もうどれでもいいや
オレオ vs ノアール。
すでに結構話題になっているから、食べてみての味の違いなどは他の記事を当たってもらう方がよい。
アメリカ・ナビスコの本家オレオは、1912年(大正元年)の製造開始というから、相当古い。
日本には1972年に入ってきたそうだが、これも思っていたより古い。
そんな昔からあったっけ。
山崎製パンとの合弁会社、ヤマザキナビスコが製造していた。
あの強烈な苦みにはまったオレオファンは結構多い。
2016年の合弁解消にともない、日本のオレオはナビスコ製となった。
というか、中国で作ったオレオを輸入している。
当然、これまで親しんだ味とは違ってくる。
ヤマザキナビスコの後継であるヤマザキビスケットはオレオそっくりのノアールを出した。
また日本お得意の猿マネかと思ったが、おそらくオレオの味がなんか変という声を多数受けて、以前のレシピでヤマザキが復刻したものだろう。
もちろんオレオの商標は使えないが、こちらは以前のオレオと同じくガツンと苦みがくる。
アメリカの本家オレオがどんな味かは知らないが。
中国産の菓子と聞くと素直に喉を通らなくなるし、まぁここはやはり安心の国産・ノアールに軍配か。
…と思わせて、しかし原材料を見て一変する。
ノアールには悪名高きショートニングが使われているのだ。
それだけにとどまらず、加工油脂、乳等を主要原料とする食品、ブドウ糖果糖液糖と加工材料のオンパレードだ。
オレオが昔ラードを使用していたのを、ショートニングに置き換え、さらに今はトランス脂肪酸を含まない植物油脂に置き換えたのとは対照的だ。
せっかく昨日食べ比べて、フムフムやっぱり国産よなと書きたかったのに、そんな簡単な話ではなかった。
慣れ親しんだ味は作り込まれた化学の味だった、といえるかもしれない。
慣れを取るか、旨さを取るか、健康を取るか、産地を取るか、ブランドを取るか、大きさを取るか、価格を取るか。
オレオ vs ノアールの戦いには、そんな悩ましい選択肢が交錯する。
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オレオにはもう一つの類似品が存在する。
ベトナム製のクリームオーだ。
もう食べる気にもならないから知らないが、価格は断トツで安い。
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さらにややこしいが、アメリカのオレオも発売当初は模倣品だったらしい。
ハイドロックスというそっくりなクッキー(いや、オレオがそっくりなのだけど)が、オレオの4年前、1908年(明治41年)に出ているのだ。
ラストエンペラー・愛新覚羅溥儀が清の皇帝に即位した年に、こんなハイカラなものを食べていたなんて、アメリカ人やるな。
ハイドロックス(復刻版)
これをオレオがパクり、あれよあれよという間に有名になり、ハイドロックスが逆にオレオの模倣品とみなされるなどして消えていったという。
もうどれでもいいや。
(2021/7/25記)
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