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「相手の立場に立って考える」ための5つの方法

人間関係って難しいですよね。私も苦労してばっかりです。私は、視点学たんとして議論や対話について考察することが多いのですが、「相手の立場に立って考える」ことは必要不可欠な要素だと考えています。「相手の立場に立って考える」とはどういうことでしょう?また、有意義な議論や対話のためには何が必要でしょう?

1. 相手のバックグラウンドや思想などについて理解を目指し、相手の考え方や受け止め方を想像する

「相手の立場に立って考える」ことの、おそらく最も基本的な要素がこれだと思います。私が重要だと思うのは、「相手について理解する」のではなく「相手についての理解を目指す」ところです。おそらく、相手について完璧に理解することは不可能で、私たちが実行可能なのは努力し続けることです。相手の考え方や受け止め方についても同様で、不完全な想像を修正し続けるプロセスが重要です。

2. 自分がシステム1に流されていることに気づく

ここでのシステム1とは、行動経済学・二重過程理論における用語です。
私の理解を簡単に説明すると、システム1は刺激にすばやく反応し、人間の生存と繁殖のための行動を引き起こします。直感的行動、感情的行動はこちら側に属します。システム2は動作が遅く、推論や論理を担当します。その働きはワーキングメモリの容量に依存し、意識しないと働かせることができません。私の考えでは、対話や議論にはシステム2の活用が不可欠です。逆に、システム1のみに依存した行動は、人間関係を容易に破壊してしてしまいます。したがって、現実世界のコミュニケーションにおいてはシステム1とどのようにうまく付き合うかが課題となります。

私の理解では、システム1は「自分が攻撃されている!」と認識した途端に発動します。発動すると「戦うか逃げるか反応」が起こり、身体や感情は戦闘態勢に入ります。こうなると、システム2の入り込む余地はとても小さくなります。このとき有効な戦略は「あ、自分は今、システム1が優位になっているな」と気づくことです。気づいたらシステム1を抑えようとせず、ただそのまま眺めます。そうすると、多くの場合怒りや興奮は力を失っていきます。この手法はほとんどマインドフルネスの手法そのものです。

3. 断定を避ける

断定を避けるべき理由は2つあります。1つは自分の意見が間違っている可能性があるからです。2つ目は、相手のシステム1を刺激し怒りや反発を招く可能性があるからです。もちろん、明確な主張をしてはいけないということではありません。明確な主張をするときは必ず根拠を示し、根拠がない場合は自分の個人的な意見であることを伝えると良いと思われます。

4. 相手の能力を過大評価・過小評価しない

私の経験によれば、「相手の立場に立って考える」能力はかなり個人差があります。そのため、自分と同じくらい相手もその能力を持っているだろうと考えることはあまり適切ではなく、頻繁に能力の見積もりを更新することが必要です。

5. 自分自身のバックグラウンドや認知バイアスを知る

自分が当たり前だと思っていることは、当たり前ゆえに気づきにくく、当たり前ゆえに大きな影響力を持ちます。自分の考え方の癖や無意識に信じていることに自覚的になり、気づいたらメモしておくと役に立つでしょう。また、誰もが持っている考え方の癖が認知バイアスです。「錯思コレクション」というページに認知バイアスが列挙されているので、一通り眺めておくだけでも有効だと思います。

以上、わたしの考えを列挙してみました。質問、批判、意見、追加など、お気軽にしていただけると嬉しいです。視点学たんでした!

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