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古元素
2020年7月3日 11:48
果てしなく透明で、きゅっと胸を締め付けられる。しかしそれは苦しくなるほどではない。あくまで「きゅっ」だ。なんだか立っていられない。気づけばしゃがみ込んでいた。そして手を組み、祈っていた。人生で様々な恋に関する物語を読んできたけれど、これほど純粋無垢な恋心はないと思えた。何にって、他でもない。本、特に文芸書たちにだ。その日は、天気も私の感情も晴れていなかった。私に若干の好意を見せる異性と食事に行