マガジンのカバー画像

私の一部はイタリアの記憶でできている

60
ヨーロッパの中のふるさと、イタリアの記憶
運営しているクリエイター

#海外旅行

過去とつながる空間

日本からローマに到着して最初のホテルと一緒に、空港からの送迎を頼んだことが何度かある。空港に到着して、旅行会社のカウンターに行くと、イタリア人スタッフが日本語で対応してくれてホっとする。 初めの頃は、がんばって自分でカタコトのイタリア語でホテルを取ることもしていたけど(インターネットはまだ無い)、だんだん年を重ねていくと、ラクチンなほうに流れていく。 若い頃は節約のためもあって、いろんな面倒なことも全部自分でやって良い経験になったけど、空港からホテルまで連れて行ってもらう

旅の仕方と本の読み方は似ている・・・かもしれない。

昔働いていた職場の同僚に、海外旅行好きの人がいた。 彼女はとにかく行ったことがない国にツアーで行くことが多いようで、今度はどの新しい国や場所に行ってみようか、と考えるタイプのようだった。 私はといえば、当時は毎年必ず海外に行けるという状況ではなかったせいもあり、行くならイタリアだと思っていた。 初めはペンフレンドのいる北イタリアに行ったものの、中部のウンブリア州アッシジに3ヶ月語学研修で滞在したせいもあり、すっかり中部が「イタリアの故郷」になって、隣のトスカーナ州にある

ミラノのヨガ道場で眠る

トリノに住んでいるイタリア人ペンフレンドEと一緒に、1日ミラノの観光をしたことがある。 ドゥオーモ(大聖堂。町で一番重要な教会のこと)の上まで登ったり、ブレラ美術館に行ったり、レオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」を見に行ったりした。 特に「最後の晩餐」のあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は、おそらく今よりもずっと気軽にすんなり入れて、その部屋(食堂)に入って、なにげなく壁を見たら、無造作に(というのは的確な言葉じゃないけれどそんな感じ)「最後の晩餐」があって、び

ヴェネツィア 暗闇ホテル

ある夏、ちょうどパリに駐在していた友人と、ミラノで待ち合わせて北イタリアを数日旅行したことがある。 一人の時は、2つ星や3つ星のホテルだけど、そのときは彼女のためにミラノとヴェローナ、ヴェネツィアの4つ星ホテルを予約した。 ミラノのホテルの朝食は、ちゃんとハムやら卵のある簡単なバイキングでちょっと感動。 いつも朝ごはんはイタリアらしく、コルネット(クロワッサン型のパン)とカプチーノだったので。 ヴェネツィアを訪れるのは二度目で、一度めはバックパッカーのようなものだったから

時を刻め 〜ローマの日時計屋〜

ローマのトラステヴェレ地区に、ちょっと不思議な店がある。 ショーウィンドウにはいろいろな日時計が並んでいて 箱型のものもあれば、アクセサリーになっているものもある。 中世やルネッサンス時代の日時計を再現したものや、 砂時計、地球儀などが並ぶPolvere di Tempo(ポルヴェレ・ディ・テンポ=時のかけら)という名の店。 訪ねたのはずいぶん前のことだが、おそらくガイドブックかなにかで見て、どうしても行ってみたくて、トラステヴェレの路地にあるその店をめざしたのだと思う。

オレンジの朝焼けと赤瓦の街フィレンツェ

ドイツのミュンヘン駅の構内で友人とふたり、 このあとイタリアに行くか、スペインに行くかと迷っていた。 大まかな旅程しか決めていない旅で 気ままだけど不安も多い、そんな道程。 結局ヴェネツィアに向かおうということになり、 まだ明るいうちから簡易寝台に乗った。 明け方、目が覚めて コンパートメントのベッドからカーテンをちらっと開けて外を見たら イタリアの草原が朝焼けでオレンジ色に染まっていて、 あわててカメラを出してシャッターを切った。 それが、初めて見たイタリアの風景だった