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J2第27節 FC町田ゼルビア戦 プレビュー

最後に追いつかれ、勝ち点を失った前節。
失意の一週間を過ごしたチームにとってリバウンドメンタリティが求められる一戦。
今節はアウェイでの町田戦となるが、勝ち点3を掴み取りたい。

1.前回対戦

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開始3分に先制を許し、守りを固める町田の前になす術なく敗れた。
今シーズン初黒星となった試合であった。
試合内容は以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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通算では甲府の4勝4分2敗と勝ち越している。

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アウェイでは過去4度対戦しており、負けは無いが勝ちきれてもいない。

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通算で10度の対戦のため、こちらが過去の対戦すべてとなる。
僅差での試合が多くなっていることがわかる。

3.前節

甲府

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リラの2試合連続ゴールで幸先良く先制したが、終盤に悲劇が待っていた。
甲府にとっては悔しい、辛い一戦となったが、試合内容については以下のレビューをご覧ください。

町田

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前節からスタメンを2人変更。
土居と安井に代えて三鬼と佐野を起用した。
立ち下がりは北九州がボールを保持する入りとなる。
徐々に町田もボールを持つ時間を増やしていくが、共にチャンスは作れない。
14分に町田に最初のチャンスが訪れる。
サイドチェンジを受けた平戸がカットインからシュートを放つが、田中が防ぐ。
町田の切り替えが速くなり、北九州がボールを繋げなくなっていく。
ボールを握る町田に対して北九州はボールの奪い所を決められず、自陣に押し下げられる。
町田が主導権を握っていくが、北九州守備陣を崩すまでは至らない。
飲水タイムを経ても町田がボールを保持し、北九州を押し込んでいく展開は変わらず時間が進んでいく。
徐々に北九州がプレスの強度を高めていくが、町田もプレスを剥がし前進する。
43分に北九州がアクシデントによって選手交代を行う。
椿に代えて斧澤を起用する。
町田が押し込む時間が長かった前半だが、得点は無くスコアレスで前半を終える。
後半開始から町田は中島に代えてドゥドゥを投入する。
47分にそのドゥドゥが試合を動かす。
ロングボールを長谷川がスラすと裏に抜け出したドゥドゥがゴールに流し込み、町田が先制する。
シュートが前半無かった北九州だが、左サイドからエリア内の斧澤に通すと反転からシュートを放つ。
62分には平戸がFKからゴールを狙うとポストに阻まれてしまう。
直後に北九州が2人選手交代を行う。
佐藤と永野に代えて富山と針谷を投入する。
選手交代を境に北九州にリズムが生まれ、ボール回しがスムーズとなっていく。
飲水タイム明けに町田が平戸に代えて太田を投入する。
76分に北九州が2人を交代する。
六平と新垣に代えて野口と前川を起用する。
一方の町田は78分に吉尾と長谷川に代えて安井と鄭大世を投入する。
共に得点を取りにいく交代を行う。
81分に北九州が同点に追いつく。
サイドチェンジを受けた福森のクロスに富山が合わせる。
追いついた北九州は勢いを増していく。
前線に攻撃的な選手を次々に投入した町田だが、ドゥドゥを右サイドに置いたことで福森の攻撃参加を許し、クロスからチャンスを作られていく。
すると85分に北九州が逆転する。
福森のCKから富山が折り返すと前川が合わせ、逆転に成功する。
直後に町田は安井に代えてデュークカルロスを投入。
これにより、太田を右に回しデュークカルロスが左サイドに入る。
ドゥドゥの起用で緩くなったサイドのテコ入れを図る交代となった。
監督の交代策が試合の行方を変える結果となった。
北九州の小林監督は選手交代でチーム力を高めたのに対し、ポポヴィッチ監督は交代によりウィークポイントを作ってしまうことになり北九州に隙を与えることとなった。
北九州にとっては10試合ぶりの白星、町田は3試合勝ちなしとなった。

4.今季成績

両チーム成績

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12勝9分5敗で暫定6位の甲府と12勝6分8敗で暫定7位の町田。
どちらかというとアウェイが苦手な甲府とホームで勝ち点を伸ばせていない町田。
だが、町田はバックスタンドが完成した14節の新潟戦以降、4勝1分2敗と勝ち星が先行しており、現在4戦負け無しとなっている。
いつもは上記の比較のみを載せるが、以下も見ていただきたい。

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非常に似通っていることがわかる。
データ上で見ると均衡した試合が予想される。

甲府
直近5試合成績

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2勝2分1敗と悪くはないが、中断明けは2分1敗と未勝利となっている。
中断前に4連勝を飾った勢いは無くなってしまった。

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前節、終盤にCKから失点を喫して勝ち点を失ったがシーズン通してセットプレーからの失点が止まらない。
26試合中25失点と1試合平均1失点していないが、25失点の内15失点がセットプレーからとセットプレーからの失点が減らせていれば順位はもう少し上であっただろう。
流れの中からの失点は2試合に1失点以下のペースであるだけにセットプレーの守備を改善したい。

町田
直近5試合成績

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2勝1分2敗とこちらも勝ちきれていない。
甲府同様中断明けは未勝利であり、早く勝ち星が欲しいところ。

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順位通りの成績と言える。
シュート数を増やすことで得点の確率を高めたい。
失点数は26と1試合平均1失点と安定しており、被シュート数も被チャンス構築率も6位とリーグ上位の数値となっている。

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際立つのはオフサイドの数。
リーグ2位の多さとなっているが、積極的に裏を狙っていることがわかる。
パス数やボール支配率は高くないため、シンプルに背後への飛び出しを狙ってくるチームとなる。

5.予想スタメン

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甲府
前節から一人の変更を予想した。
小柳に代えてメンデスの先発を予想。
メンデスは出場停止からの復帰となる。
山田は前節負傷交代となったが、練習参加しているようなので今節もスタメンと予想した。

町田
前節と同じメンバーと予想したが、SBは左右入れ替えると予想。
前節敗戦を喫しているが、先発の入れ替えが無いと考えたのはスタートの11人で戦った前半の出来が良かったため。
SBの入れ替えを予想したのは泉澤に対し、守備に強みを持つ奥山をマッチアップさせるためである。
新潟戦でも本間至恩対策で入れ替えを行っており、泉澤対策を行うのではないか。

6.注目選手

甲府

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山本英臣
チームの苦境を救うのはこの男しかいないだろう。
困った時のオミ。
いつまでも頼りきりではいけないが、今は山本の力が必要となる。
中断明け勝てていないチームをプレーで、存在感で引っ張り、勝ち点3をチームにもたらしたい。

町田

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吉尾海夏
横浜F・マリノスから期限付き移籍で加入し、2年目のシーズン。
7ゴール5アシストと攻撃を牽引している。
共にチームトップとなっているが、中断明けはまだ得点がない。
得点を決めた試合は4戦全勝となっているだけに、中断明け勝利の無いチームを勝たせる得点を決めたい。

7.展望

町田は名前の知られたタレントが多くいるチームである。
前線には元北朝鮮代表の鄭大世や日本代表に召集された経験を持つ長谷川アーリアジャスール、J2通算102ゴールの中島裕希と経験豊富なベテランがおり、今シーズン甲府から移籍した太田修介やドゥドゥもいる。
中盤には佐野海舟や高江麗央、平戸太貴、吉尾海夏と年代別代表歴がある若手有望株が揃っている。
DFラインにも元日本代表の水本裕貴を始め、深津康太や高橋祥平とリーグ戦で300以上出場している選手を揃えている。
サイバーエージェントが2018年からチーム経営に加って以降、着々とチーム力を高めてきた。
ポポヴィッチ体制2年目となる今シーズンは昇格を現実的な目標とできるところまで来ている。

町田の特徴としては先程も軽く触れたが、相手の背後を積極的に狙っていくことにある。
先発に予想した中島が起用された試合ではその色合いは顕著となる。
最初の狙いは中島が背後へ飛び出すことをシンプルに使う攻撃。

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特に甲府はメンデスの背後を取られることが多くあり、町田としても狙ってくるだろう。
シンプルに裏を取れなくても背後へ飛び出すことで甲府のDFラインは下げさせられる。
DFラインが下がることで中盤とのライン間が空いてしまう。
そこでポイントを作るのが長谷川となる。

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ライン間を狙う長谷川には高橋祥平からのクサビのパスやサイドから斜めのボールを入れ起点を作っていく。
ライン間で起点を作った選手に対しては、後方の選手が前向きにサポートしボールを前進させていく。

長谷川は比較的自由を与えられており、ボランチに降りてボールを引き出すこともあるが、この際には平戸がインサイドに入りライン間を狙う。

甲府としてはハイプレスからボールを奪いに行きたいところだが、前節北九州は高い位置からボールを奪いに行ったところを剥がされ、前進を許していた。
途中から引いて構え、中盤でボールを奪う形へ変更すると町田はボールを奪われることが増えたため、甲府は541で構えるやり方を取るのではないか。

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引くことで、背後のスペースを消すことにも繋がり、ライン間も閉じることができる。
そうなると町田としては引き出す作業をしなくてはいけなくなるが、町田にはドリブルで打開できる選手は少なく、チームとしてボールを動かすことで甲府のブロックを破っていかなくてはいけない。
甲府は1トップであり、2CBで数的優位を確保できているため、ビルドアップの形は基本的には変えないと思われるがボールが上手く前進できない場合は高江がDFラインに下がることやGKの福井を組み込むことでビルドアップを行っていく。

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高江が降りる場合は343気味に可変する形となるが、長谷川がボールを受けに降り、ライン間は平戸と吉尾が狙い、幅はSBが取る。
高江からはサイドチェンジのパスが出てくるだけに警戒が必要となる。

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福井をビルドアップに加える時には大きく陣形は変わらないが、SBを高い位置に押し出すことでライン間に2列目の3人がポジションを取っていく。
福井も精度の高いフィードが出せるため、DFラインの選手はGKだからと油断せず備えが必要となる。
ボール保持にこだわることで、ボールを奪いに出ていくと町田としては使いたいスペースが増えるため引いて構えつつ、カウンターを伺う戦い方が町田には合うのではないか。

また、ベンチには戦況を一変できるタレントが残っている。
鄭大世、ドゥドゥ、太田と切り札的に起用できる選手がベンチには控えており、前節はドゥドゥが、前々節は太田が途中出場から得点を決めている。

いずれも特徴のある選手であるが、鄭大世は高さと強さ、ドゥドゥは仕掛けと決定力、太田は背後への飛び出しと推進力をチームにもたらす。
太田は先発でも遜色なくプレーできるが、鄭大世とドゥドゥは諸刃の剣でもある。
鄭大世が起用された際は前線の動きが減り、深さが取れないことが増えてしまう。
ドゥドゥは前節もだが、守備においてウィークポイントを作ることにもなる。

また、町田には精度の高いキッカーを左右に揃えており、セットプレーでも強さを発揮する。

右の平戸、左の吉尾は共にキックの精度が高く、警戒が必要となる。
メンデスが復帰することで高さは増し、前節の失点場面のようにファーサイドが明確に弱いということは多少改善できると思うが、磐田戦や相模原戦ではセットプレーのセカンドボールから失点している。

このように町田はトリックプレーも用意してくるチームであり、ゾーンの外から失点を許している甲府にとっては嫌な相手である。
セットプレーの守備には改善の余地はあるが、セットプレーを与えないことが大事となる。

強力なタレントを揃え、セットプレーの精度も高い町田であるだけに、事故が起こりやすい相手となる。
それだけに事故が起きても安心できる差をつけられるかがポイントとなるが、得点を取るためにはどのように町田を崩していくことが必要か。
町田は442でブロックを形成し、中盤へのパスコースを消しながら外回りにボールを回させていく。

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甲府の可変に対してサイドへ誘導していき、奪い所とする。
ブロックを敷き、スペースを消して守ろうと試みているが中盤とDFラインの間は空く傾向にある。

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DFラインが低めに設定されることが多く、ライン間にはスペースがある。
前線からハイプレスに来るチームではないだけに落ち着いてビルドアップを行うことで、空いているスペースを見つけ突いていきたい。

また、中断明け3試合全てでクロスから失点をしている。

いずれも得点を決めた選手を褒めるべきではあるが、クロスを上げる選手に対して、プレッシャーが緩くなっている。
クロスを上げる上である程度のゆとりはあるだけに、クロスから得点に迫る形は作りやすい。
甲府は中断明け4得点の内、クロスからの得点は2つと得点も奪えているだけに今節もクロスからゴールに迫りたい。

セットして守る際には強度があまり高くない町田だが、ボールを失った後の切り替えは速く強度も高い。
先程も触れたが、前節北九州は途中から中盤でボールを奪う回数が増え出したが逆に奪ったボールを直後に奪われ返されることも増えた。
ボールを奪った直後に奪い返され、カウンターを食らう形は最も危険であるため素早くポジションを取ることでプレスに掛からないようにしたい。

切り替えが速いこともあり、甲府としては速攻へ出て行く回数は多くはないだろうが町田相手にはセットして守らせる方が有効ではないかと考える。
あとは先程も触れたようにスペースはあるため、冷静に空いているスペースを攻略したい。

共に構える静かな試合展開を作ることで甲府としては戦いやすい流れとなるだろう。
行ったり来たりとオープンな展開を許せば、町田のタレント力を発揮させることに繋がり苦しい試合となりかねない。
落ち着いてた試合展開へと持ち込み、冷静に空いてるスペースを見極め攻略していきたい。

8.あとがき

ホームで唯一負けた町田にリベンジとしたい一戦。
前半戦での戦いでは町田に何もさせてもらえず、悔しい試合となっただけに成長した姿を見せたいところ。
中断明けは勝ちに恵まれず、苦しいチーム状況にあるが、この状況を改善するために必要なのは勝ち点3のみである。
きっかけとなる一戦としたい。

町田は今後飛躍する可能性を大きく持ったクラブである。
名前が知られている選手も多く抱えており、注目度も年々高まってきている。
中断前は4勝1分と甲府同様に上り調子となっていたが、中断明けは勝ち星から遠ざかっている。
悲願のJ1昇格に向けてもう負けられない。

最後まで読みいただき、ありがとうございました。

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