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#58 成熟した女性とは③・人生を語るフランス語

stand fmの音声は少々お待ちくださいね!

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Elle ne brille pas, elle illumine.

Elle n'aime pas être regardée, elle préfère être écoutée.

Elle ne devine pas, elle perçoit.

Elle ne parle pas de sexe, elle est maître dans l'art de l'amour.

Elle n'est pas facile, elle est flexible.

Elle ne commande pas, elle gère.

Elle ne renaît pas, elle est en floraison constante.

Et enfin la femme mûre est un ensemble

de toutes les beautés possibles car elle est "FEMME"

自身が輝くのではなく、その存在で周りを輝かせる

見られることを好まず、話に耳を傾けてもらうことを好む

頭で推測するのではなく、感じ取る

愛の行為について話すことはないが、愛し合うことの神聖さを知っている

一筋縄ではいかないが、しなやかである

命令をすることなく、まとめ上げる

復活することなく、いつも花開いている

つまり、成熟した女性はすべての可能な美しさを備えている。なぜなら彼女は女性だから。

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シリーズで紹介してきた「成熟した女性」の最終回です。

今回訳した文章のフレーズの中で、"Elle ne parle pas de sexe, elle est maître dans l'art de l'amour." を読んだ時、20代前半の頃に読んだサガンのインタビュー集の翻訳本「愛と同じくらい孤独」で読んだフレーズを思い出しました。

愛と性にについてサガンがインタビュアーに答えている時に、ある人の言葉を例に挙げていたのが
「愛の行為は愛し合う二人の間でおこる事柄です。」
「愛の行為はよくしますがそれについて話すことはありません。」
でした。
この言葉と訳し方がとても印象に残っていたのです。

Elle ne parle pas de sexe, elle est maître dans l'art de l'amour.
のフレーズの sexe を訳すときに、翻訳した朝吹由紀子さんの訳
「愛の行為」はぴったりだと思い使わせていただきました。

また、サガンが語る愛の行為についての下りは、このフレーズを理解し訳すのにとても助けとなりました。
訳すのに時間がかかりましたが、翻訳本を読み直すきっかけにもなりました。

翻訳を読んでいると原文も読みたくなり探したのですが、残念ながら絶版になっていました。次回パリにいったときに古本屋を巡ろうと思っています。

原書のタイトルは「Réponses」です。

サガンが「悲しみよこんにちは」を18才で書いてからその後20年の間になされた様々のインタビューが編者によって集められ、整理され最後にサガン自身が目を通してまとめられています。(翻訳本のあとがきより)

さて、成熟した女性のシリーズでは、毎回私にとっての成熟したフランス人女性を一人ご紹介してきましたが最終回にご紹介したいのは、ジェーン・バーキンです。

彼女の様々な魅力をご存知の方も多いと思います。
私が今回取り上げたいのは、彼女の信念としなやかさと行動力です。

東日本大震災が起こって1か月も経たない時に、ジェーン・バーキンは一人で日本にやって来ました。
とにかく現地に行かなければ、自分にできることは音楽で日本人を励ますこと、その思いと共に来日したのです。

この時期は皆さんもご存知の通り母国に帰る日本在留の外国人が多く、不安と危険が溢れかえっていた日本に行こうとするフランス人は多くありませんでした。

ジェーンの周りも同じで、同行するミュージシャンや関係者は一人もおらず彼女は一人でやってきました。

その時のインタビュー動画です。
想いと行動と言葉が一致している人が持つ、静かな強さとしなやかさと愛に溢れていると感じました。


もうひとつの私にとっての彼女の魅力は、父親の異なる3人の娘の母親であること。
ある番組にゲストとして出演した際に、サプライズで登場した3人の娘、ケイト・バリー、シャルロット・ゲーンズブール、ルイ・ドワイヨンとの再会のビデオは下記からご覧いただけます。


※冒頭の写真はエリック・ロメールの映画「満月の夜」のワンシーンです。




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