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あとに残ったほんわかな余韻

電車を下りてホームを歩いているときのこと。
自分が下りた電車の扉が閉まり、今まさに動き出したところだ。

ふと見ると、遠足の幼稚園児がいっぱい乗っている車両がある。
扉付近に立っていた数名の園児たちが、誰にというでもなくホームに向かって手を振っていた。
ふだんであればそのまま受け流し、何も起こらない展開だ。

しかしその日は違っていた。
どういうわけか子どもたちに反応し、無意識のうちに手を振り返してしまったのだ。

一瞬子どもたちの顔が「え?」となって、やはり手を振り返してもらうことを期待していなかったのだと分かる。
「しまった」と思った次の瞬間、園児たちはみな満面の笑みとなり、さらに大きく振り返してくれた。

それを見て放っておけるわけがない。
こちらも腕がちぎれるかと思うほどに大きく強く振り返し…

電車が速度を増し、園児たちが見えなくなるまでおよそ数秒だったが、あとに残ったほんわかな余韻にしばらく包まれた。

(2014/11/14記)

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