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Procession - 道のり〜ジェシー・ノーマン

どうしても聴きたくて聴けなかった演奏家

例えばミケランジェリ。
3回チケット買ったんでけどね。
全部キャンセル。涙

行かなかったのは、
パバロッティ。
時々悔やまれる。

ジェシー・ノーマン。
は行った。

当時の私が「演奏を聴く」ということを
本当にできてたかは今一心許ないけれどね。

でもオペラじゃなかったから、
一度は見ときたかったなって思う。

オペラね、苦手なんだな実は。笑

そんな彼女の最後の録音。(だと思う)
My Life, My Song

レパートリーはクラシックからではないのだけれど、
彼女のアーティオストとしての懐の深さを
見事に聴かせてくれるアルバムだと思う。

「音楽」というものの本当の楽しさと、
その意味がぎっしりと詰まっていて、

ジャンルに固執する意味の無さを
彼女特有の柔らかい、でもきっぱりした暖かさで
見せて、魅せて、くれる。

カナダの短い夏は終わりかけていて、

さぁちょっと仕事、と思って庭で聞いてたら
思わず聞き入ってしまって。

何度も繰り返し聞いたこのアルバム。
今日なぜか妙に私の耳と心を捉えてしまったのが、
Another Man Done Gone

これは奴隷貿易と奴隷制度を謳った黒人霊歌だと思うんだけど。
ずっと繰り返される重い調子のベースドラムはきっと葬送の重い足取り。

見えないブラックホールに吸い込まれていくよう。

それと一緒に心に浮かんだのは、「procession」という言葉。
これは「行列」という意味だけれど、
キリスト教のいろいろな行事で、
信者の人たちが行列で行進する時に使われる言葉。
お葬式とは多分関係ないはず。

ふと浮かんだのは、歴史の真実は私たちの日常にこそ記されている、
という真実。

黒人のアメリカ人で、クラシック界で成功した女性が、
ドイツのベルリンで黒人霊歌を歌う。

そこに政治的なメッセージは一つもないと思う。
音楽に満ちる悲哀も、
彼女の静かで深い声も、
重く悲しくリズムを刻むドラムも。

これが芸術の奥深さ。
芸術の究極のゴールが導いてくれる本当の自由だと思う。

そういえば、昨今繰り返し浮上してくるのが、
ドビュッシーのグリウォークーのケークウォークと言うタイトルの是非。

この話題が上がるたびに、私は混乱してしまう。

全てをないことにして訂正してしまう
キャンセル・カルチャーの危険なところを、
私たちは見つめないといけないと思う。

それがきっと、私たちにできる唯一の
本当に意味のあることではないかな?

ボーダーのない世界って、難しいのかもしれない。
私たち自身が自分を知ろうとする時
まず最初に使う一番簡単な方法が

比較

だから。

私達みんな、本当に真実自分を生きているか?

少しずつ整理していけるといいね。

音楽の話に戻ろうね。

最近よく思うのはね、
いいものはただ、ただ、「いい」んだな、って事。

今日は風が強くてね、
梢っていうの?

葉っぱがざわざわ音を立てて、
それに彼女の声が混ざり合って、
すごくいい感じなんだな。

バンドマン達も、みんなうまいいんだなぁ。
ジェシー・ノーマンのネームバリューが
可能にしたギグなのかもしれないけれど、
音楽が諂いなしに自然に流れてて、
最高なんだなぁ。

サービス精神旺盛!で。

精神の自由って言ったら、

なんとも真面目な言葉に聞こえるけれど、

本当はもっと簡単で、楽しくて、美しい世界なんだと思う。

そして、誰にでも可能。

首に鎖を繋がれて、

死ぬまで働かされても。

心が自由であることは

可能なんだと思う。

Bravissimo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ということで、仕事ほったらかしにして、
これ書いている間にアルバムも聴き終わってしまって、

次に私が何を聞いているか?

興味ないって?涙

ラヴェルの弦楽四重奏。

ピッツィカートを多用する二楽章は心が絞られるような切なさで、
ラヴェルがどんな人かを一瞬にして理解させてくれた名作。
ピアノでは絶対こんな風には弾けないから、
こういう時は弦楽器を心底羨ましく思ってしまう。

そしてそして、私は激しく深く恋に落ちたのでした。😆

ラヴェルは弾きたい曲が山ほどあるなぁ。
ピアノトリオは絶対にいつか弾きたい。

そして次はね、ドビュッシーの弦楽四重奏。笑
この二曲は星の数ある弦楽室内楽作品の中でも、
トップをいく名作だと思う。

そしてこの二人の作曲家は、
クラシック音楽が最高潮に達して崩壊を始める、
そのピークに位置する作曲家だと思う。

本当は崩壊ではなく、
さらなる可能性を模索する時代に入っていたのだけれどね。
二度の大戦が多くを変えてしまった。

だから印象派とかいう「口当たり」の良い言葉に、
クラクラしないようにね!笑

印象派の画家たちも、
あの激動の時代を生き抜いたわけだし。

そして、私たちもね。
この激動の時代を

生き抜いてるんだと思う。


Love ♡ PianoBee


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