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「カメラを止めるな!」の期待値を下げる

そみなさんは映画を見る上で何が一番重要だと思いますか?

おそらくこう思ったことでしょう「そみなさんなどいない」とね。

そみなさんはいるかいないかはおいといて、皆さんは映画を見る上で何が一番重要だと思いますか?

誰と見行くか?うん。それも重要ですね。ガチャピンと観に行ったら自分がムックに間違われかねませんからね。

しかし、それは3番目。

映画を、特に映画館に観に行く上で最も気をつけないければならない重要なことが二つあります。

一つは「体調」です。

ほぼ体調といっても差し支えありません。実体験で言えばスパイクジョーンズの「her」という映画を寝不足のまま鑑賞し爆睡したことがあります。このクソ映画!!と思いつつ後で見直したら傑作でした。

映画は基本、眠い人に向けたものではないので、映画を観に行く時はなるべく体調を整え、前日の夜更かしは控えましょう。

そしてもう一つが「期待値」です。

面白いと言われている映画がそこまでじゃなかったり、つまらないとバカにされてる映画が意外に面白かったことありますよね?それらは全て感性が合う合わないではなく、期待値とのすり合わせによるものなのです。

さて、現在大ヒットしている「カメラを止めるな!」もまたその期待値に悩まされている状態ではないでしょうか。

ただ面白く観て欲しいという配慮の元敷かれた「ネタバレ厳禁」の箝口令。これがさらに「え?どんな内容なの?」と、逆に期待値を煽ってしまいました。面白いも面白くないも全てネタバレに含まれ、そこまでハマらなかった人ですら「まぁ、見てみたらいいよ」と無難なことしか言えないという。

そしてそこまでハマらなかった人もまたおそらく過剰な期待値の渦に飲み込まれた被害者だと言えなくもありません。

いつだって作品は、作品単体で存在していることはありません。そこにPRだったりの戦略や、作品の評判、クチコミが乗っかるのです。何かしらの前情報が必ずあるからこそ、観に行こうと思う。

つまり「カメラをとめるな!」がつまらないと感じる場合、それは本当に作品が悪いのかという話になると、一概にそうではなく、期待値や体調などの作品そのものとは別の外的要因が、大きくその感想に影響を与えている可能性が大なのです。

たまたまレンタルビデオ屋で目立つ位置にあったので観てみたら、

飛行機のフライト中にたまたま上映されて観てみたら、

「あれ、なめてたな、これ以外に面白いぞ」と、思わずツイートしたり、次の日会社で喧伝したりするはずです。

期待値によってはどんなにクソだと言われた作品も面白くなります。ハードルを下げまくればいいのです。

ということで期待値が高騰中「カメラを止めるな!」。今から観に行く人は「こんなのに世間が騒いでるの?普通じゃん?俺でも撮れるんですけど?」って感じになりそうではあるので、ここで一気に期待値を下げ本作を面白がっていただこうかと思います。

その1:割とちゃんとした映画

教えたらつまらなくなる系の映画ってのは、とんでもないオチや仕掛けがあったりするもんで、ヒッチコックなんかが「この映画について他言無用」なんて映画の冒頭で注意書きするようなこともあったようですが、正直この映画にそこまで構造的な面白さや珍しさはありません。メタ的な構造ではあるのものの、ただただちゃんと面白く作られているというだけです。変な作品を期待しすぎると痛い目に合うと思います。

その2:役者に有名な人がいない

役者は正直達者ではありません。有名人も出てきません。あの人がこんなことするんだ〜という面白みもありません。意外な大物が友情出演するなんてこともありません。タレント大好きなミーハーは、邦画大作でも適当に観て泣いてもらった方がいいかなと思います。

この映画を観ても、映画の軸となく純粋な面白みにしか触れることができません。気をつけましょう。

その3:終始作り手の目線が拭えない

これはとても個人的な意見です。自分は終始作り手としての目線がぬぐえませんでした。作品は楽しんだのですが、製作者を思うと不安になったり、憂いたり、もちろん嬉しくなったりするのです。多くの人が喜んで笑ってる空間をきっと作り手も共有してるはずです。おそらくなんども映画館に足を運んだことでしょう。

「ここでウケるんだ!」

「今日の回すべってんな〜」

とか、全く同じ作品を上映しているのにも関わらず反応にばらつきがあるのもまた「期待値」と「体調」が映画に大きくかかわっているからなのですが、それがまた楽しかったりするのです。

自分も仲間と作った「テラーオブハウス」という映画を公開した時に(そういや「カメラを〜」も上映しているユーロスペースでした)毎日そんな人々の反応を眺めてなんとも言えないドキドキと冷や汗まじりの多幸感に包まれたことがあるのでよくわかります。そんな気分を思い出し懐かしくなったりしました。こんなにヒットしなかったけれどね。

そんな気持ちもありつつ一方では「こんなに頑張って作ってるんだからちゃんとギャラには反映してるんだろうな?」という勝手な憂いを抱きました。

監督に役者にスタッフに、ちゃんとヒットしただけのお金を還元してやってるのだろうか。

そんなことばかり考えてしまうのです。配給会社ががっぽりもってくんだろうか、ムカつくな〜ってね。

だからクリエイターを名乗る人がこの映画を観たらきっといろいろなことを考えて純粋に映画に没頭できないでしょう。

どんな映画にもそういった作り手からの立ち位置で観てしまう節はあるものの、やはり自主に近いルックなもんですから、よりその視点が自分ごとであるように感じてしまう。知り合いが出てるなんてこともあるでしょうね。

そういう雑念が生まれてやまない本作を、誰がオススメできようか、いやできまい(反語)。

ということで、今回もまたまた #カメラを止めるな  について書きました。

みなさん、見事に期待値が下がったのではないでしょうか??

きっと下がったところで映画を観てみると「そんなに悪くなくない?」って感じるでしょう。。。とまた期待値を上げてしまいました。あー難しい。






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