2022/2/2/記)

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