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風Vn2024:表板「うちわの羽先」に適度なストレスをかける


 「うちわ」の羽が生み出すような音を作るには
その仕組み作りに「センス(扇子)」がいる。
 

初登場ではないと思うけど、お気に入りのフレーズ。
特に最近、表板の「うちわ」をどう動かすのかを、
ずっと、ずっと、考えていると、
ナンセンスなアイデアが浮かぶたびに
「あぁ、私にセンスをくれぇー」とじたばたして、
このフレーズにたどり着く。
 

 
少し前に説明しましたが、「うちわの羽のように」と言っても
音を出すためには、高速で振動させる必要があるのです。
 
下図の波形では、10000分の3秒になっていますが、
もう少し遅い方が音が良い気がするので、
1000分の1秒ぐらいを目安に考えていきます。

(今後1000分の1秒を 1ms(millisecondの略) と表現します。)


さて、うちわの羽を1ms周期で動かしながら、
優しい音色を生み出すためには、どうすればよいのでしょうか?
 
なんとなくですが、
心地よい程度の「適度なストレス」を「うちわの羽」にかけること、
と思いました。
 
では、どうやって?
 
この自分への問いかけに、しばらく悩んでいたのですが、
絶対にやらんとあかんことを書き出すことで、
見つけることができたので、今回紹介します。
 

表板が、一番やらんとあかんこと、わかりますか?


もったいをつけるのではないけど、
これをやっていれば、経年変化を待たなくても、
100年ぐらい経過したヴァイオリンのような音が
作れると思います。


どちらかと言えば、やったらあかんこと、なので
そのように説明すると、
 
(1) 表板が勝手な動きをすること
  (魂柱位置で、表板が裏板よりも強いこと)
 
(2) 表板が魂柱(裏板の動き)にはじかれること
 
 
加えて、モダンの駒がそれを助長している。
加えて、モダンの駒がそれを助長している。
加えて、モダンの駒がそれを助長している。
くどい。けど、強調したい。
 
 
つまり、表板(スプルース)は、裏板(メイプル)よりも
経年変化でへたってしまうのが早いので、
徐々に裏板に追従しやすくなり、
(1),(2)の特徴が減ってくる。
 
これが、「ヴァイオリンが育つ」と言われる所以に
つながっていると思います。
 
 
話を元に戻して、
(1)の表板が裏板よりも強いのは、ここでは除外して、
問題は、(2)の裏板にはじかれてしまうパターン。
 
下図にサンプルとして3つのパターンを用意しました。
裏板の動きに合わせて魂柱が上下した時、
どの表板が魂柱をホールドしやすそうですか?
 
A,Bの両端を手に持って、魂柱を押さえた時の
やりやすさを想像してみてください。

 
(a)の短い表板の場合、
 A,Bの持ち手の力加減によって左右にぶれやすいですね。
 
(b)は表板を長くしてみました。
 (a)よりは良いですが、しなりが少なければ、はじかれそうです。
 
(c)は表板と魂柱の接地面よりも、持ち手A,Bを下げてみました。
 下から引っ張り下げることで、ホールドしやすそうです。
 
 
これらより、表板が魂柱にはじかれないためには、
(c)のように、魂柱から離れた場所かつ、低い場所からホールドすることが
理想的だと言えます。
 


では、実際に表板の中で、どのように魂柱をホールドするかを
下図の橙色部分に示します。
前述の図とイメージを合わせるために向きを変えています。
 
「魂柱ホールドバー」とでも名付けましょうか。
フレーム近くの低い場所に両サイドを配置して、
魂柱位置を高い場所にしています。


「魂柱ホールドバー」は、駒が①の方向に力をかけることで
しっかりと魂柱をホールドすることができます。
 
①の方向に安定した力をかけるためには、
バスバー側が弱いことが前提です。
「風Vn2022」にも、この仕組みは入っています。
 
 


そして、ようやく「風Vn2024」でサポートする
「うちわの羽」に「適度なストレス」をかける話に戻れました。
 
気が付いたのは、下図のように
「魂柱ホールドバー」をバスバー側に押す力①を
「うちわの羽」にも流せばいいのでは②
ということです。

 
具体的にどうすればよいのか、今の時点では明確ではなく、
この記事を書きながら考えています。
 
 
 
 
 
 
 


 



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