風Vn2024:表板「視覚的なトラップ」
今回の記事は、ヴァイオリンを作る時の
「視覚的なトラップ」について、紹介してきたいと思います。
まず、下図の見方1は、上面アーチ、内堀とすすめて、
f字孔を開けたぐらいのタイミングで、
タップ音を聴くと、アーチの強い①が一番音が高く、
駒位置②→③と音は低くなっていきます。
f字孔の形がTopからBottom方向に開いている上に、
③の周辺は板を薄くするので、
力の流れは、①が支点で、②が力点、③が作用点になるように
作っているように思えます。
その後、仕上げ近くになり、「バスバー」が入ると、
バスバー両端が支点①、駒位置が力点②、
バスバーの真ん中あたりに作用点③が
あるようなイメージに変化します。
あれ、変ですね。
見方1での作用点③の場所が変わりましたね、、、。
なにか、違和感を感じませんか?
橋に例えるとわかりやすいですが、バーをかける時は、
下図のように、両サイドにしっかりとした土台を
作るべきだとは思いませんか?
なのに見方1では、両サイドを弱く作りましたよね。
つまり、f字孔が開いていること、上下がふくらんだ形、
これが、視覚的なトラップです。
最初に設計した人は、そんなつもりはないのだけど、たぶん。
「細2012」:あんたも、私を作った時は、騙されていたよね。
「私」: 見事に、はめられていましたね。
今、この見方2の図を見ても、何の違和感もないもの。
「風2024」:不安なこと言わんといて。今回は大丈夫なんやろね?
「私」: たぶん大丈夫。でも、
難しいところは他にもあってね、、、。
ここからは、「風Vn2024」をどうするかの話です。
要は、作り込んでいく過程で、支点、力点、作用点を変化させないことで、
下図のような意識で作っていきます。
そして、私が思う難所は、f字孔Top周辺の作り込みです。
この図は、縦に書きます。
右側に、前回説明した、「魂柱ホールドバー」の強さがあり、
左側は力点から作用点に向かう柔らかさが必要なのです。
1つの横アーチの中に、強弱を作り込まないといけません。
実は、この「うちわ」の作り方にも
視覚的なトラップが仕掛けられています。
「うちわ」の扇ぎ方は、
手元を小さく、羽先を大きくですよね。
なのに、手元の支点①の方が横幅が広いんですよ。
見えてきましたか?
本当のヴァイオリン作りの世界が。
最後は、映画「マトリックス」のシーンをなぞって、
Welcome to the real world (of violin making).
風の時代のヴァイオリンの製作は、自由な世界です。
入口へは、私がご案内します。
でも、無理をしなくてもいいんですよ。
マシンにつながれたまま、
ストラディバリを追い求めたい人もいるはずです。
サイファーのようにね。
人生の楽しみ方は人それぞれであることは理解しています。
お好きな道を進んでください。
私はやっぱり、モーフィアス役か。
まだ髪の毛9mmあるけど、、、。
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