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J2第39節 松本山雅FC戦 プレビュー

今節ホームに迎える相手は松本。
甲信ダービーは昇格、残留に向けて共に負けられない試合となる。

1.前回対戦

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立ち上がり、松本に先制を許すが長谷川のプロ初ゴールもあり逆転に成功する。
だが鈴木国友のハットトリックの活躍で2点リードしながらも追いつかれる試合となった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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2010年に当時JFLに所属していた松本と天皇杯で対戦したのが最初の対戦。
以降、過去11度の対戦を経てきて甲府の2勝3分6敗と負け越している。

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過去の2勝はいずれもホームとなるが、残り試合は松本の4戦全勝と甲府ホームでも松本が優勢に進めている。

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最初の対戦を除いた結果となるが、松本が圧倒していることがわかる。
特にホームでは4連敗中、3試合ノーゴールと松本は明確に苦手な相手と言える。

3.前節

甲府

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前半から優勢に試合を進めたながら得点が取れず、ヴェルディ戦のような流れとなるかに思われたが長谷川の芸術的な得点により勝ち点3を手に入れた。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

松本

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松本はスタメンを町田戦から3人変更した。
立ち上がりは新潟がボールを保持する流れとなる。
対して松本は前線から積極的に奪いに出ていく。
2分には佐藤がイエローカードを貰い、甲府戦は出場停止となる。
ボール保持を許した松本だが、5分に佐藤のミドルシュートで先手を取る。
左サイドで榎本が抜け出し、クロスを上げると新潟がクリアしたセカンドボールを拾った佐藤が左足でミドルシュートを沈める。
先制した後も新潟がボールを持つ流れは変わらないが、松本は集中した守備でチャンスを与えない。
12分には河合が長谷川に対し、深くスライディングに行ってしまいイエローカードを貰う。
佐藤同様に河合も甲府戦は出場停止となる。
球際激しくバトルする松本。
後が無くなっている状況ということもあるが、気迫全開で新潟に向かっていく。
22分には敵陣で松本がボールを奪うとショートカウンター。
榎本は切り返しからシュートを狙うが、DFに阻まれてしまう。
23分には新潟が舞行龍、高木と続けて縦パスを入れると小見がシュートを放つが 圍が防ぐ。
飲水タイム明けも新潟がボールを保持していく展開の中、33分に左サイドからパスを受けた高木がペナルティエリア内で反転からシュートを放つが枠を外れる。
球際激しく戦う松本ではあるが、ファールが多くセットプレーの多い前半となる。
それでも新潟に決定的なチャンスを与えず、前半は1点リードして終える。
後半の開始から新潟は小見に代え、髙澤を投入する。
後半の立ち上がりも新潟がボールを保持し、松本が勢いを持ってボールにアプローチを掛けていく。
だが、前半とは違い新潟が松本のブロックの中に侵入する回数が増える。
すると52分に高木がライン間でパスを受けるとドリブルで前進するとゴール前で倒されFKを獲得する。
高木がグラウンダーのシュートを放つと圍が止めるがこぼれ球に反応した谷口がクロスを上げ、高澤が押し込み同点に追いつく。
追いつかれた松本はボールを奪いに行けなくなり、新潟が一方的にボールを持つ展開となる。
流れを変えたい松本は61分に一気に3人の交代を行う。
河合、外山、榎本に代えて安東、田中パウロ淳一、阪野を投入する。
だが、流れは変わらず67分に左サイドで谷口がタメを作ると裏を回った福田を使い、シュートを放つが圍が防ぐ。
飲水タイム明けの71分に新潟はロメロフランクと長谷川に代え、大本と藤原を投入する。
パスを繋ぎ、中央を崩すことを狙っていた新潟だがクロスの本数を増やしゴール前に圧力を掛けていく。
前半からハードに戦ってきた松本だが、足が止まりだし耐える展開となる。80分には松本がセルジーニョに代え、鈴木を投入する。
82分にはCKから松本に決定機。
佐藤のキックを一度新潟が跳ね返すが、こぼれ球を拾った田中パウロ淳一が狙い澄ましてシュートを放つも阿部が反応し防ぐ。
84分に新潟は堀米と高に代え、田上と島田を投入する。
86分に松本は伊藤に代え、星キョーワァンを前線に投入しパワープレーに出る。
アディショナルタイムに松本は佐藤のクロスに阪野が合わせるが枠に飛ばず。
このまま共に得点は無く、勝ち点1を分け合うこととなった。

4.今季成績

両チーム比較

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勝ち点70で4位の甲府と勝ち点32で最下位に位置する松本。
前回のホームゲームでは敗れ、負け無しは16試合で止まったもののホームゲームを得意としている甲府。

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ホームではリーグ2位の成績を収めている。
磐田とは勝ち点1差、京都とは同勝ち点と昇格圏のチームとは差がない成績となっている。

一方の松本はホームでは勝ち点を21挙げているが、アウェイでは19試合で11しか挙げられていない。

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勝ち点、得点はリーグ最下位、失点はリーグ最多と圧倒的にアウェイでの成績が悪くなっている。
だが、今節は松本から地理的にも近い甲府での試合であり応援ルールの見直しも行われるためホームに近い雰囲気は出せるだろう。
ホームが得意な甲府、アウェイが苦手な松本。
今シーズンの成績通りの甲府が勝利するか、過去の成績通りに松本が勝利を掴むのか。

甲府

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直近5試合は3勝1分1敗と勝ち越している。
昇格に向けて2試合の足踏みは痛かったが、前節の勝利は再び這い上がるきっかけとなるか。

ここまで昇格の可能性を残しているのは28節京都戦以降の成績の向上にある。
26試合で10ゴールと得点ランキングで日本人トップの小池純輝と同ペースで得点を重ねてきた泉澤が離脱したことでチームに危機を与えるかに思われたが、泉澤の長期離脱により起用された宮崎の活躍もあり勝ち点を伸ばしてきた。

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泉澤が起用された試合は26試合で勝ち点44、平均勝ち点は約1.69となる。
前節終了時、38試合換算で見ると勝ち点64と5位町田と同勝ち点であり、42試合換算で見ると勝ち点71は伊藤監督就任1年目と同じ勝ち点となり決して悪い数字ではない。
一方で欠場した試合は12試合で勝ち点26、平均勝ち点は2.16となる。
この数字を38試合換算で見てみると勝ち点82を積んでいることとなる。
これは首位磐田に匹敵する勝ち点となる。
42試合換算で見ると勝ち点91となり、歴代のJ2の記録でも2位となるペースで勝ち点を積んでいる。
その中でも宮崎が先発した試合は10試合で勝ち点22とさらに平均勝ち点は増えている。
12試合の中で宮崎が先発出場していないのは開幕戦の千葉戦と疲労を考慮し、温存された34節の金沢戦のみとなる。

チームトップの10ゴールを重ねてきた泉澤の離脱が得点数に与えた影響はあるのか見てみたい。

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多少減少しているものの得点数には大きな違いは見られない。
泉澤の不在が勝ち点の増加に繋がっているのは失点の減少にある。
平均失点が半分に減っていることがわかる。
特に離脱して最初の試合となった京都戦からは新井を中心にハイライン、ハイプレスへ移行し11試合で失点した試合はわずかに4試合。
複数失点は岡山戦のみであり、得点を2点取れば確実に勝ち点は取れるチーム状態となっている。

泉澤の離脱という最大のアクシデントがありながら乗り越えたのが今の甲府となっている。

松本

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直近5試合は1分4敗と白星が無い。
その前の2試合を含め、現在7試合勝ちが無く7試合で得た勝ち点はわずかに2。
残留に向けて苦しい状況に追い込まれている。

開幕前には大型補強を敢行し昇格候補にも目されていたが、今シーズン加入した選手たちは活躍しているのか。

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こちらはシーズン前の補強となる。
常田、佐藤、前は期限付き移籍で加入していたところから完全移籍へ移行したため、除いて考えても期限付き移籍からの復帰も含め21人もの選手が加入している。
一方の放出もした選手も完全移籍に移行した前田大然を除いて25人とまるっきりチームを入れ替えている。
また、夏の移籍市場でも補強を行っている。

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伊藤翔に加え、シーズン前に放出したセルジーニョを呼び戻し戸島、浜崎とシーズン前に加えた選手を放出している。

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佐藤、阪野、大野、常田、前、圍を除けば出場数上位は新戦力ではあるため獲得した選手が軒並み失敗であったわけではない。
だが、33人もの選手を起用しているように選手を固定できていないことも伺える。
監督交代もあったため、起用する選手や傾向が変わったこともあるがそれでも多い。
固定できないことは攻守において問題点として現れている。
まずは失点数から見てみたい。

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38試合で64失点とリーグ最下位となっている。
1試合平均で1.64失点となっており、計算上は1試合2点取らないと勝てないチームである。
では、得点は取れているのか。

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こちらは下から2番目に少なく、得点も失点もリーグワーストレベルと順位が最下位となっているのも致し方ない成績となっている。

では、どのように得点を取り失点を許しているのか。

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得点の約半数がセットプレーからとなっており、流れの中から奪った得点はわずか17となっている。
また、失点はセットプレーとクロス、ショートパスからが多くなっており満遍なく失点を許している。
攻撃では形を仕込むことができず、メンバーを固定出来なかったことも含めて守備組織の構築もできなかったことが最下位に低迷する要因となっている。
このことから大型補強の結果はマイナスに働いたと言えそうだ。

5.予想スタメン

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甲府
前節からは1人の変更と予想。
野澤に代えて山田をボランチに起用のではないか。
現状のベストメンバーを揃えての一戦となるだろう。

松本
河合と古巣対戦の佐藤が累積警告による出場停止となる。
中盤のキーマン2人を欠く中、代わりに安東と小手川を起用しシステム変更も行うと予想した。

6.注目選手

甲府

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野津田岳人
前節勝利を挙げたチームの中で唯一悔しい思いをした選手と言えるだろう。
リバウンドメンタリティが求められる一戦は甲信ダービー。
ダービーマッチは理屈では無く、気持ちが最も重要となる。
前節の悔しさを晴らす、プレーで仲間へ恩返しする。
その気持ちがチームへの助けとなり、結果に繋がるだろう。
試合後に謝っている映像がチームのYou Tubeでも映っていたが、謝る必要などない。
サポーターとしては野津田岳人という素晴らしい選手が甲府に来てくれたこと、シーズン通して活躍してくれていることに感謝している。
今節は自らの活躍、結果でチームに勝ち点3をもたらし嬉し涙を流して欲しい。

松本

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セルジーニョ
シーズン前にチームを離れた助っ人は夏の移籍で再び松本へと戻ってきた。
残留争いに巻き込まれていたチームを救いに戻ってきたが、ここまで負傷の影響もあり得点が無い。
出場した試合も10試合で勝利を収めた試合は31節の北九州戦のみと自身だけでなく、チームの結果も付いて来ていない。
違いを作れるセルジーニョの活躍が無ければ、このまま降格してしまいかねない。
今節含め、自身のパフォーマンスも上げチームをJ2残留に導きたい。

7.展望

多くのチームが監督交代を行っているJ2リーグの中で、松本も前回対戦時から監督が変わっている。
前回対戦時に指揮を取っていた柴田峡前監督に代わり日本サッカー界のレジェンドでもある名波浩監督が20節から指揮を取っている。
長らく反町康治監督の元、堅守速攻のチームであった松本だが名波監督はボール保持の割合を増やしていた。
甲府にも在籍した佐藤和弘を中心にボールを動かしていた松本だが、今節は出場停止により不在となり戦い方にも影響を及ぼしそうだ。
また、前節新潟戦では反町体制下に戻ったかのようにボール保持へのこだわりは無くなっていた。
ボール保持に長けている新潟相手ということで戦い方を変えたのか残留するために現実的な戦い方に変えたのかは定かではないが、私は後者ではないかと考える。
前節も見られたが、前線の榎本を起点とした攻撃が多くなるのではないか。
DFラインから榎本をターゲットにボールを入れ、中盤の選手が前向きでサポートしながら甲府陣内でプレーする時間を増やしていく。

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特に左CBの常田はキックの精度も高い選手であるため、常田からのロングボールを榎本が競りセルジーニョが前を向いてボールを受ける形は危険となる。
また、伊藤は榎本の競った背後を積極的に狙ってくるだろう。
前線へのロングボールは対角線に蹴ることで戻ってくる勢いが削がれるため、リスクは少ないが直線的に蹴るボールは蹴った勢いよりも速く戻ってくるためカウンターを受けるリスクが高くなる。
だが、常田から対角線に長いボールを入れるとメンデスに向かって蹴ることなり松本としては不利となる。
岡山戦ではデュークが徹底して浦上を狙っていたように松本も浦上方面へのロングボールが多くなるのではないか。
前節は常田からの直線的なロングボールを起点に得点を挙げている。

榎本をターゲットにした攻撃ではないが、常田のロングパスに伊藤が競り背後に榎本が走ったことが起点となっている。
この場面のように常田から前線にロングボールを入れ、2トップとセルジーニョが連携するような形は松本の攻撃において最も警戒しなくてはいけない。
前線にロングボールを入れ、甲府陣内へ押し込むことができると幅を使った攻撃からチャンスを作っていく。

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サイドで幅を取る役割はWBが担い、アップダウン激しくサイドを駆け上がる。
ビルドアップしながら前進を図ることを狙っていた際は、中盤の選手がDFラインに下がりビルドアップに加わるのに合わせWBの選手が中央に絞りシャドーの選手が幅を取るような可変を見せていたこともあるが、シンプルな攻撃が増えると予想しているためWBの主戦場はサイドとなるだろう。

この場面のようにWBの選手が縦に仕掛けてのクロスからゴールに迫る形を作る。

セットプレーが松本最大の得点源であることは先程も触れたが、直近のゴールはこちら。

セルジーニョのキックの精度の高さには要警戒となる。

この場面のようにトリックプレーも見せてくる。
松本は伝統的にセットプレーの強いチームだが、その要素は今シーズンも残している。

また、個々の能力は高い選手が多く途中からも力のある選手は出てくる。
前節で言えば田中パウロ淳一のように一人で打開できる選手もいれば、前回対戦でハットトリックの活躍を見せた鈴木国友といった選手も控えている。
交代選手によって勢いが増すことも考えられるため、90分間アラートに戦いたい。

甲府がボール保持する際には松本は2トップが牽制を掛けながらブロックを形成する。

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可変をしながらボールを動かしていく甲府に対し、松本は一度下がり中盤へのパスコースを消しながらサイドへと誘導することを狙う。
共にWBを置くチーム同士で噛み合わさるが、可変を行うことで噛み合わせをズラしたい。
宮崎がサイドに出ることで下川が荒木を捕まえに行けない状況を作り、荒木を起点に前進を図りたい。
ブロックの中に入って来た場合やボールを奪えそうな局面となると球際激しくボールを奪いに来るが、そうでない場合にはボールへの寄せが甘く相手に自由を許すことが見られる。

この場面はボールに対し、誰もプレッシャーを掛けてないことでボールを持っている選手は顔を上げてパスコースを探すことが出来ている。
前線の選手の動き出しに合わせ、パスをDFラインの背後へ供給されてしまうがWBとCBの間を取られた時にどちらが対応するのか曖昧となりやすい。
長谷川や宮崎が積極的にWBとCBの間から背後へ抜け出す場面を作りたい。

ボールを奪いに出ていく際には、スペースを見るよりも人を捕まえるに来る。

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人を捕まえに来た上で、球際激しくプレーするためボールを奪えるとカウンターへと繋げていける。
だが、奪えないと背後にスペースを与えることとなるためボールを奪いに出てきた所を裏返したい。

この場面のようにプレスに来た所を回避するように長いボールを使いながら前進を図りたい。

また、人を基準に守ることが多いため全体でスライドして守る意識はあまり高くない。
そのため、サイドチェンジは有効となる。

この場面では最終的にサイドを崩され、チャンスを作られたが最初のサイドチェンジに対しチェックに行った選手の背後でカバーする選手がいない。
群馬の選手がサポートに行ったことで松本の選手も付いていく形とはなったが、それでも同数であることは変わっていない。
このようにサイドチェンジに対しては同数の状況を作れるため、対面の選手を突破できるとサイドから大きなチャンスは作れるだろう。
クロスからの失点が多いチームのため、サイドを突破してからクロスという形を多く作りたい。

また、松本はセットプレーからの失点も多くなっている。

このように松本のCKの守りは甲府とは違い、マンツーマンとなっている。
対面のマークマンを外し、キックの質が伴えばチャンスは作れる。
いかに目先を変えられるかがポイントとなる。

理屈的なことを並べてはみたものの、ダービーは気持ちの強い方が勝つもの。
街の誇りや威信を掛けて戦うようなヨーロッパ的な要素はJリーグには無いかもしれないが、おらが街のクラブには誇りを持っている人は多いはず。
隣県のライバルクラブには負けられない。
絶対に勝つ!という気持ちを全面に押し出す試合を期待したい。

8.あとがき

これまで苦杯を嘗めさせられてきた相手との一戦。
勝ち点を1つも落とせない状況では最も戦いたくない相手かもしれない。
それでも、この強大な緑の壁を越えなくては奇跡を起こすことはできない。
できることは目の前の敵を叩くことだけ。
最下位だからと油断せず、チャレンジャーとして全力で松本にぶつかりたい。

松本山雅は残り5試合でまさかの最下位に沈んでいる。
これを予想した人が開幕前どれだけいたか。
1人もいなかったのではないかと思うほどの驚きの結果となっている。
残留ラインである18位金沢とは勝ち点差5と残留に向けて甲府同様、負けられない状況となっている。
J3ではJ2ライセンスを持たない宮崎が現在2位につけており、このままの順位で終えると降格チームは減ることとなる。
そうなると勝ち点差は2となりグッとチャンスは広がるが、得失点差の関係で実質3差といえる。
お得意様甲府相手に勝ち点3を取りたいところだ。
One Soulで残留に向けて団結したい。

甲信ダービーは共に昇格、残留に向けて勝ち点3が欲しい試合となる。
昇格抜きにしてもダービーは勝ちたい!
もう松本には負けたくない!!
絶対に勝ちましょう!!!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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