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価格競争に抗う、ショップブランディングの価値

Vol.014
ショップのオープンに向けて導き出したワインの販売価格は、とにかく、各費用を加算することでした。原価があって、配送料があり、手数料がかかり、そのほか、梱包材の費用などを、全部足し算します。「うむ~、この値段か……」
心情的には、より手ごろな値段を設定したいものの、適切な利益を得るには、かなりテクニカルな作業です。
 
いくつか競業他社のサイトを閲覧すると、みなさんの苦労が伝わってきます。
僕が、販売価格に加えた“あの費用”は、どのように価格に転嫁されているのか、値段からはわからないものがありました。企業努力によって、なにかの経費に吸収しているのだろうか。ショップ間の価格差は、利益率の多寡と、配送料のとらえ方におおむね違いが生じているようです。
 
あえて説明します。価格をできるだけ下げて数多くのワインを販売する、という薄利多売の商法と、その逆で、価格を上げてでも稀少な(あまり知られていない)ワインを売るという戦略があります。ヴィーノサローネは、薄利多売の方法を取りません。その選択はすでに、価格競争に飲み込まれているからです。
 
いま書いていて気づくことは、価格競争に負けないために努力しているショップの姿勢には、感心します。しかし、その手のショップからは、「どうしてもこのワインを売りたい!」「是非、飲んでもらいたいワインです!」という“熱きメッセージ”が聞こえにくい。他社よりも価格を低く抑えられることが、あたかもショップの主張になっているのです。
もちろん、より安い値段で商品を提供できるのは、ビジネスの王道ではありますけど……。
 
やはり、ヴィーノサローネは、違うスタンスで販売に臨みます。
価格競争に抗うには、なにをするべきか。小規模なショップとしてのブランディングとはなにか。
 
そのひとつ。イタリアワインに対する“熱き想い”を言葉やヴィジュアルで表現すること。サイトに立ち寄った方の心にしみ入るような、ワインの生産背景やブドウの個性的な香り、味わいを丁寧に説明する。
ヴィーノサローネのショップコンセプトは、「イタリアワインの“本質”にであう」です。おすすめするワインで、もし、心まで動かせたならショップの価値が生まれます。
 
ふたつめは、ヴィーノサローネ主(あるじ)のもうひとつの顔、ファッションエディターとしての目線を通して、ファッションとイタリアワインとの共通項を読み解いてもみたい。なかなか、ほかのショップではみかけない価値になりそうです。
 
3つめは、イタリアワインに惚れ込んだ主が、ワインの紹介を思いっきり楽しんでいる姿。その空気感が伝われば、十分に心が動かされる“本質”的なワインにであえると考えています。
 

次回の“ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。

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