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辿り着きたかったところに、辿り着いたのかもしれない

先日からこの文章を書いていて、書いているうちに話がぶれたり、逸れたりして訳がわからなくなって寝かせていましたが、とりあえずまとまったので備忘録代わりにアップしてみようと思います。
そうかー!と気づいたことって、言語化するとなんだかズレてくる感じがするんですよね。

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先日投稿したイタリアの街角のスケッチを描いてみた後、上手い下手は別として、出来たものを見てみると結構達成感がありました。
それでふと思ったのは、もしかすると、ずっと辿り着きたいと思っていた場所に辿り着いたのではないかということです。

以前投稿したこちらの文章、思いがけず多くの方にアクセスしていただいたようです。
人生の目的はどこかに到達することではなかった、と書いているので、辿り着きたかった場所に辿り着いたというのは矛盾しているようですが、そうでもないのです。

この中で、学生時代に少女漫画を描いていたことを書いています。
描くことを止めた理由はいくつかあるけれど、思うように描けなくて自分の絵が気に入らなくなったことも理由のひとつでした。

人にはそれぞれ性質や向いている役割(立ち位置)があって、私は子どもの頃から「発信」ということが一つのテーマだったようです。
漫画を描いている時は、おこがましくも人の心を動かしたいと思っていました。
のちに写真を学んで撮るようになってからは、自分の写真のテーマは「分かち合い」だと思っていました。まだ「シェア」という言葉がないころです。
自分がいいと思ったこと、素敵だと思ったものや場所や情景を、人と分かち合いたいがために写真を撮っていました。
(そういえば自分がいいと思った本を紹介したり、好きだと思う天使や妖精の人形などを輸入して販売したりもしていました)

私の友人には絵やイラストや漫画を描く人がとても多くて、彼らはだいたい、描くことそのもの、描いていること自体が幸せといいます。それが以前から羨ましいと思っていました。
自分は発信したい人なので、描くことだけを楽しむことができなかったのです。 

先日、「瞑想が苦手な人は、それが人の役に立たないから、つまり瞑想は自分のためにするものだから苦手な人がいる」という話を聞きました。
初めはなんのことかピンと来なかったけれど、「こんなことをして何になるの?」と思うのだと聞いて、思い当たることがありました。

要するに、人の為になることが大事だと刷り込まれてきたので、自分のためだけに時間を費やすことができない、意味がない、落ち着かない、そういうことのようです。
人の為とは、もちろん純粋に奉仕の精神の場合もあれば、人からの評価を得て自分の価値を確認している場合もあります(私もそういうところがありました)。

それで、「ああ!」と思ったわけですね。
いま、描きたいと思ったものを描いて、出来たものを見て満足して自己完結している自分がいる。
ひとの役に立つわけでもないし、他者の評価はどうでもよくて、自分で良しとして喜んでいるって最高の自己満足で、それが出来ていることが嬉しかったのです。

Instagramに投稿したら、見た人も喜んでくれたので(イタリアの絵だったのでイタリア人の友人がBrava!Brava!Brava!(すごい!すごい!すごい!)とメッセージをくれた)、なお嬉しいけれど、それはおまけみたいなもの。

誰が見ていなくても、分かち合いだとかそういうことも関係なく、ただ描いていると楽しくて、あれも描いてみようかな、これも描いてみようかな、とアイデアが浮かんできます。

辿り着いたのは一つの通過点で、ゴールでも、何かに成ったわけでもありません。
辿り着きたかったのは、ただ何かをやっていることが楽しくて幸せに感じられる体験をしている自分。
以前の記事にも書いたように、創造することを楽しむ自分を創造すること。
カリグラフィーを書いている時もそういう状態になることがありますが、その創造が、以前やっていた「描くこと」ならばなおさら嬉しいかもしれない、と思うわけです。

見出し写真は、幼稚園の年少さんの時に描いた私の絵と、それを刺繍にした母の作品です。
幼稚園でなにか展示会のようなものがあったのかもしれません。
動物たちがみんな笑顔で、太陽が輝いていて、ちょうちょがいっぱい飛んでいて、お花も咲いている。
ひさしぶりに自分が幼稚園の時に描いたものを見て、きっと楽しく描いていたのだろうと思います。
おそらくこれが原点。

私のことなので、またこれも飽きるかもしれません(笑)。
ただ、創造することだけは飽きることがない。
というか、イヤでもこの瞬間も自分の見ている世界を創造してるのです。


書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。