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10 Best R&B Songs of 2024 So Far

夏ですね。暑いです。

一番最近に行ったコンサートは、5月末の Snoh Aalegra でした。「I want you around」や「DO 4 LOVE」で知られるスウェーデンのR&Bシンガーです。

都内の小さな箱での海外アーティスト単独公演って、開演前BGMが楽しいですよね。 この日は、ちょうど私が入場したタイミングでは Stevie Wonder や Ginuwine、Alicia Keys が流れていて、場内で小さな歌声が飛び交っていたのが楽しかったですね。コンサート自体も、歌がうますぎて目を瞑って聴いてました。

次のコンサートの予定は Billboard Live Tokyo の Jam & Lewis です。楽しみ!



さて、2024年上半期のお気に入りR&B/Soulを10曲紹介します。聴き逃しがあったら是非聴いてみてください。

10. On My Mind - Baby Rose & BADBADNOTGOOD

恥ずかしながら Baby Rose がこんなジャズシンガーだと思っていなかったので、大変な衝撃。BADBADNOTGOOD のジャジーなオールドソウルのアレンジに決して負けない、破格のボーカリゼーションは必聴。

9. Bop Your Head (Till It Drop!) - Grande Mahogany

Jimi Hendrix か?Sly & The Family Stone か?Funkadelic/Parliament か?突如現れたフィンランドのファンクアーティストのデビューLPは、自由気ままにあの頃のサイケデリック・ファンクを再現してみせている。


8. Saturn - SZA

結局のところ SZA の音楽の魅力は、バンドのそれぞれの楽器がバランス良く、マスターされており幻想的な世界観を構築している点に尽きると思うのだが、「Saturn」も例外ではない。インパクトこそない曲ではあるが、『SOS』(2022) の続編(あるいは完全な新作)『LANA』への良い繋ぎ。もしかして Stevie Wonder「Saturn」(1976) を意識していたり?


7. Pluto - Raveena

「ヒーリング系」R&Bのトップを走る Raveena の新作からのシングル。ファンキーなベースラインやヴァイナルスクラッチを取り込んでいながら、歌声は常に麗しく、サビで微かに鳴るシタールの音も相まって、不思議なチルの感覚に陥る。

6. All Yours - Normani

2015年を境にトラップビートが覇権を握った2010年代後半、R&Bシーンはそのビートをどう落とし込むかという課題に向き合うことになった。その答えを早々に出してしまったのが Ariana Grande の『thank u, next』(2019)あるいは『positions』(2020)だった。「All Yours」はその解法にうまく乗っかった。今年 Camila Cabello はエキセントリックな路線に走ったが、Normani は王道なR&Bで勝負しにきた。


5. SAME MISTAKE - DESTIN CONRAD

じわじわと知名度を上げる DESTIN CONRAD。各所から引っ張りだこの Alex Isley とのデュエットは、雨の日にでも聴きたい、しっとりとしたネオ・ソウル。

4. Make Me Forget - Muni Long

Jimi Hendrix の「Voodoo Chile」があったからこそ、D’Angelo の「Untitled (How Does It Feel)」が生まれたわけで。他ジャンルと同じく、ソウル/R&Bの歴史は再定義と再解釈の繰り返しでできている。90年代終わりから00年代にかけてのR&Bをどストレートでやっている Muni Long が、そのバランス感覚をそのままに D’Angelo を再解釈すると、こうなるわけだ。


3. After Hours - Kehlani

Kehlaniは意外と、新しいR&Bをやるアーティストではない。『SweetSexySavage』(2017年)が『Crazysexycool』(1994年)を下敷きにしているくらいなので、どちらかと言えば王道寄りのR&B。Nina Sky と Jabba の「Move Ya Body」を大胆に使った「After Hours」は、期待を裏切らない真っ直ぐな夏のクラブチューンに仕上がっている。

2. Walk Like This - FLO

UKの3人組R&Bガールズグループの快進撃はまだまだこれからなはずだ。曲をリリースする毎に、3人のボーカリストとしての立ち位置がはっきりしてきており、ステージでのパフォーマンスもデビュー当時からは見違えるほどに成長している。そこをどけ、FLO が闊歩して通り過ぎるぞ。

1. Supernatural - NewJeans

NewJeans の日本デビュー曲。日本はニュージャックスイング(以下NJS)大国であったことを考えれば戦略的に納得だが、それでもやはり新鮮な驚きがあった。80年代のR&Bシーンを瞬く間に彩り、商業化されてしまったがゆえに過剰消費されてしまったNJS。

「Supernatural」は、NewJeansサウンドのシグネチャーである、ボーカルチョップやエレクトリックピアノはそのままにNJSのグルーヴ感を演出し、シンセベースの上に微かにクラビネットを重ねるというオシャレなアレンジも光る。

今曲のプロデューサーを務めた250(イオゴン)は、2022年の自身の作品『PPONG』において、韓国の大衆音楽「ポンチャック」を再定義し、改めてアートに昇華しようと試みていた。彼が感じているアーティストとしての使命は、文化と商業の中に埋もれてしまった30~40年前の音楽を再復興させることなのではないかとまで勘繰ってしまう。そして今回取り組んだのが、80年代の、日本で言えば激動のバブル期を思い出させるNJSだった。

NewJeans、もといミン・ヒジンと250は、80年代から90年代半ばの日本を、ある種の桃源郷として見ている。先日の東京ドーム Bunnies Camp でのハニの松田聖子「青い珊瑚礁」(1980)、ヘインの竹内まりや「プラスチック・ラブ」(1984)はその決定打にもなり、現代のK-POPの源流は80年代以降の日本の歌謡曲、アイドル文化にあることを再認識させた。

彼らのその考えの背景には、1997年のIMF危機でついに崩壊した、韓国の行き過ぎた当時の文化/経済成長政策へのある種の反省があるのではないだろうか。というのも、「Ditto」(2023)のMVには、映画『はちどり』の主演パク・ジフが映らない同級生役で出演している。同映画は、1994年の韓国ソウルを舞台に、突貫工事が原因の聖水大橋崩壊前後の女子高生の日常を緊張感をもって描いた作品(本当に傑作なので絶っ対に観てください)。

映画では、文化的、経済的に限界であったことの象徴として「橋」は崩壊した。NewJeansは90年代韓国の「やり直し」として登場し、30年の月日を経て、当時の流行ジャンルであったNJS「Supernatural」で日韓にまたぐ「橋」を建て直したのだ。「Golden moon, diamond stars. In a moment, we unite」。

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