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【02】自宅葬演奏。ひとりハプニング!

今は葬儀といえばセレモニーホールで行うことがほとんどだと思うのですが、私が葬儀の演奏を始めたころは「自宅葬」もまだまだありました。

そんな真夏の自宅葬のエピソードです。

お伺いしたのは山の奥の立派なおうち。
庭が広く、葬儀受付のテントがならび、あぜ道にはたくさんの車がとまっていました。

ご自宅の葬儀で演奏といっても、家の中は祭壇を飾ったり、家具があったり、演奏できるスペースはありません。
このときは軒下で演奏することになりました。

そして通夜。
真夏といっても山奥のせいか、だんだんと薄暗くなってきました。
そこで見えにくくなった楽譜を照らすために葬儀社の方がライトを用意してくれました。


すると!!!


たくさんの蛾や虫たちがライトに集まってきて虫が苦手な私は大パニック!
あああぁっっっ!鍵盤に蛾がっ!!
ここで鍵盤から指を離したら音が途切れてしまう。
この状況に陥っているのは私ひとりだけ。他の人は気づきもしない。
だから音がプツンと切れたらおかしな状況になる…。
ライトを消したいけど、簡単に手が届かない位置。助けを呼びたいけど、それぞれ忙しく動いていて近くには誰もいない。。

蛾が指にー!!!逃げ出したい!普段の私ならきっと一目散に逃げていることでしょう。


一瞬のうちにいろいろ考え…。
今は仕事。プロ根性で鍵盤から指を離さないで演奏することを選びました。
すると葬儀担当者が近くを通りがかり、チャンス!と思った私は助けを求めライトを消してもらい、何とか通夜の演奏をのりきりました。
その後はライトはつけることなく、楽譜はうっすら見える状態で演奏しました。


そして次の日。告別式です。
昼間だから昨日のような虫事件はないだろうし、外で演奏するって気持ちいいな~と思っていると、新たな事件が!

顔半分にだけ日差しが!

軒下で演奏していたので、顔の半分は屋根の影、半分は真夏の太陽が激しく照りつける状態です。
もちろん日焼け止めを塗ってありましたが、強烈な日差しで一体私の顔はどうなってしまうのか…ドキドキしながら演奏していました。
開式と同時に日陰に一時避難し、顔半分の日焼けは何とか逃れることができました。

こんな緊張感は環境の整ったセレモニーホールでは味わえないですね。
自宅葬ならではの懐かしい夏の思い出です。





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