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J2第32節 モンテディオ山形戦 プレビュー

前節新潟に敗れ、6位に転落した甲府。
気持ちを切り替え、残り試合を戦いたい。
今節の相手は7位山形。
2週続けて絶対に負けられない戦いだ。

1.前回対戦

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先制を許すがリラの加入後初ゴールと泉澤のゴールで逆転をした甲府だが、アディショナルタイムにCKから栗山に同点ゴールを許し引き分けに終わった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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通算成績では甲府から見て14勝11分20敗と山形が勝ち越している。

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一方、ホームでの成績を見てみると甲府に分があることがわかる。

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直近の対戦を見てみると3試合勝ちがない。
また、2018年のJ2降格以降は1勝4分2敗とほとんど勝てていない。

3.前節

甲府

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アウェイ新潟での川中島ダービー。
勝った方が3位となる一戦は終盤に悲劇が待っていた。
試合内容についてはレビューをご覧ください。

山形

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アウェイ愛媛に乗り込んでの一戦。
前節京都戦からはスタメン1人を変更。
左SBの吉田に代えて半田を右SBに起用した。
右を務めていた山田が左SBに入った。
立ち上がり最初にチャンスを作ったのは山形。
左サイド深くを突いた樺山のクロスに藤田が合わせるが味方に当たりゴールとはならない。
共に速いテンポでゴール前にボールを運ぶことが多い展開となる。
徐々に山形がボールを持ち、愛媛を押し込んでいく展開へと変わっていく。
一方の愛媛はカウンターに活路を見いだしたいが、藤本が孤立し単発に終わることが多くなってしまう。
18分に山田康太の得点で山形が先制する。
スルーパスを受けたヴィニシウスが落ち着いて山田を使うと山田がゴールに流し込む。
飲水タイム明け愛媛は前からボールを奪いに出ていく。
すると27分には愛媛に決定機。
唐山がドリブルでゴール前に運ぶと右サイドの小暮を使う。
小暮は逆サイドへクロスを送ると内田がボレーで合わせるがビクトルが防ぐ。
35分にも愛媛にチャンス。
ドリブルで仕掛けた唐山がゴールライン際からクロスを上げると藤本が合わせるがまたビクトルが防ぐ。
共にゴール前の攻防が多かった前半は山形が1点リードで終えた。
後半開始から愛媛は唐山に代えて石井を投入する。
52分には右サイドを崩し、南が折り返すと山田康太が合わせ、山形に追加点が入る。
57分に愛媛は3人の交代を行う。
田中、近藤、内田に代え前田、横谷、榎本を投入する。
59分には山形に3点目が入る。
右サイドで中原がパスを受けると内へランニングした半田を使い、クロスを入れるとヴィニシウスが合わせ山形が得点を挙げる。
63分には山形にまた得点が入る。
山田康太が右サイドからクロスを上げると中央で受けた樺山からスルーパスがヴィニシウスへと出る。
エリア内で受けたヴィニシウスが落ち着いてゴールへ流し込み、山形に4点目が入る。
畳み掛けた山形が一気に得点差をつけた。
65分には山形が2人の交代を行う。
樺山とヴィニシウスに代えてマルティノスと林を投入する。
74分に山形が再度2人の交代を行う。
山田康太と南に代えて木戸と國分を投入する。
82分には山形が最後の交代を行う。
野田に代えて熊本を投入する。
直後に愛媛がクロスから藤本が合わせ、ゴールを狙うが枠を捉えられない。
85分には愛媛が西岡に代えて小川を投入する。
小川はプロデビューとなった。
アディショナルタイムには愛媛が左サイドから触れば1点というクロスが入るがビクトルが防ぐ。
前半は愛媛もチャンスを作れていたが、後半に入り山形の勢いを止められず山形の完勝となった。

4.今季成績

両チーム比較

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6位甲府と7位山形の一戦。
勝ち点54と52。
勝った方が上に立つ試合となる。
甲府は現在ホームで13戦負けなしとなっており、勝ち点を伸ばしている。
一方の山形はアウェイで勝ち点を稼いでいるが、甲府ほどホームとアウェイで差がある成績とはなっていない。

甲府

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3勝2敗と勝ち越してはいるものの上位を追っていくには足りない成績となっている。
だが、ここ4試合で失点は1と京都戦以降採用しているハイラインハイプレスは一定の手応えを得ている。

今回は月別の成績を見ていきたいか思う。

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このように今シーズンの甲府は隔月で成績の浮き沈みが起きていることがわかる。
奇数月で見ると平均勝ち点は2を上回っているが、偶数月は2に満たない。
奇数月の成績をこれまでの試合数に当てはめると京都や磐田を上回るハイペースで勝ち点を積んでいる。
一方、偶数月で当てはめると平均勝ち点は1を下回り残留争いに巻き込まれるペースとなっている。
では、なぜこのような現象が起きているのか。
考えられることは対策を立てられると次の手を打つまでに時間が掛かることにある。
特に今シーズンは連勝中はメンバーを固定する傾向にあり、相手としては対策を立てやすいこともある。
試合の中で打てる手の少なさがこの結果を招いているのではないか。
前節の新潟は試合の中で様々な手を打ち、戦況を変えることを狙ってきた。
ビルドアップの仕方から選手交代によって選手個々に与える役割を変える等、多彩さを見せた。
甲府もシーズン通してみると多様性はあるが、その多様さを試合の中で使い分ける柔軟性には欠けていると言える。
今月は周期的には低迷する月となるが、復帰した選手も含め相手に合わせた戦い方を見せられるかが今節だけでなく今月のポイントとなる。

山形

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2勝3敗と黒星が先行している。
前節こそ完封したものの5試合で9失点と守備の改善は必要となるだろう。

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データを見てみるとクラモフスキー監督の攻撃的なサッカーはデータとして表れていることがわかる。
攻撃回数は最も多く、ペナルティエリア内への侵入回数、30mラインへの侵入回数はリーグ2位とJ2リーグで最も相手ゴール付近でのプレーが多いチームと言える。
ドリブル数が4位、クロス数が2位であることを考えるとサイドでの仕掛けからクロスでゴールに迫ることが多いチームだ。
また、CKの数もリーグ2位とセットプレーにも活路を見いだしている。
では、これらは得点に繋がっているのかを見ていきたい。

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得点数のトップはセットプレーであり、2番目に多いのはクロスからとなっていることからチームとしての狙いが当たっていると言える。
だが、得点数はリーグ8位と狙っている形を多く作れているだけに得点数を増やしていきたい。

5.予想スタメン

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甲府
前節からは2人の変更を予想した。
コンディション不良により欠場したメンデスが復帰するのではないか。
また、シャドーには長谷川に代えて中村の起用を予想した。
選手層の差を見せられたこともあり、ベンチの人選にも変化があるかもしれない。
関口、鳥海は練習にも合流しているだけにメンバー入りの可能性はあるだろう。

山形
前節からの変更は無いと予想した。
半田を除いた10人は新潟戦から3試合続けて同じメンバーであり、樺山を除いた残りの9人は5試合続けて同じメンバーとスタメンは固定されている。
また、堀米の凱旋に期待したいところだが夏に補強したマルティノスがメンバー入りしてから2試合続けてベンチからも外れているだけに厳しそうだ。

6.注目選手

甲府

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荒木翔
開幕から全試合スタメンで出ており、プロ4年目で飛躍のシーズンを迎えている。
途中交代は2試合のみとタフさも見せている。
チームトップの5アシストもマークしており、結果でもチームを引っ張っている。
副キャプテンも務めており名実共に甲府の顔となってきた。
前節試合後に見せた姿は今シーズンに懸けていた想いが溢れていた。
悔しさを今節は勝ち点3という結果で晴らしたい。

山形

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中原輝
今シーズン熊本から移籍してきた選手でJ2初挑戦の年となっている。
右サイドからの仕掛けでチャンスを演出する選手で、ここまでチームトップの7アシストと山形攻撃陣を引っ張っている。
プロ1年目には現在甲府のヘッドコーチである渋谷コーチが監督を務めていた熊本でプロデビューを飾った。
渋谷コーチに成長した姿を見せ、山形を勝利に導く活躍を見せたい。

7.展望

前回対戦時の山形は石丸清隆監督が解任され、佐藤尽コーチが暫定で指揮を取っていた。
その後クラモフスキー監督が就任し、14節から12試合負け無しで一気に昇格争いに加わってきた。
現在はその勢いも陰りが見えてきているが、実力のあるチームであることは間違いない。

山形の特徴はハイテンポなポゼッションスタイルにある。
前節の新潟もポゼッション志向の強いチームであったが、よりダイレクト志向で速い攻めを見せるチームとなる。
その中でビルドアップ時には4バックと南でボールを動かしていく。

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ボランチは横には並ばず縦関係となり、ボールを保持する。
横並びにならないことで段差を作り、相手のプレスに掛かりにくくする。
トップ下の山田康太は自由に動き回り、ボールを引き出す。
トップのヴィニシウスは積極的にDFラインの背後へ抜け出すことで相手のDFを下げることを狙う。
山形は新潟のようにゆっくりとしたテンポでのビルドアップではなく、少ないタッチでテンポ良くボールを動かしライン間へ積極的にボールを入れていく。
甲府は541の形でブロックを形成すると山形はビルドアップ時に数的優位の状況でボールを回せることとなるだけに縦パスを入れられないように、前節と同じくボランチの選手が出ていくことで人に嵌め込む形でボールを奪いに出ていきたい。

山形は前線にボールを差し込むとCBの2人を残し、前へ圧力を高める。

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押し込んだ際の配置は甲府に近い形と言える。
サイドではSHが幅を取りドリブルで積極的に仕掛けてくる。
また、左右でSBのプレーエリアは変わってくる。
左の山田拓巳は樺山の裏をオーバーラップしていくことが多いが、右の半田は中原の内側を走ってゴール前に入っていく。

このように右サイドでは中原が外で引っ張り、インサイドから半田がゴール前に入っていく形を作る。
甲府の右サイドでは樺山と山田で数的優位を作り、甲府の左サイドでは半田がインサイドに入ることで須貝に対し、中原が一対一の状況を作る。
サイドを突破するとクロスからゴールに迫ってくるが、シンプルなクロスよりもグラウンダーのボールや深い位置まで抉りマイナスのボールが多くなる。

山形はペナルティエリアの外からのクロスよりもニアゾーンと呼ばれるエリアからのクロスが多くなっている。

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このエリアを使うメリットはゴールに直結する選択肢を多く持てることにある。
直接シュートも狙えれば、クロスをマイナスやファーサイドへ送ることもできる。
また、シュートやクロスがDFに当たってコースが変わればゴール方向へ飛ぶ可能性は高くニアゾーンを使えればゴールの確率は高められる。

一方で前線に人数を掛けて攻め込んでいくため、攻めきれないとカウンターを浴びることが多くなる。

先程も触れたようにCBを残し、押し込んでいくこともありリスクのある戦い方を採用している。

だが前線に人数を掛けることはデメリットだけではない。
当然攻撃に人数を掛けられるため、厚みのある攻めを見せられるがそれだけでなくボールを失った瞬間圧力を高め、ボールを奪い返しに掛かる。
攻守の切り替えが速く、ハードワークすることも山形の大きな特徴となっている。
サイドへのパスコースを切りながら積極的にボールを奪いに出てくる。
ここで奪えれば一気にカウンターへと出ていけるだけにメリットもある。

また、奪い切れずにプレスを回避されるとオープンな展開となりカウンターを受けることになる。

DFの選手がギャンブル的にボールを取りに出たことが目立つが、各ライン間にはスペースができていることがわかる。
前線からボールを奪いには来るが裏返せばスペースはあるだけにプレスを回避出来ればチャンスは作れる。
このようにオープンな展開が多くなるのも山形の特徴と言える。

山形はハードワークがウリのチームであるが、前半から飛ばし過ぎて後半に足が止まる傾向にもある。
甲府は怪我人も戻ってきたことで交代カードも豊富となり、足が止まった相手に効果的な交代策をいかに選択するかベンチワークも注目となる。

ボール保持を許した山形は一度リトリートし、442の形でブロックを形成し牽制を掛けながらボールを奪いにいく。

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2トップでビルドアップに規制を掛けていく山形に対し、甲府は可変を行い新井が間や背後を取りながらボールを動かしていきたい。
中盤の守備は内を締めて守っており、サイドへ出たボールに対してはSBが対応する。
甲府が可変を行わずにボールを動かしていく場合には山形は甲府の3バックに対し、2トップ+SHで嵌める形でプレスを掛けていく。

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この場合は山形のSHの裏が空いてくる。
連動してSBがスペースを埋めに出てくるが、そうなるとサイド裏にスペースができる。
スライドが間に合わなければSHの裏、スライドが速ければSBの裏とサイドからの前進を図りたい。
可変を行い中央でギャップを作るか、可変を行わずにサイドでギャップを作るか状況に合わせ的確な判断を行いたい。

ビルドアップで前進を図ると山形の4バックに対して、甲府は前線に人数をかける形で押し込んでいく。

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リラの周辺に長谷川、宮崎、野津田がポジションを取り、WBが高い位置で幅を取る。
山形は4バックであるため、横幅を4人で守るので逆サイドは空いてくる。
ボールサイドだけでなく、逆サイドの動きも注目となる。

前回対戦時には最後にセットプレーで失点を喫し、勝ち点を失っただけに今節はその仕返しといきたいところ。
山形のセットプレーの守備はゾーンで守っているが、高さのある選手にはマンツーマンで付くことがある。
甲府に対してはメンデスやリラにマンツーマンを付けてくるのではないか。
だが、基本線はゾーンで守っているため高さのある選手はゾーンをケアすることとなる。
しかし、野田と山崎しか180㎝を越えている選手はいないため全体的に高さのあるチームではない。
群馬戦の浦上のような得点は狙えるのではないか。

サイドの攻防が試合の行方を左右しそうだ。
試合を通してみれば山形のハイテンポなサッカーに振り回される時間も多くなるだろう。
前節のようにプレーが切れず波状攻撃を受ける状況を作られてしまうと劣勢に立たされることとなる。
アラートに試合終了のホイッスルがなるまで戦い続けることが求められる一戦となるだろう。

8.あとがき

J1昇格が全てではないと私は考えています。
それでもJ1に上がりたい。
監督や選手が諦めないのであれば私達も諦めてはいけない。
だが、今年は上2チームが強すぎる。
サッカーは相手があるスポーツであり、できることは可能な限りの勝ち点を積み重ねることで天命を待つしかない。
J1昇格が叶わなくとも私がヴァンフォーレを応援しなくなることはありません。
毎週末一喜一憂できるものがある人生は幸せなことです。
まずは今節勝って気持ちの良い週末を過ごしましょう!

山形は序盤の低迷から監督交代を機に急浮上した。
中断明けはその勢いも陰りが見えているが、開幕当初は残留争いに巻き込まれる危険性があったことを考えると驚異的な挽回である。
前節も快勝を収め、勢いに乗った山形の爆発力はJ2屈指である。
簡単には勝てる相手ではない。

当たり前にサッカーが見られることに感謝し、今節も楽しみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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