合宿2023夏【居合道】

今回、居合道の合宿に初めて参加した。
場所は、岡山県美作市にある『宮本武蔵武道館』だった。

他道場(広島と米子)の方達も参加される合同合宿ということで、ふだんの稽古では出会わない方達と共に居合で汗を流した。

朝9時半に一回り以上年下の先輩の車に同乗させてもらって出発。
11時半頃、途中の高速サービスエリアにて別の車で移動していた館長、道場生達と合流して昼食休憩。
それから再び出発し、トータル約3時間かけて予定時刻の12時半前に合宿場所へ到着。

合宿初日、他道場の方達と合わせた約30名の居合人が午後1時から5時までみっちりと稽古に励んだ。
この日の種目は、立ち業である【抜刀法】。

【抜刀法】(基本の業)とは、以下の業である。
『順刀其ノ壱』
『順刀其の弐』
『追撃刀』
『斜刀』
『四方刀其ノ壱』
『四方刀其の弐』
『斬突刀』

我が道場の館長が前に立ち、高段者と低段者がペアを組んだ形での全体練習を行った。

まず最初に、館長が各業について説明し、館長に呼ばれた高段者が皆の前で模範を示す。
次にペア練習で高段者から業を始めて、それを見て低段者が業をやるといった流れだ。

これまでの稽古であまりやってこなかった『斜刀』や『四方刀』に苦戦したが、それよりも、ペアになった先輩(その先輩は、車に乗せてくれた一回り以上年下の先輩)に業以前の『斬り下し』や『納刀』などで指摘されたことが大きかった。

ペアを組ませてもらったその20代の先輩について述べると、若いにしては礼儀正しく、偉そぶったりする様子も全くない、非常に好感の持てる男である。
その一方で、たまにお調子者な一面をみせる、道場にとって良いムードメーカー的なキャラクターでもある。

その先輩に、基本の技がまだできていないと、気付かされた。
そもそも、刀の握り方からしてできていないということだった。

これは、目から鱗だった。
なぜなら、居合を始めて二年以上経過したが、これまで指導してくれた先輩方の誰もが指摘してくれなかった部分だからだ。

いや、指摘はあったのかもしれないが、具体的にどこが間違っていて、どう直せばいいか、という情報が乏しかったのかもしれない。
そこを彼は具体的に説明してくれたわけだ。

居合などの武道において『手の内』というのは、よく耳にする言葉だ。
これが、どの業をするにしても肝要なわけだが、ここで躓いてしまっているから、全体がおかしいことになってしまっていたらしい。

今、気付かされて良かった。
変な癖をつけて何年も稽古していたら、修正が効かなくなっていただろう。

もう一度、初心にかえる気持ちで、若い先輩の指導のもと、熱心に稽古に励んだ。
だが、これまでしていた刀の握り方や納刀の癖をすぐに修正することは難しい。
少しずつ直していくしかない。

時間が経つのは早く、あっという間に夕方5時になり、初日の稽古が終了した。

一同解散し、宿泊施設へと移動。
宿に着いてから温泉に浸かって、皆で食事。
その後、何人かが集まって、部屋飲み。
酒を飲みながら歓談して、10時過ぎに就寝。

そして、2日目。
朝食をとってすぐに、武蔵武道館へ。
午前9時半に稽古開始。

2日目から参加する方もいるため、初日に抜刀法の稽古前にされた居合の基本姿勢について、館長が再度ご説明され、一日目と同じ形式で稽古が始まった。

この日の種目は、全日本居合道連盟に加盟する流派の共通科目と言える【刀法】だった。

【刀法】とは、以下の業である。
前切り『英信流』
前後切り『無外流』
切上げ『神道無念流』
四方切り『水鴎流』
切っ先返し『伯耆流』

特に、どの業をやるにしても基本となる、前切りに時間がかけられた。

切上げのところまでで、午前の部が終了。
昼休憩の1時間後、午後1時から3時まで昼の部が行われた。
四方切りも切っ先返しも動きのある業で、なかなか上手くいかない。
昨日と同じ相方に見てもらいながら、何度も練習した。
3時前になり、館長の挨拶で合同合宿の幕が閉じられた。

この合宿で、もう一度基本を一から教わった。
いつもと違う環境で、見知らぬ仲間も加えて共に稽古に励むのも、ときには良いことだ。

宿泊施設の周りは山と田畑しかないような、居合の稽古以外にすることが何もない環境だった。

『宮本武蔵生誕の地』であるとアピールしている看板をいくつか目にしたが、そうであるなら、もっと村をあげて武道の振興と発展に力を入れてもいいように思う。

武蔵武道館は立派な施設だが、この連休中に利用していたのは我々だけだったようなので、やはり周囲に山と田畑しかない環境は、ウケが悪いのかもしれない。

しかし、本当に集中して稽古するなら悪くない環境だと思うし、何よりも道場の仲間達と絆を深めるには、場所がどこであろうとあまり関係ないようにも思えた。

共通の趣味を持ち、同じ目標に向かって頑張るという思いが、助け合い、励まし合い、刺激し合うことへと繋がっているのである。
誠に有意義な連休だった。






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