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お母さんも家族写真に写ろう


「私も夫も、たった1年間でびっくりするくらい顔が変わってる。その日、その瞬間の自分を、形として残せることがなにより嬉しい。」

新婚時代から写真を撮りに来てくれているIさんご夫婦。今回で3回目の撮影です。


「あーほとんど子供の写真ですね。」

お母さんのiPhoneのカメラロールには、お母さん自身がいない。
お子さんの成長記録のために撮った写真でいっぱいで、お母さんの写った写真がとても少ないのです。

人生が変わると、生活も変わり、当然容姿も変わっていく。
太るし、シミやしわも増える。
子育て中は、きれいにメイクする暇もなければ、毎月美容院に行く余裕もない。
疲れ果てて、自分を写す体力なんてどこにも残っていない。

夫が時々気まぐれで撮る写真は、すっぴんで半目。髪もぼさぼさ。おまけに逆光で顔なんてまともに見えません。
ありがとね、でももう気持ちだけでいいから、と悲しくなります。

そしたらだんだん、写真はいいやという気持ちになっていったのです。

私は、結婚してからの10年間、自分が写った写真は数えるほどだったので、少し後悔しています。
自分が写るのが嫌で写っていなかっただけなのですが、なんとなくその期間が空白なんです。空白になっていくというか。
嬉しいことも辛いこともたくさんあったはずなのに、その時の思い出も感情もだんだんと薄くぼやけていきます。

太っていようが、シミが増えようが、そんなことよりも、思い出の方が何十倍も大事。みんなで時を過ごし、みんなで歳をとっていく。見た目の変化は家族の歴史だと思います。

Iさんご夫婦のアーカイブが、とっても素敵なので少しご紹介します。

2017年5月。
こちら下のお写真はまだ奥様が妊娠する前、エンゲージメントフォトを撮ったものです。

二人の思い出の海。
この日はあいにく、春の嵐のおかげで天気が荒れ模様でした。車でじーっと待機し、どしゃ降りの中の一瞬の晴れ間を狙って撮影しました。曇り空の色もまた、スカッとした青空とは違った良さがあります。


2017年12月。
奥様が妊娠され、マタニティフォトを撮りに来てくれた時のもの。この時は妊娠9か月です。
マタニティフォトはお腹が大きくなり始める6か月以降がおすすめですが、里帰りをしない方は、お腹が目立つ8、9か月目がやはり1番おすすめです。

スタジオでゆったりリラックスしながら、神秘的で美しい瞬間を形に残します。

エコー写真をご持参いただき、一緒に撮りました。
お腹の中の彼に早く会いたい!みんなでその時を楽しみにしておりました。わくわく感が伝わってきます。
エコー写真を見せていただきましたが、顔の凹凸がはっきりしていてお父さんに似ているのが分かり驚きでした。最近のエコーってすごい…

そして、出産のご報告を頂いてから、半年後。
2018年8月。
エコーに写っていた噂の彼にやっと会えました。

お母さんと正面を向いてくれた奇跡的なショットです。

ニューボーンフォトといえども、新生児のお世話は大変すぎるし、お母さんの体力も戻りきっていません。病院を退院してすぐの撮影というのはなかなか難しく、今回もお母さんが育児に慣れて、精神的にも少し余裕が出てきた頃の撮影になります。

旦那様も3回目の撮影ともなると、カメラマンにも慣れて、自然体に。表情も柔らかくなり良い写真が増えます。

泣き顔や寝顔もいいけど、どうせ撮るならニコッとしてくれた瞬間をおさめたいもの。

ソロ写真を撮ろうとお母さんが抱っこをやめると、当然ふうぇっと泣き顔になってしまうのですが、お母さんがある魔法の言葉を言うと、すんと泣き止んでくれたのです。

それは、「ぽちゃっこ。」

そこからは、みんなでずーっと「ぽちゃっこ!ぽちゃっこだよ!」と叫んでいました。

ぽちゃっこのおかげで、この笑顔。


奥様のリクエストで寝相アートの撮影。


このお名前の書かれたボードは、ふだんおうちで使っているものを持ってきてもらいました。
お仕事が忙しく、いつも家族が寝静まったころに帰ってくる旦那様。そんな旦那様のために奥様がねぎらいのメッセージと夕飯のメニューを書いて、食卓の上に置いておくのだそうです。

「毎日疲れて大変だけど、本当にこの瞬間てその時しかないんですよね。何十年と経ってまた見返すのが楽しみです。」

そう写真は未来へのプレゼント。
お子さんだって、自分だけが写った写真より、お母さんと一緒に写った写真を見たい。
家族全員に囲まれて写った写真は、一生のお守りです。
愛されたその証拠は、記憶からは消えても、ずっと形に残っている。

彼が大人になって悲しいことや辛いことに襲われるとき、その写真は、きっと彼を勇気づけてくれるはず。

おわり

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