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「書く人あれば読む人あり」~雑誌の編集~

※〈ちょこっと倶楽部・エディターコース〉メンバー向けの限定記事です
※メンバーでない方も途中までお読みいただけます

もう1か月以上も前の話になるが、僕はこのnoteで「電子出版を考える」という勉強会を開いた。

Kindle出版を叶えたばかりの菊地早秋さんをゲストnoterに迎え、電子出版について語り合うというトークセッションだった。

その勉強会に、キキさんがご参加くださった。
キキさんは雑誌の編集長を務めておられた方で、ちょうどその職を退くというタイミングで勉強会に参加されたのだ。

キキさんはその後まもなくnote上で「編集とは」という連載を始められた。
編集部の思いが1冊の雑誌に結実するまでのダイナミズムが綴られたその記事は、書籍の編集部に身を置いたことのある僕には実に興味深く、連載をとにかく楽しみにしていた。
後進を照らす貴重な連載と感じ、編集長の書き置きみたいとコメントしたら、その次の回からサブタイトルとして「編集長の書き置き」をつけてくださるという嬉しいできごとも。

その連載はすでに完結し、このマガジンにまとまっていてているから、雑誌の成り立ち、実際の段取り、編集部の腐心など、興味ある方はぜひ!
雑誌編集長の見る「編集」を疑似体験することができる。

第1話はこちらなので、ここから読み進めるとよい。

僕は昔、書籍の編集者だった。

新卒で入社したのは百科事典で名高い出版社だった。
昔、百科事典でヒットを連発し、社員は毎日銀座で豪遊していたという。
今ではとても考えられないが、数十万円もする全20巻や全30巻の百科事典を一家に一揃え置く、というのがステータスだった時代があったのだ。
確かに僕の家でも、小学館の百科事典、学研の学習百科事典がずらりと本棚を占拠していた。

しかし僕が入社したときはすでにそんな時代ではなく、百科事典はとにかく売れなくなっていた。
百科事典しか作ってこなかった編集部の方向転換にはかなりのエネルギーを使ったようだが、それでも書籍編集部と雑誌編集部の2つが立ち上がった。
僕が入社したのは、それから10年ほど経った頃になる。

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