笑えるって相性がいいってこと 18
ある日、突然左目から涙がポロポロ出る。 悲しくも悔しくもないのに。なんで!?
そして、 眼科に行ったら、それは瞼が閉じないからだということは判明したが、眼科では治療出来ないと言われた。
取りあえず、 目薬をくれて、 眼帯をしろと言われたが、私は、ド近眼なので、片目だけでは、世間がよく見えない。
ならば、左目涙ポロポロでも両眼で歩いた方がマシである。
この人のいない青空の元を歩いている分には、問題ないが、来週は、東京の医者に行かなきゃならない。 友人Kが出したヘアサロンへも行きたいけど、人混みを歩くのは、ちと怖いなぁ。
持つべきものは、良き友。
私の友人Nちゃんは、優しい。
「私が、ホテルまで迎えに行ってあげるよ。」
「ホント!? 助かるぅー!」 「うん、私もお祝い行きたいし、カットもするわ。」
かくして、私の竹馬の友Nちゃんが東京の常宿から、Kちゃんのオープンしたサロンまで同行してくれることになったのだが...
これまた、毎度天然のNちゃん!
なぜか、私の後ろを歩く。
「ねぇ、なんで、私の後ろ?」
「転んだの直ぐ分かるように。」
ややや!
転ばないように!私の前!!でしょ ハハハハハッ
っで、前を歩いてもらったら、自分が、コケそうんなって「ここ気をつけて!」
「はい。身を呈して教えてくれてありがとう。」🤣漫才より、面白い。盲導犬失格だけど、笑わせてくれたからオッケー!
こんだけ、天然ちゃんだから、何事も即断即決! 白黒ハッキリしないと気の済まない私とでも、何十年も仲よくやってこられたんだろう。
青空の元のかかりつけ医A先生は、私同様にせっかち。「こんにちはー」「おー、どうだ?」「ほいっ! 腕はずいぶん上がるようになりました。でも、先生、瞼が閉じなくなっちゃったー!」整形外科に来て、それを言う私も、どーかと思うが「あっ、ホントだ! そらァ、 脳神経だ! おい、 I先生んとこ予約しろ!紹介状だな。」っと、言いながら消えちゃった。ーーーんもぉ、仕事早すぎぃー!そういうの好きだけど。っが、しかし!「えっ、先生、 あの、 その ・・・」もう、他の病院でMRI撮る予約しちゃってるし、そもそも、そのI先生の病院はどこ?看護師さんに「あの、あの、あの、 その病院はどちらにあるんでしょうか? 私、 歩きなんで。」「あら、 車じゃないの?じゃ無理だわ。 I医院は、バイパスんとこだもの。」「すいませーん。せっかくお電話して頂いたのに。先生、もう紹介状書いちゃったかな?」「いいわよ。 ごめんなさいね。 先に、車かどうか聞きもしないで。」この迅速過ぎる対応が、笑っちゃう。
もうひとりのかかりつけ医S先生は、呼吸器内科。ここで肺腺癌が進行しないかを見張って頂いている。
診察室に入って行くと「こんにちは!どうですか?今日は? 」とキラキラ笑顔のS先生。
思わず笑った。「先生、めちゃくちゃお元気ですね。」
「や、 僕は、ウルトラマンみたいなもんだから。ここにいる時だけは、元気ですよー。」
「ハハハッ、いいですね、それ。」
私も若かりし頃、好きでよく行っていた店の店長さんに「ここは、僕のステージだから、ここに出る時は、どんなに悲しいことがあっても、辛いことがあっても笑ってる。笑顔でここに立てないのなら、ここに出る資格がない。 そして、ここに立ったら、笑顔でお客様に接して楽しんでもらう。 何があっても。 それがプロなんだから。」と教えられた。以来、私は、この言葉を守ってきた。 笑顔を作れない日は、店には出ないで、家に引き篭っていた。だから、S先生のおっしゃる言葉にとても同感だ。 職業は、全く異なるけれど、相通ずるものは、あると思う。
患者は...当たり前だが、皆、具合が悪くて医者の元を訪れるのだ。なのに、そこで、グダ~っとお疲れのご様子の先生や、イライラピリピリとお怒りの表情の先生が、前に現れたら、「どうですか?」と聞かれても、心を開く気にもなるまい。命を預ける相手が、まずは、心を開く気になる笑顔でいてくれるって、すごく嬉しい。
ここは、只今、桜満開である。海外生活が長かったので、ナマ桜が嬉しくて、毎日、てくてく歩いて裏山の桜、川沿い桜並木、神社の桜と楽しんでいる。ふと思った。東京の桜は、もっと艶っぽい。
ここの桜は、違う。
強く吹く風に負けまいと根を踏ん張り、枝を伸ばし、花を咲かせる姿は力強い。
人間にも、色々な人がいるように、桜にも色々あるってぇことらしい。
今の私には、ここの桜が合ってるのだ。この桜は、大事なことを教えてくれているのかもしれない。逆風に負けるな! 雨や風なんかに負けずに、自分なりの花を咲かせればいいと。上を向いて笑えと。
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