無本番・練習日記2021年2月8日~2月14日

2021年2月8日(月)
他用のため手短に練習。
 そもそもバロックヴァイオリンは楽器のどちら側を肩に乗せているのか。バロックヴィオラに初めて触れた大学時代の古楽アンサンブルの授業では見様見真似で右側に構えて、今までそれで来たけれど、左側を肩に乗せているモダンに比べて安定せず、ちょっとしたことですぐグラついてしまう。
 ネットで調べているうち、エンリコ・オノフリの書いた記事を偶然目にした。大まかに目を通すと、少なくともL.モーツァルトの『ヴァイオリン奏法』では、左側に構えて、しかも顎も乗せているとの記述が。右側に構えているイメージの強いバロックヴァイオリン・ヴィオラだけれど、実はそうとも限らないのか?
 わずかな練習時間は、左側でバロックヴィオラを構えて弾き心地の検証。違和感こそあったものの、楽器が肩の上で滑らないのは嬉しい。左側と右側、しばらく両方のやり方で練習してみようか。現場で色々な人達の弾き方をこの目で観察できる機会がしばらくは訪れそうにないのが辛い。

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2021年2月9日(火曜日)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
クロイツェル:42の練習曲
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
音階(C-dur , a-moll)
カイザー:36の練習曲 Op.43
ヴュー:音程のための10の練習曲

 また一つ本番が中止になってしまった。本番の中止延期にその都度落ち込むことはなくなったものの、脱力感がなくなるわけではない。今日の練習は、脱力感から抜け出すのが最初の作業となった。
 バロックヴィオラから練習開始。ジェミニアーニは2番と7番。楽器の左側と右側と、両方で構えられるように練習を進めていく。昨日は違和感しかなかったが、慣れれば左側の方が色々安定する。さてどちらが良いのだろう?とりあえず、バロック弓で表現する場合は弓の圧力に頼ることはできない、ということが解った。モダンでは特に重音など、無意識のうちに弓の圧力で問題の解決を図っていたらしい。バロックボウでもそれをやろうとしたら、重音がことごとく不発に終わった。
 ジェミニアーニとクロイツェルの2番で準備運動をして、テレマンは7番。1小節一息。弓の圧力で問題解決を図らない。この2点に留意するだけで今まで解決しなかった問題が氷解していったので、「ちょっとしたこと」が重要というのは本当だ。
 モダンヴィオラは音階とカイザーの1番と3番、ヴューの9番。曲が前に進まない問題が自分の中で(今のところ)解決されたので、ヴューもその場で地団太踏んでいたような苦しさから解放された。相変わらず音程は取りにくいけれど。カイザーは音符の並びが適度に変則的で、弾いていて楽しい。一曲5段程度の短さも、こういうやる気が家出したような時は大いに助かる。今はペトルッチでダウンロードした譜面を使っているが、楽譜を買ってしまった方が良いだろうか。

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2021年2月10日(水)
他用のため練習お休み。

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2021年2月11日(木)
音階(C-dur , a-moll)
クロイツェル:42の練習曲
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番
シューマン:『おとぎの絵本』
音階(C-dur)
F.A.ホフマイスター:ヴィオラのための12の練習曲
 まずは明日のレッスンに備えて予習。モダンヴィオラで音階とクロイツェルは16番。ついでに17番も見ておく。17番、3と4の指のトリルの練習曲は昔に比べてマシになったとはいえ、1ページ上から下まで連続して行うにはキツいことに変わりはなし。途中で指が攣りそうになった時に、弾きながらどんな解決策を講じるのか。おそらく生徒さんも同じ意味でしんどい思いをする番号だと思われるので、今のうちに感覚を伝えるだけではなく、言葉で具体的に説明できるようにしておこう。
 バッハの無伴奏チェロ組曲も予習。第4番の1曲目。印刷のボウイングと強弱記号に翻弄される。どうやら出版社や編集者によってボウイングは大分違うらしいので、レッスンでは今手元にある譜面をうまく利用して演奏してく手だてを一緒に考えていくことにしよう。
 シューマン『おとぎの絵本』は自分用の練習。受講を考えているレッスンの曲選び。最後に弾いたのは10年以上前。今弾いたら、久し振りに弾いたらどうなるのか、若干の興味もあって楽譜を取り出した。ヴィオラ譜を開くと、この頃はまだ受けた指示を何でもかんでも書き込みする習慣が残っていて、呪いのように指番号が直接体の細胞に指示を与えてくる。先生にレッスンで教えていただいた指遣いだけれど、過去の自分に翻弄されているような気分。ただ作品の捉え方は明らかに変わっていて、「綺麗」だけではないものを感じ取れるようになったのは10年の年月の為せる業か。
 さてレッスンに応募しようか、どうしようか。

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2021年2月12日(金)
音階(C-dur)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
 練習を諦めていたら時間が捻出できたので、バロックのみ音出し。カール・フレッシュの教本の5番を基本にしたC-durの音階で準備運動、曲を弾きたい気分だったので、テレマンの12番。楽譜を見て一瞬どんな曲だったか忘れていた程度には、前回弾いた時から適度に時間が開いている。イメージだけで弾かずに済むのと、作品の見方を変えることが出来るので、このくらいがちょうど良い。
しばらくバロックでの本番はないため、練習はのんびりしたもの。時間が来るまで、12番の1楽章をさらい直す。「何が原因かは判らないけれど弾きにくい」という状況から抜け出すことがしばらくの目標。どうやら横の流れを作るよりも前にやることがあるらしい。体感としては掴みかけているものの、まだ具体的に言い表す術がない。今日のレッスンでもうまく伝えられたとは言えないので、もっと自分の中にこの感覚を馴染ませる必要がありそうだ。

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2021年2月13日(土)
他用のため練習お休み。確定申告の準備。

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2021年2月14日(日)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
シューマン:『おとぎの絵本』
 本来ならば「おとのきずな Sing in Messiah」本番当日だった日。こちらも新型コロナの影響で中止になってしまった。第九を弾かない年は珍しくないけれど、『メサイア』を一年以上弾いていないなんて初めてのこと。
 今日は時間の合間を縫うように練習。
 予定の前に、バロックヴィオラを弾く。一昨日中途半端なまま終わってしまったテレマンのファンタジー12番。演奏のアイディアが浮かんでくるのは大体決まって弾いている最中か入浴中。「弾いている最中」が本番中だった場合はメモすることも練習も実験もできないので、なかなか困るタイミング。入浴中も然り。幸い今日は練習中にアイディアが浮かんだので、試すことが出来た。曖昧なままにしていて一昨日も引っ掛かっていた1楽章の輪郭がようやく見えてきて、そのまま2,3楽章と続けたところで予定の時間に。
 予定終了後モダンヴィオラの音出し。仕事で使う短い曲を譜読みして、シューマンの『おとぎの絵本』2楽章を中心に練習する。実を言うと、リズムがよくわかっていない。旗が3本の32分音符と、3連と2連、付点8分音符+16分音符の違いと面白さが出せない、というのが近いか。昨日入浴中に見出した策を実践。学生時代師事していた先生に指摘され、訳も分からずとりあえず書き込んだ「すべらない」の意味が10年以上の時を経てようやく飲み込めた。ついでに3楽章を見る。が、指が回らず、これはこれで時間を割く必要があると覚った。曲全体に関してボウイングは書き込んだものではなく、一度元の印刷のものを取り入れてみることにしよう。

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