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J2第21節 ファジアーノ岡山戦 プレビュー

前半戦最後の一戦はアウェイでの岡山戦となる。
オリンピックによる中断までも残り3試合。
全部勝って中断期間に入りたい。

1.対戦成績

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これまで14度の対戦を経てきて、6勝4分4敗となっており勝ち越してはいるが五分五分の成績となっている。

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アウェイでの成績も2勝4分1敗と勝ち越してはいるものの引き分けも多く、相性がいい相手とは言いきれないだろう。

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直近10試合の成績を見ても、4勝3分3敗とこちらも五分五分の成績となっている。
2010年には4点差をつけて勝利をした試合もあるが、昨年の最終節で2点差をつけられて敗戦を喫した以外は1点差以内となっており僅差の試合が多くなっている。

2.前節

甲府

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ホームに群馬を迎えての一戦。
試合前日、選手に新型コロナウイルス陽性反応が出るアクシデントが起きたが一丸となり大勝を収めた。
試合内容については群馬戦のレビューをご覧下さい。

岡山

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アウェイで京都との一戦。
スタメンは前節から3人を変更。
徳元と宮崎智彦が前日にコンディションを崩しメンバー外となり、宮崎幾笑がベンチスタートとなった。
代わって濱田、河野、木村をスタメンに起用した。
立ち上がり岡山はピッチを広く使うことで、京都のハイプレスに嵌まらずボールを動かしていく。
特にCB安部のところで京都のプレスを食いつかせ、空いたスペースで前進を狙っていく。
一方の京都はサイドに相手を誘き寄せ、サイドチェンジからゴールに迫る。
岡山の守備の出足が良く京都は思ったような攻撃を展開できないが、ウタカを中心とした個人技でゴールを狙っていく。
お互いに隙が無く、大きなチャンスを作れず飲水タイムに入る。
31分には京都が左サイドを崩し決定機を作る。
ウタカ、松田で崩し最後は荻原がシュートを放つが梅田が防ぐ。
38分に京都が岡山のミスを突き先制する。
岡山のCKの流れからバックパスの処理をDFとGKが見合う形でウタカがボールを奪うと無人のゴールに流し込む。
その後も京都がゴールに迫っていくが、得点は動かず前半を終える。
引き締まった試合の中、1つのミスで試合が動いた。
後半に入り、立ち上がりいきなり京都に決定機。
裏に抜け出たウタカがシュートを放つが梅田が防ぎ、こぼれ球に宮吉が詰めるが濱田がシュートブロックで得点は許さない。
直後にも荻原がミドルを放つが梅田が防ぐ。
京都が押し込む立ち上がりとなる。
53分には安部に代えて宮崎幾笑を投入する。
安部はアクシデントによる交代か?
直後に京都に追加点が入る。
川崎がドリブルで持ち運ぶとウタカとのパス交換から抜け出し、冷静にゴールに流し込みリードを広げる。
反撃したい岡山は前半同様にピッチを広く使い、サイドから攻め手を探る。
リードしている京都はウタカを起点に厚みのある攻めを見せていく。
73分に京都は宮吉に代えて白井を投入する。
直後に上門がミドルからゴールに迫るが若原が防ぐ。
追いかける岡山が押し込んでいく展開となるが、京都のゴールをこじ開けられない。
83分に共に選手交代を行う。
岡山が川本と木村に代えてパウリーニョと阿部を、京都が荻原に代えて本多を投入する。
88分には京都がウタカと松田に代えて李と中川を投入する。
その後も京都がチャンスを作っていくが、得点は入らず京都が逃げ切った。

3.今季成績

両チーム比較

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9勝7分4敗で6位の甲府と7勝4分9敗で11位岡山の一戦。
上の図やサイトでは甲府は5位と表記されているが、勝ち点、得失点、総得点で町田と並んでおり、直接対戦で敗れたことで甲府が6位となる。
失点数は共にほぼ同じながら、得点数に大きな差があることがわかる。
また、甲府はアウェイを苦手にしており岡山はホームでの敗戦が多くなっている。

甲府
直近5試合成績

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直近5試合は1勝2分2敗となっている。
新潟、磐田と上位との差を詰めるチャンスのあった直接対戦で勝ち点1しか稼げなかったことは痛手であった。

磐田戦でメンデスが退場して以降、失点がかさんでいる。
中でも3試合続けてCKから失点を重ねている。

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シーズンのデータを見てもセットプレーからの失点が半数以上を占めていることがわかる。
攻撃においてセットプレーで得点を重ねていたことからセットプレーは得意なイメージもあるが、大きな課題でもある。
欠場する中で続けて失点をしていることからメンデスの高さに依存していたことがわかるが、メンデスがいる中でも失点はしていただけに改善しなくてはいけない。
前節はGKを岡西から河田に入れ換えたものの、同じく失点をしており中断期間前に変えることは考えにくいが昨年まで採用していたマンツーマンに戻す可能性もあるのではないか。
だが、昨年も失点を重ねた結果ゾーンで守る形へ変更しているだけに難しいところ。
長年のセットプレーからの失点という課題が解決できない。

岡山
直近5試合成績

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直近5試合は3勝2敗と勝ち越している。
新潟、琉球、京都と上位3連戦では2勝1敗と勝ち越しており、ここに来て上り調子となっている。

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先程も少し触れたが岡山は失点が少ない反面、得点も少なくなっている。
だが、シュート数は7位と多く枠内シュート数も8位とシュートは打ってはいるものの決めきれないでいる。

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チャンス構築率も8位とチャンスも作っている。
だが、シュート成功率を見ていただけるとわかるが、18位とシュートが決まらないことが11位という順位に繋がっている。
一方、失点は少ないがチャンスは相手に作られていることが被チャンス構築率を見てもわかる。
リーグ4位の失点数に対して、被チャンス構築率は12位と失点のわりにはチャンスは作られているが、GKを中心に最後はやらせない守備ができている。

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得点はセットプレーが中心となっている。
一方で失点もセットプレーからもわずかに1失点。
千葉戦でPKからの失点があっただけに、PKもセットプレーに含まれていると考えるとFKやCKからの失点は無いだけに攻守共にセットプレーが持ち味のチームといえる。

4.予想スタメン

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甲府
前節と同じメンバーを予想した。
怪我人や陽性反応が出た選手もおり、前節はベンチ入り人数を揃えることがやっとの状況であった。
今節もやりくりが難しい状況が予想される。

岡山
前節から3人の変更を予想。
濱田、廣木、木村に代えて宮崎智彦、徳元、宮崎幾笑を起用すると予想した。
宮崎智彦と徳元はコンディションも戻ると予想し、宮崎幾笑はボール保持も前節以上にこなせることから起用してくると予想。
安部は前節途中交代したが、練習には参加しているようでスタメンで出てくるだろう。

5.注目選手

甲府

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鳥海芳樹
前節初めてスタメンで泉澤とシャドーに並ぶ形となった。
ドリブラー2人を並べる形は攻撃を活性化させた。
守備でも鳥海のプレスやプレスバックからボールを奪い得点に繋げる形を作り、攻守でアグレッシブに戦ったチームを象徴していた。
今節もチームにエネルギーをもたらしたい。

岡山

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川本梨誉
20試合で得点が18とチームは得点力不足に陥っている。
上門が5得点と気を吐いているが上位を追っていくためにも他にも得点源となる選手は欲しいところ。
イヨンジェや齊藤と実績のある選手の出番が無い中、清水から期限付きで加入している川本に期待が集まる。
積極的にゴールを狙う姿勢は見せているだけにきっかけ一つで飛躍するのではないか。

6.展望

岡山は前節の群馬に近い特徴を持ったチームではないか。
より強度が高く、一人一人の能力は高いが、442でのブロックや前線のタレントを活かした攻撃、ボールを繋ぐことに対する意欲は群馬と同様に持ち合わせている。

442で構える点は似ているが、プレスの強度は群馬よりも高い。
前線から同数の局面を作り、人を捕まえる形でプレスを掛けていく。

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高い位置でボールを奪うと上門、川本を中心にショートカウンターを狙っていく。
同数で人を捕まえに行くため対面の相手からボールを奪いカウンターに出ていくと前方は同数のため、ボールホルダーを含めると数的優位の状況でカウンターを仕掛けていける形となる。
甲府としては岡山に前向きな状況でボールを奪われると一気にゴールまで迫られるリスクがあるため、安易な失い方をしてはいけない。
一方、同数でプレスを掛けていくため、一人剥がすと逆に数的優位の状況で攻撃を仕掛けていける展開となる。
背後は空いてくるため、ドリブルで仕掛けるだけでなく相手を引きつけ素早いパスワークでハイプレスを突破したい。

岡山の前節での失点場面だが、京都のビルドアップに対し岡山がプレスを掛けに出ていくところを引きつけ縦パスを通し、ドリブルからワンツーで突破して得点に結びつけた。

この場面も前節からだが、スローインに対しボールを奪いに出て行った岡山だが京都に剥がされる。
出て行った背後はこのように空くため、岡山のハイプレスに怯えず、ビルドアップで引きつけプレスを裏返したい。

セットして守る際には442で構え、縦横共にコンパクトなブロックを敷く。
対して甲府はいつものように可変を行い、岡山の守備ブロックを崩しに掛かる。

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岡山は比較的オーソドックスなチームであり、コンパクトにボールサイドに寄っていくため、逆サイドが空いてくる。

この場面はスローインからだが、このように片側のサイドに引き寄せ逆サイドへ展開する形は有効となる。
前節新井からサイドを変える大きなボールが多く出ていたが、今節も泉澤や鳥海へのサイドチェンジから一対一の局面を多く作りたい。

ボール保持者に対しては自由を与えないように積極的に寄せていく。
サイドで幅を取る相手に対してはSBが食いつくが、全体でスライドするのではなくSB単体でスライドすることが多くその際にはCBとSBの間が空くことが多くなる。

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前節甲府はこのスペースを活かし、得点を挙げていることからイメージしやすいのではないか。

この場面のように左サイドでは泉澤が相手を外に引っ張り、空けたスペースに荒木が飛び込んでいく形を多く作りたい。
一方、右サイドではこの形から野澤や関口が飛び込んでいく形がイメージできる。
また、関口が幅を取りボールを受けに下がった鳥海が意図的にこのスペースを空けた状態から飛びこんでいく形も効果的となる。

ボール保持の際にはGKもビルドアップに加わり、ボールの前進を図っていく。
甲府は前節のようにトップのリラとボランチの一人が積極的にプレスを掛けていくことが予想されるため、岡山としてはGKを経由することが多くなるだろう。

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ボール保持時の岡山はトップの選手が上下に動き、DFラインを揺さぶり、2列目の選手が内側に絞ることでSBが高い位置で幅を取る。
対して甲府はリラが牽制し、ボランチの一人が積極的に出ていく形でプレスを掛けるだろう。
その後方にはシャドーの2人ともう片方のボランチが背後をカバーし、中央からの前進を阻む。
サイドに展開された場合には両WBが対応する形となる。

こちらは新潟戦の得点だが、2列目の選手がインサイドに入りSBが幅を取っていることがわかる。
ボランチを経由して縦パスが入るが、2トップは足元で受ける川本と裏へ抜けていく上門と役割分担ができている。
相手の動きを意識し過ぎず、スペースをケアする意識も必要となる。

得点力不足の岡山だが、先にも触れたようにシュート数は多くなっている。
中でも2トップを組む上門と川本は積極的にロングレンジからシュートを狙っていく。

上の動画は上門、下は川本がミドルシュートから得点を決めた場面だが、毎試合のように遠目からショートを狙っているだけに自由を与えては危険なシュートがゴールを襲ってくるためアラート感は常に持ち続けなくてはいけない。
だが、警戒しすぎると上門は逆手に取る上手さも兼ね備えている。

先にも触れたようにセットプレーは岡山の大きな武器となる。
守備時にはマンツーマンで守っている。
マンツーマンのため相手のマークを外せるかにかかっている。
メンデスが今節も不在となることを予想しているため、高さのアドバンテージは少ないだけに前節も見せたが、ショートコーナーを活用したり、低いボールを入れたりと相手のマークや目先を変える工夫をしていきたい。
また、得点力不足が岡山の課題となるが、得点の3分の1がセットプレーからと攻撃面でも強みとしている。
左利きの宮崎幾笑、右利きの白井と左右のキッカーから質の高いボールが入ってくる。
メンデスが磐田戦で退場して以降、3試合連続でCKから失点しているだけに警戒が必要となる。

「アラート感」が今節のポイントとなるだろう。
得点が取れていない岡山だが、一発のある選手やセットプレーに強さを持つだけに常に警戒が必要となる。
ハイプレスに対しても気が抜けず、隙を与え先制点を許すと追いつくのも難しい相手となるだけに前節同様立ち上がりからパワーを持って試合に入り岡山を押し込んでいく展開としたい。

7.あとがき

勝ちが無く、怪我人が増え、コロナウイルス陽性者が出るなどチームとしては苦しい月となった6月。
前節、その苦しい状況を晴らすような快勝を収めた勢いを中断期間までの残り3試合へと繋げたい。
離脱者の状況はわからず、どのように今節に繋げていけるのか予想は難しいが、昨年ターンオーバーで戦った真価が問われる。

岡山は11位と順位こそ中位だが、新潟や琉球に勝てるだけの力を持ったチームである。
得点力さえ向上すれば勝ち点を伸ばしていけるチームであろう。
今シーズンは有馬監督体制3年目であり、ここから急激なチーム力の高まりは考えにくいがイヨンジェの復帰や補強が噛み合えば順位を上げてくるチームではないか。

中断期間まで残り3試合だが、まずは目の前の試合に勝利することから。
苦しいチーム状況は変わらないが、勝って次に繋げていきたい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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