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遠くへ行け

私はこれからどんな男の人と出会って恋するんだろう
好きになれるのかな、誰かのことを、これ以上
もうお腹いっぱいだ
既に一生分の恋に見舞われたように思う

それでも、私を待っていてくれる人がいる気がする
その人とはきっと最後に会える
両手を広げて待っていてくれる
夢みたいに愛おしい素敵な人

恋だけじゃなくて、全て、私はどこに向かっていてどこに行き着くんだろう

だってもうずいぶんと遠くまで来たみたいだよ
知らなかった人に出会って、知らなかった音楽を大好きになった
振り返れば、私が踏んできた地面のどれもが感傷的にくずれ落ちそうだ

それでも、どれだけ美しいものを享受しても、私は私の言葉を残すことをやめないよ
各駅停車の電車内で立ち続けるみたいに

今、大好きなミュージシャンの曲を聴いて、ふと悔しくなった
私はこんなに言葉に溢れているのに、その人のように高らかにメロディに乗せて歌うことが得意じゃない
好きなミュージシャンに悔しい気持ちを感じるなんて何年振りのことだろう
まじかよ、って苦笑してしまった 

中学1年になったばかりの頃、その時大好きだった、私が人生で初めて好きになった生身のアーティスト(それまではボーカロイドばかり聴いていたから)の巨大過ぎる才能に嫉妬していた。
14歳の頃、今でも一番に好きなバンドに出会って衝撃を受けて、感じた初期衝動をぶつける先がなくて、思いを殴り書きした
そして15歳で言葉の天才に出会って、今まで使っていた言語体系を崩されて、感情のステージに上がることになった
悔しくて悔しくてずっと私は悔しかった。
言葉なら私にも溢れているのに。

私は、大好きで尊敬しているミュージシャンに音楽で渡り合えるなんて1ミリたりとも思っていない。
それでも、私は表現で彼ら彼女らに萎縮する気持ちはない。私であることの表現になら自信があるから。それは対等なんだ。
もちろん、音も言葉も到底敵わないからこそ好きなんだけど、私の言葉は私の中にしかない。ここからしか出てこない。だからすごく価値のあるものだと思う。私が私であること、その表現の価値に優劣はないと思う。

私はこれからどこに進もう
私の言葉がもっともっと遠くに届くためにはどうしたらいいのか考える時なのかもしれない。

でも、私がまだくすぶっていること、私に言葉を教えたあの超歌手が知ったらきっと応援してくれるよね。

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