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フリー戯曲素材。好きに使っていいよの時代。

自分もいい歳になり、下の人間を育てなければならない立場になりました。

いつまでも産まれたてのぬるぬる精神で生きたいのですが、そうも言ってられません。老化は着実に体を蝕み「おい!」と言われれば「老い」に聞こえ「置いてきちゃった」も「老いてきちゃった」にボキャブラ天国しながら本当に天国に逝きそうな精神状態です。

やはりこれからは若い人表現者に頑張っていただき、老人たちの生活を支えるためにも年金をしっかり払ってほしいという期待を込めて、過去に自分が書いた短編戯曲を公開したいと思います。フリー戯曲素材です。

キングコングの西野さんが、ちょっと前に絵本を無料で公開して物議を巻き起こしましたが、自分もそのフリーの渦にまこまれてみようと思います。

金儲けではありません。文化育成支援の一環です。

役者と演出家しかおらず、本がなくて困ってたり迷ってたりする若手の劇団に使っていただけたら幸いです。

ワークショップで切り取って使っていただいても構いません。

もし上演するときは一報下さい。ただ単に観に行きたいからです。

とにかく自由なフリー戯曲。好きなように使っていただけたらと思います。ということで以下、ベタ打ちですがよろしければ。


「イニシエーション~ゴム祭~」

■登場人物

男、客、女、店員A、B、C、D


■本編

   暗闇の中、電話の音が鳴る

男の声「あ、もしもし。あ、今向かってるよ。え?コンビニ?もう出たよ。は?なに?ゴム?いや、買ってないけど・・・ないの?なんで?お前浮気でもしてんじゃないの・・・いや、冗談だよ。え。無理だよ。だって、今コンビニでてきたばっかりだよ?わざわざ買いに戻るの??ちょっと・・・俺ネットでしか買ったことないって知ってるじゃん。店で買えないって知ってるじゃん。いや、そりゃ、向こうはなんとも思ってないだろうけれどさ・・・、、、まぁいいや。はぁ。。わかったよ。買ってくよ」

   SE・・コンビニ入店音

   明転

   やる気のない店員A 店員B。
   男が、コンドームと、雑誌を持ってうろうろしている。

男「恥ずかしいなぁ。本当に恥ずかしいな。コンドームだけ買いに戻る客。おそらく今日一のインパクトだろうな・・・どうせ買うならやっぱり0_01mmにするか。。いやいや、0.05mmで十分だ。これ以上すけべだと思われたらかなわないわ。雑誌を一緒に買う感じがまた恥ずかしいなぁ。。ここは潔く、ゴムだけ買った方が・・・いやいや、この雑誌もちょうど読みたかったし。うん。これはちゃんと欲しいから買うんだ。ゴムはついでさ。まず自分が思い込まないと。ゴムはついで、ゴムはついで、雑誌メインでゴムはサブ。雑誌メインでゴムはサブ。ザメゴサ。ザメゴサだ・・・よし!」

店員B「店長、手の豆がすごいんで、ちょっと休憩しますね」
店員A「うぃーす」

男「やる気のない店員だなぁ。手の豆くらいで休むなよ。まぁ今の俺にしたら、やる気のない店員の方が好都合だ。それこそ店員が女の子だったら、まず<ゴムを買うための避妊具>をつけておかないと、安心して買えないからな。。。心の避妊具という意味ね。意味わかる?俺は誰に問いかけてるんだ。まぁいいや」

A「よし買うぞ」
店員A「へっくしょん」
A「すいません!」
店員A「は?」
A「とっさに謝ってしまった。罪悪感が謝罪となって口からこぼれてしまった!」
   
   店員A、男を見ている。

男「雑誌をね~」
店員A「ああ」
男「あぶね~~ザメゴサ、ザメゴサ。。そういえば聞くところによると、コンドームは小さな紙袋に入れられるって話だったな。そうだよ、外から見えないように配慮してくれるんだよ。よかった!少しは買いやすくなったぞ、いやまてよ。コンドームだからこそ紙袋に入れるんだよな?逆に言うと、紙袋に入れるのなんてコンドームくらいしない・・・つまりどっちにしろバレってこと?なんだよ~簡単な確かめ算でわかるわ~。小学生でもわかるやつだわ~~犯罪者がジャケットで手元隠されるのと一緒のパターンだわ〜その状況で手元にあるのって手錠に決まってるのに手元隠すあれと一緒のやつだわ〜手元に巻かれてるのがチンコだったらわかるよ?だったらそりゃ隠すけども・・・え・・・あれチンコなのか?いやいやそんなわけない。ゴムを買うストレスで考えることが#下半身(ハッシュタグカハンシン)になってるわ。いかんいかん」

   そこに、客が登場(スマホをいじっている)。カゴの中に、雑誌数    冊(『週刊新潮』と『週刊文春』)とコンドーム。

男「うわ!あの人も雑誌とコンドーム買おうとしてる。うわ~、いさぎわり〜やっぱりちょっとひいちゃうわぁ。『週刊新潮』と『週刊文春』ってどちらかあればいいやつじゃん。絶対に二ついらないじゃん。情報が偏らないようにしようってか?だったら週刊誌買うな!!あ〜あれが近未来の俺をなのかぁ、、、、いや待てよ。あの人の後ろに並べば、自分のスケベも少しは紛れるかもしれない!!よし、、、ここは思い切って」

   男、客の後ろに並ぶ
   店員A、レジ前の客に気づかず、雑誌を読んでいる。

男「・・・おいおいおい。ダメな店員だな。早く来いよ。さっさと終わらせて帰りてーんだよ。つーかこの人も店員呼べよ。なにラインに夢中になってんだよ」

   男、客のスマホを覗き込む

男「『店員よ気付け』・・・って、気づいてんなら呼べよ~。ラインで誰に相談してんだよ」

  女、登場。手には赤い箱。男の後ろに並ぶ。

男「うわ〜まじか。女子きた。店員がさっさと来ないからだよ。最悪だ〜絶対にスケベって思われて、、最悪だ〜・・・あれ・・あれれ・・嘘でしょ?え、嘘だろおい!この子も買うの??うそだろおい〜何かの間違いだと言ってくれよ!きっとろくな彼氏じゃないんだろうなあ、きっと。女に買わせるか普通。しかも、コンドームただ一つ握りしめてかっこよすぎだろ!何かの間違いだと言ってくれ!」

   女、電話をする。

C「あ、もしもし。ミキちゃん、おねーちゃんだよ。一人でお留守番大丈夫。うん、わかってるよビスコでしょ。今コンビニで買ってくから、お利口に待っててね」

男「本当に何かの間違いだったー!教えてあげたい。それコンドームだよって教えてあげたい!ビスコというよりどちらかいうとグミに近いよって。教えてあげたい!」

店員A「あ、お客さんですか」

   店員A、レジをだるそうに打ってく。

店員A「言ってくださいよ、いるならいるって」

男「なんなんだこいつ!本当やるきねーな」

   客、レジにカゴを持っていく。店員A、中身を取り出しながら、バー   コードを読み取る。 

   店員A、コンドームを手に持ち、紙袋を取り出す。

男「出た!噂の紙袋!!」

   店員A、動きが止まる

男「・・・なにとまってんだよ。早く、早く入れろ」
   
   店員A、客を見つめる

男「さっきとは打って変わって鋭い目つき。一体なんだ?」

店員A「ゴム入りまーす!!!」

男「え?」

奥から「ゴム入りま~す」

   太鼓の音が聞こえる。

男「なになに??」

   法被を着た店員Bが、和太鼓を叩きながら奥から出てくる。

店員B「おめでとうございます」
男「え?え?」

   店員A、紙袋にゴムをゆっくり入れるか入れないか、真剣な眼差し

男「さっきまであんなにやる気がなかったのに」

   男、戸惑う。
   客、平然とスマフォを見ている。

男「え?普通こういうもん?こういうもんなの?」
店員A「(太鼓を叩きながら)はっ」
男「は!じゃねーよ!!早く入れろ!!!!」
店員A「(太鼓を叩きながら)はっ」
男「なに、ゴム買うと、こんなことされんの?え?知らなかった。こういう もん?こういうもんなの?」
店員B「よ!!」


   店員Bつらそう。

男「だから、手に豆ができるんだよ!」

   客、平然と、スマフォを見ている。

男「(客に)あんたは平気なの?こんなことされても平気なの?本当に、こういうもんなの??・・・・(客のスマフォを覗く)『コンドーム買ったら大変なことになってる・・』気にしてんじゃん!がっつり気を揉んでんじゃん!!!一緒にやめろって言おうよ!ね!!ラインなんかで相談しないでもっと一緒に戸惑ったりしようよ」

   女、客を睨んでいる。

女「スケベで引くわ〜(小声)・・」

男「いや、スケベだわーじゃないよ!あなた引いてる場合じゃないからね!あなたもこうなるからね!?あなた気がついてないと思うけれど、あなたもこうなるからね!!?ちょっと誰か!!誰か止めてくれー!!」

   奥から店員C D が出てくる

男「はやく止めて止めて」
店員A「は!」
店員C、D「!0.01ミリ!0.01ミリ!」
男「うそだろおい~」
店員C D「!0.01ミリ!0.01ミリ!」
男「これいつまで続くんだよ!!」
店員A「幸福の」
店員C、D「0.01ミリ0.01ミリ!」
男「しかもなんで0.01ミリなんだよ~」
店員A「幸福の」
店員C、D「0.01ミリ0.01ミリ!」
男「パッケージの売り文句だけはやめてあげて〜」

   店員ACD、客の周りを囲む

男「出てくるな!こっちにくるな!」
店員A「幸福の!」
店員C、D「0.01ミリ0.01ミリ!」
男「(客Aに)もうちょっとあなたも恥ずかしがろうよ!なんでそんな平然とスマホ見てんの!(Bスマフォを覗き)『恥ずかしい、死にたい。。。』本当に?君本当にそう思ってる?」
店員B「(太鼓を叩きながら)疲れたよ!疲れたよ!」
男「ならやめてあげて!だーれも得しないから。せめてあんたたちだけは楽 しんでくれよ」
   女、手に持っているコンドームを見て、驚愕の顔
男「気がついちゃったよ〜。ついにビスコじゃないことに気がついちゃった よ〜。このあとあんた、これくるよ!?早く、早く変えてこい!」
店員A「コンドームを買うことは決して恥ずかしいことじゃないんです」
男「今度はなんだ」
店員C「なぜなら、病気を防ぐという意識があること、それはすなわち女性 を守ること。女性を慮ることに他ならないからです。」
店員D「だからぜーんぜん」
店員ACD「恥ずかしくない!」
男「それが恥ずかしいんだわ!今がものすごく恥ずかしいんだわ」
店員C「慮ろう」
店員ACD「女性」
店員C「選手村でも」
店員ABCD「配布されてる!」
男「なんのスローガンですか??」
店員B「(太鼓を叩きながら)店長!腕が!もうやめましょう!店長!!」
(太鼓を叩きながら)「お前だけ、温度差あるな、さっきから」
店員A「もし恥ずかしかったら、雑誌と一緒に買えばいいんだよ。雑誌メインでゴムはサブ!ザメゴサ!」
男「出たザメゴサ!俺と同じセンスの人なのか?」

   店員C、店員Aに近づく

店員C「(店員Aに)もうこれからは雑誌メインでゴムはサブなんてしなくて、いいんだよ」
店員A「夜回り先生!」
店員D「これからは、ゴムがメインでサブもゴム!ゴメゴサ!」
男「ゴメゴサ!」
店員A「よーし、うちではもう、コンドームしか売らないぞ!」
店員CD「イエーイ!」
客A「俺・・・俺・・・」
   B、雑誌を投げる
客「ゴムだけください!!」
店員CD「イエーイ!」
男「あんた、なに啓蒙されてんだ??」
女「あの私も!!妹に、ビスコなかったって、言います!」
店員CD「イエーイ!」
男「(女に)間違ってる!あなたはさっきから全部間違ってる!」

男以外肩を組み、男を見る。

男「何見てんだよ」
客「ゴムを買うことは」
男以外「恥ずかしくない!」
女「慮ろう!」
男以外「女性!」
男「・・・わかりました!!俺も、、、俺もゴムだけ買います!!!」
客「幸福の?」
男「・・・なんなんだお前は」
客「幸福の?」
男「・・・お前に言われるとむかつくな」
男以外「幸福の??」
男「・・・わかりましたよ。。俺も、、、俺も、、、0.01ミリをください!
全員「いえ〜〜〜〜〜い!」

終わり

<上演アドバイス>

男が状況にただただ突っ込んでいく演劇ですが、冒頭のセリフはモノローグ扱いでナレーションでもいいかもしれません。

あと、この本は途中からとある古典演劇を捩りながら書き直しております。参考までにそちらの動画を貼っておきます。あくまでもイメージですので、好きにやっていただけたら幸いです。


じゃあの。

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