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【あつ森】はるどこ&ワドハピLongインタビューvol.1【あつ森ドラマ】

こんにちは、びゅーんです。

今回はなんと特別に!あつ森ドラマ『はるどこ』とその続編『ワドハピ』の原作を担当された太宰さん(以下、敬称略)をお招きして、両作品のストーリーについて拘られたことや裏話など貴重なお話を伺ってきました。大変長いインタビューになりますので、複数回に分けてお送りします。vol.1では主に『はるどこ』についてご紹介させて頂きます。

尚、当インタビューは『はるどこ』と『ワドハピ』についてネタバレの内容がガッツリ含まれています。ご了承の上、お楽しみくださいませ。

その前にまず『はるどこ』とは何か、簡単におさらいしてみましょう。

『はるどこ』とは?

Where has spring gone? 〜春はどこへ行った?〜 略して『はるどこ』は、無くした記憶を取り戻す為に美しい島を旅する少年少女の物語。
太宰さんが原作・脚本、ゆりーなちゃんが撮影・編集を担当したあつ森ドラマで、2022年2月中旬から3月の春分の日までTwitterで公開されていました。更に、続編制作が決定すると2022年5月にYoutube向けに再編集されたものが公開されました!

『はるどこ』についてインタビュー


島の美しい風景を活かしたい

--『春はどこへいった? 〜Where has spring gone〜』(以下『はるどこ』)のストーリーを作る経緯について、是非教えてください。

太宰:(インタビュー当時より)昨年10月頃、ゆりーなちゃんがふみかちゃんとTwitterでハロウィンストーリーを公開しているのを見て、感想を伝えていた時でした。ゆりーなちゃんから「一緒に物語を作ってみない?」とお誘いを受けまして…。実は物語を書くのが初めてだったんです。

--えぇ!?とてもそんな風に感じられませんでした。

太宰:本当ですよ。でも元々お話を考えるのは好きだったので、せっかくの機会を頂けたのだから挑戦してみようと思いました。

--はるどこのストーリーは、太宰さんの島(グッドバイ島)とゆりーなちゃんの島(snow島&fairytale島)から着想を得たとのことですが、具体的に島のどのような部分を見てストーリーを膨らませたのでしょうか。

太宰:具体的な場所を挙げると、snow島の妖精の森、青の祭壇、青の遺跡。他にfairy tale島の神秘の泉や太古の神殿、天空の階段から物語のイメージを膨らませていきました。どの舞台もお伽噺の世界みたいですごく素敵なので、島の風景を活かした物語にしたいと思って原作を書き始めたんです。私が物語を書くきっかけになったハロウィンストーリーが、色々な島の風景を生かした映像になっていていいなと思ったからですね。
snow島自体が冬がテーマの島なので、物語の舞台もずっと雪に覆われた世界という設定にしています。キャラクターも、例えばトーコや冬の精霊はゆりーなちゃんの島にいそうというイメージから設定を考えていきました。ただ、トーコの設定の関係だったり物語の結末にカタルシスがほしくて、snow島を春にする描写を入れたんですが、結果とても良かったです。冬も春もすごく綺麗でした。

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冬と春の対比。それぞれ違った美しさがあります。

グッド・バイ島の場合、外の風景より部屋クリエイトで作った場所を中心に物語を作りました。ゆりーなちゃんの島メインに構成しようと思っていたので。外の風景でメインとなったのは回廊植物園のオーナメントガーデンでした。後でまたお話ししたいのですが、トーカはグッド・バイ島のイメージ寄りです。私の島はクラシックなスポットがとても多いので、茶色の似合う男の子になっていると思います。

茶色をベースにカラフルな家具が溢れんばかりのスポット。トーコがはしゃぐのも頷けます。

※はるどこの舞台となったグッド・バイ島、snow島、そしてfairy tale島の各スポットは下記事でも紹介しています。↓↓↓

尺削りとの戦い

--どの島も不思議な魅力が詰まっていて素敵ですよね。その島にはどんな人達がいて、何を思いながら生活しているんだろうと考えるのがとても楽しそうです。はるどこのストーリーについて、どういうところで苦労されましたか。

太宰:やはり苦労したのは公開する時の尺でした。当時はTwitter(再生時間は約2〜3分)で公開することしか念頭に無かったんですよね。本来、ファンタジーは魔法や世界観について説明が必要だと思うんです。でもそうすると時間がとても足りない。世界観だけじゃなくて、ファンタジーの王道の...主人公が魔王を倒すみたいなのをやろうとすると、なぜ主人公がそうしなきゃいけないか説明が必要になるじゃないですか。

--世界観の説明だけで複数話必要になっちゃいますね。

太宰:そうなんです。元々厚い長編作品やファンタジー作品を読んでいますが、『ネシャンサーガ』、『図書館の魔女』のような重厚でドラマチックな世界観に影響を受けていて…。短い尺の中でも物語の世界観をしっかり伝えられるよう意識しました。『ハリーポッター』みたいな魔法の要素もやりたかったんですけど、そこまでやると時間が足りなくて(汗) 工夫していく内に、『はるどこ』はファンタジーだけど魔法があまり登場しない、魔法が徐々に衰退して消えゆく世界という設定に落ち着きました。

※数少ない時間でいかに物語の世界観を伝えられるか。試行錯誤の末、序章(0:00〜0:58)が作られたのかもしれません。↓↓↓

太宰:登場人物も少なめにして、最終的なラスボス(黒幕)的ポジションはスノウ=トーカ自身にして、自分の犯した過ちを解決する物語にしました。より登場人物を絞ることで1人1人を掘り下げることが出来るし、短い尺でも濃密な物語に出来たらいいなと思いました。

全ての登場人物に重要な役割を

--そんな『はるどこ』の登場人物。折角なので、その登場人物についてお話を伺いたいと思います。まず改めて、トーカとトーコはどんな人物か教えてください。

太宰:それぞれ、孤独な魔術師と春しか知らない春の精霊という違う環境にいるけど、生まれながらの境遇に囚われているというところは似ています。記憶を無くしたことでトーカ達はなりたい自分を見つけるのですが、終盤になるとトーコは「自分の知らない季節の世界をトーカと旅したい」という願いを抑え、元の春の精霊の姿に戻っていきます。

地位や役割という境遇に囚われる。この意味を太宰さんは「鳥籠」で表現していました。

太宰:トーコは先に話した通り、ゆりーなちゃんの島にいそうな子のイメージで描きました。ただ正体が春の精霊なので、春を思わせるふんわり可愛らしい雰囲気の子にしています。トーコという名前にしたのは、「凍」を連想する響きで冬っぽく、トーカと対の意味を持たせたかったからです。トーコは、トーカに助けられて名前をつけてもらって、その頃からずっと彼が好きで好きでしょうがありません。

--トーコ、意外と積極的でぐいぐい行く子なんですね(笑)先ほど、トーカは太宰さんの島のイメージの子と仰りましたが…

太宰:そうです。茶色ベースのイメージで、何か秘密を抱えていて。ほぼほぼ私の好みが反映されている子です。トーカという名前は、冬の世界に温かな灯りを灯すという意味でつけました。雪溶けのイメージにも合っていたかと思います。終盤トーコの為に一生絵を描き続ける一途な面を持ってます。

※トーカの名前、人格が作られた経緯が描かれている原作版はこちら!次の自分はこうあって欲しいと願うスノウが切なすぎます。↓↓↓

--原作版最終章では「僕の…トーカの人生、残り全部君にあげる。」とありましたね。トーカの尽くしっぷりがよく現れています。絵を描き続けるといえばエカキさん!他にも冬の精霊と、印象に残る登場人物がいました。

太宰:まず冬の精霊についてから話しますね。実は『はるどこ』の登場人物を考える際に、1番最初にアイデアが浮かんだんです。世界の真実を伝えて物語を動かす役割を持っていて、トーカ達の旅のゴール地点で待ち構えているから一見ラスボスっぽいポジションに見えるけど、彼女を完全な悪役にしようとは思いませんでした。気まぐれで世界をずっと冬にしてしまったことも含めて、自分の好きなように生きてる感を出したかったですね。

--うわぁ。気まぐれなところ、良くも悪くも精霊という性格が出ています。冬の精霊はゆりーなちゃんの島をイメージしたとのことですが、顔がそのまんま…ゆりーなちゃんっぽいですね。

太宰:確かに、ゆりーなちゃんにそっくりという声を幾つか貰いました。でもよく見ると顔は微妙に違っています。そんな冬の精霊のいる氷の城ですが、実は元々snow島に無かったんです。物語の展開上、最後に辿りつく場所が欲しくてゆりーなちゃんにお願いしたら、2日か3日くらいに「できたよ」って画像が送られてきてとっても感動しました!

2日,3日で美麗なお城ができてしまう。ゆりーなちゃんのフットワークの軽さに驚かされます。

太宰:エカキは私の島のイメージがあります。世界の真実に近づくきっかけの為、最終的にトーカが絵を描く為に登場しました。絵で大事なことや想いを伝えるという設定を活かせたんじゃないかと思います。

6章の最後が意味深だったらしく、裏ボスだと予想されたりと想定外の反応が合って面白かったです。後から気付いたことですが、はるどこのメインキャラクターでは実は最年少なんですよね。

--エカキさんまさかの最年少(笑) 他に『はるどこ』で拘ったことや力を入れたことは何かありますか。

太宰:絵で何かを伝えたり、絵がキーになる描写を取り入れたいと思っていたので、私自身も頑張ってマイデザインで風景画を描きました。トーカが人生をかけて描いた作品が、のちの2人を結びつけるものであったらいいなと思って。

劇中に登場するマイデザの絵画。どれも『はるどこ』の為に太宰さんが自ら制作されたものばかり。

--何かと使い方が難しいマイデザインで、繊細な絵を表現されてたのが本当にすごいです。何故、絵を物語の重要なキーに選んだのでしょうか。

太宰:藤本タツキ先生の『ルックバック』の印象的なシーンの影響があります。漫画を描くことはこんなに大変なのに、どうして描きつづけるか?という問いに対する答えの台詞の無いシーンがとても好きなんです。もしトーカが似たような質問をされたら、「喜んでくれる誰かの為に描きつづける」ときっと答えるんだろうなあと思いました。

--他にも当時のTwitterやnoteの原作版には、太宰さんが描かれた登場人物達の絵画風イラストがありますが、暖かい雰囲気の中、表情に個性があって素敵でした。そういえば原作版には動画にいない登場人物がいましたね。

太宰:『ワドハピ』の光くんの前世、ギルベルトのことですね。物語の尺があればスノウがいた王都の街並みと合わせて登場させたかったです。彼は後年、トーカの絵を世界に広めていて、『はるどこ』の最終章の美術館にトーカの絵が飾られているのも前世の光くんことギルベルトのおかげなんです。

--今、さりげに重要な情報が流されましたね!?

太宰:ギルベルトの設定やストーリーは他にも沢山ありまして…。彼を主人公にした番外編の構想は一応ありました。そこではスノウとの出会いや旅を終えたトーカの話もあります。続編候補にもなりましたが、『はるどこ』以上にほろ苦いストーリーになりそうということで映像化に至りませんでした。でも何らかの形で披露出来ればなと考えています。

--幻の番外編、是非みてみたいですね。楽しみにしています!


さて、太宰さんへのインタビューはまだまだ続きますが、当記事は一旦ここまでとさせて頂きます。次回のvol.2は続編にあたる『ワドハピ』を中心にインタビューした内容をお届けしたいと思います。

※太宰さんが書かれた『はるどこ』の原作版はこちら!動画verに入りきらなかった登場人物の心情などが描かれていて、一層深みを感じられますよー!


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