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製作知識 ニス 「柿渋」と「松脂」

  少し私のヴァイオリンのニスの方向性について
ここで紹介しようと思う。
 
(1) 「こってり」ではなく、木材の風味を残した仕上げにしたい。
(2) ニスの材料は、柿渋、松脂、リンシードオイル、テレピン油を使用。
(3) 色付けは「柿渋」のみで考える。
 
「松脂」には油分が多く含まれているため、
加熱し続けると、「過酸化脂質」という
体にとっては有毒な物質に変化するとのこと。
 
私は皮膚が弱く、ヴァイオリンは顔を近づけるので、
次の作品は「松脂」煮込みをやめたいと考えていた。
このため、色付けは「柿渋」だけでなんとかする。
 
 
 下図は、第1層目の柿渋塗装が完了した状態。

●柿渋について
 最も理解が難しかったのは、やはり「柿渋」。
「柿渋」は、いや自然の素材はみんなそうかもしれないが、
その持ち味というか、特性の見極めが難しかった。
 
鉄や銅触媒などで色を変えることも試したが、
これにはあまり魅力を感じなかった。
 
しかし、「柿渋」のいろんな特性を知っていくと、
代わりのものが無いと思えるぐらい、
今の私のヴァイオリン製作に必要不可欠なものでもある。
 
 
●松脂について
 「松脂」は扱いにくい。
滑り止めによく使われるだけに、手につくとべとつき、
水で手を洗おうものなら、よりひどいことになる。
 
下図は、「松脂」のかたまり。

ところが、松脂は油分とは相性がいい。
松脂のかたまりを砕いて、テレピン油に入れると1日で溶けて、
下図の透明度の高い黄色になる。

私にはこれが不思議に思える。
松脂のかたまりは、松脂の粒子ががっちりと手をつないでいる状態で、
油の中に入れると、手を離して、ぽけたーんと油の中で均等に浮いてる。
 
 
松脂がヴァイオリンのニスとして問題なのは、
テレピン油は揮発性油で、水と同様に揮発してなくなった後、
手を離していた松脂の粒子は、思い出したように手をつなぎ始める。
そして、板の表面で松脂の小さいかたまりがぶつぶつと現れる。
 
つまり、うまく「松脂」を塗装するためには、
 「松脂」の粒子が手を離した状態で、うまく均等に配置すること
にかかっている。


柿渋は、色合いとしては均一になりにくいので、
見た目には十分に新作らしくない、風合いが得られる。




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